風邪のなごりの痰が切れない、坐骨神経痛は麻黄附子細辛湯6日で治り、9ヶ月も調子よかった例

この記事は約4分で読めます。

こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師、鄭智城先生1の治療例、治痰顺便把坐骨神经痛也治好_郑智城(2012-2-20発表)を翻訳しました。

風邪のなごり、痰が切れないのと坐骨神経痛がどんな漢方薬で治ったかを記録した症例です。中に出ている処方箋は、あくまでも参考にしてください。同じ症状だから同じ漢方薬だとは限らないので、なるべく漢方医に問い合わせしたほうが良いです。

風邪のなごりの痰が切れない、坐骨神経痛もある女性

今日来た黒人の中年女性、トリニダード・トバゴ人で、背が低くて太っています。どこかで見た覚えがあるけど思い出せない。話で聞いたら、彼女は9ヶ月前に来たことがあったそうです。

9ヶ月前に来た時、彼女の症状は風邪を引いたあと、痰が切れない。病院は薬を出したけど、彼女は西洋薬を飲みたくなくて治療に来ました。

脈診では弱。
舌診では舌が太って白、乾いている。
他には特に症状がない。

眼診の時に「腎虚証じんきょしょう」が見えました。
瞳孔は小さくてぼやけている。

私「腰痛はありますか?」
彼女は頷きながら「あります。しかも、痛みが下までつながっています」

これは坐骨神経痛ですね。

以前は腰痛、坐骨神経痛で歩けなくて、治療に来た薬剤師もいました。数日で治った薬剤師の例は、以下の記事をご覧ください。

体が弱い人は、現れる症状が少ない

症状が多くないのは、一つの事を証明しています。
彼女の身体は弱っている、もしくは「少陰しょういん体質」だと言えます。

身体が弱い人は亜健康状態にいても、特別な症状はないです。ただし、全体的に機能不足、疲れやすい症状として現れる。

身体が良い人も特別な症状はありません。でも、身体が良い人たちは見た目が違います。弱っている人は、見た目で活気がありません。

漢方薬処方箋の解釈

当時の処方は麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう。また、痰も配慮して痰を取り除く半夏、陳皮、蘇子、茯苓、萆薢ひかいも入れました。

萆薢ひかいはめったに使わないけど、ここでは腎虚証からくる腰痛のために入れました。萆薢ひかいを使わなかったら、杜仲・続断・枸杞の実などで代用できます。

以上が9ヶ月前の彼女のカルテ記録。

6日分の漢方薬で9ヶ月も効く漢方薬は、コスパ抜群

私「前回の漢方薬を飲んで、どんな感じですか?」
彼女「良くなりましたよ。坐骨神経痛まで治りました。」

6日分の漢方薬で9ヶ月も効く。
漢方薬はコスパ抜群ですね。

李哲の補足:
漢方薬を少し飲んだだけで効果が持続するのは、根本的な治療になっているからです。臨床の症例を見ると、人間だけではなくて、動物にも漢方薬の持続的な効果が見られます。以下は一つの例、参考にしてください。

老犬のクッシング症候群を漢方薬で治し、余命3ヶ月だったのが1年6ヶ月も長生きした例

麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとうは、もともと腰痛を治す作用があります。

その上に痰を取り除く生薬と、腎虚証を補う萆薢(ひかい)を入れて、補うのもあるし老廃物を出すのもあるから、効果が長く続いたでしょう。

李哲の感想

鄭先生は、「麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう」が好きみたいですね。以下の記事でも、麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう+萆薢(ひかい)で天気が悪くなったとき、全身の関節が痛くなる患者さんを治しました。

麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとうの応用例は、もう一つあるので、どうぞご参考に。ニハイシャ先生2の治療日記、倦怠感がひどい患者さんを一発で治した例です。

坐骨神経痛は、鍼治療でも簡単に治せますね。
人によってかかる回数は違うけど、ほとんど2~3回で治療が終わります。

鍼を刺して1分後には、坐骨神経痛が緩和したかどうかが分かる。
以下は一つの症例、参考になると幸いです。

風邪を引いたあとに痰の音がするのは、まだ肺に痰が残っていることなので、膻中・天突・豊隆などのツボで対策ができます。

以下は私が治療した中で、ちょっと不思議な例。
「鍼を刺した瞬間に、痰が消えた」と患者さんが言ってました。

重い病気の治療はもちろん、特に症状がない時でも、漢方薬と鍼灸はメンテナンスもできるし、些細な自覚症状を改善することもできます。

もっとも優れているのは、中医学先生は1人ですべての不調を診るので、患者さんはたらい回しにされない。

一人の中医学先生は、一つの総合病院と同じ存在です

(おわり)

  1. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

  2. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました