こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師・鄭智城先生1の症例「麻黄附子細辛湯:老美薬剤師の腰痛」(2013-01-08発表)を翻訳し、解説します。
薬剤師でありながら、ひどい腰痛に悩む女性が鎮痛剤を避け、漢方薬で治療を選んだ理由とは?鎮痛剤の副作用を知り尽くしている彼女が頼ったのは、中医学の力でした。この記事では、治療の詳細とその驚くべき効果を紹介します。
西洋医学の腰痛解釈は本当に正しいのか?
腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛に悩む人は多いですが、西洋医学では「椎間板が潰れて神経を圧迫するから痛みやしびれが起こる」と説明されます。しかし、この理論には疑問が残ります。
例えば、私の父はL3~L5間に大きな骨の突出がありますが、ひどい腰痛はありません。時折、足腰がだるい程度です。過去に腰痛の発作を経験した際も、漢方薬で完治しました。詳細はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:父の腰痛治療体験談
実は、腰痛の原因は単なる物理的な圧迫だけではないことが多いのです。中医学では、体内の「気」や「血」の流れの滞り、冷えや湿気の影響を重視します。この視点が、西洋医学とは異なる効果的な治療法を生み出しているのです。
歩行補助車が必要だった薬剤師の腰痛
ある日、以前来院したことのある白人男性と女性が訪れました。女性は薬剤師で、毎日立ち仕事に従事。給料は良いものの、長時間の立ち姿勢が原因で腰痛が悪化していました。
彼女は涙ながらにこう訴えました:
「体が硬くなりすぎて、歩行補助車がないとここまで来られませんでした。」

一緒に来た男性はこう説明しました:
「妻が急に腰痛で歩けなくなり、漢方薬を試すしかなかったんです。」
驚くべきことに、薬剤師である彼女は自分で鎮痛剤を処方できる立場なのに、漢方薬を選びました。車に乗るだけで20分かかるほどの激痛だったそうです。この選択は、薬剤師としての知識と経験が背景にあるのでしょう。
薬剤師が鎮痛剤を避けた背景には、アメリカでも薬への不信感があることが影響しているのかも。詳細はこちらで解説。
麻黄附子細辛湯+桂枝芍薬湯+狗脊で3日で回復
一般的な腰痛治療には、**麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)**がよく使われます。
この薬剤師の状態を診察すると、虚証であることが明らかでした。舌は淡く太っており、舌苔は白、脈は弱い。過去には極度の便秘で来院したこともあります。
私が処方したのは以下の組み合わせです:
- 麻黄附子細辛湯:発汗作用で冷えと痛みを緩和
- 桂枝芍薬湯(けいししゃくやくとう):筋肉の緊張を和らげ血流を改善
- 狗脊(くせき) 1両:腰を強化し関節をサポート
6日分を処方し、1週間後の再診を約束しましたが連絡が途絶えました。そこでメールで経過を確認すると、驚きの返信が:
「3日飲んだだけで腰痛が治りました。」
この処方は、個々の症状に合わせた中医学の強みを象徴しています。薬剤師の体質に合わせた調整が、短期間での回復を可能にしたのです。
関連記事:漢方薬で子宮内膜症の腰痛を完治
李哲の考察:漢方薬が鎮痛剤より優れている理由
この薬剤師が鎮痛剤を避け、漢方薬を選んだのは賢明な判断です。薬剤師は鎮痛剤の副作用や毒性を熟知しているからこそ、飲まなかったのでしょう。私も臨床で同様のケースを多く見てきました。西洋医学の先生たちは薬を信じてない人もいるのです。詳細は西洋医学の先生が薬を信じない理由。
西洋医学では、椎間板ヘルニアに手術を勧めることがありますが、これは過剰な対応です。万が一神経を傷つければ、一生車いす生活になるリスクもあります。安全で効果的な漢方薬や鍼灸があるのに、なぜ勧めないのでしょうか?
鎮痛剤や湿布は肝臓と腎臓を傷つけるだけです。特に長期間使用すると、消化器系の不調や腎機能低下を引き起こすリスクが高まります。一方、漢方薬は体全体のバランスを整えながら根本的な改善を目指します。
また、鍼灸も腰痛に非常に効果的です。急性でも慢性でも、鍼は即効性があり、痛みを和らげるだけでなく再発予防にも役立ちます。詳細はこちら:鍼灸で腰痛を即効改善
腰痛や坐骨神経痛に悩むなら、漢方医や鍼灸師に相談することを強くお勧めします。自然な方法で健康を取り戻す選択肢を、ぜひ検討してみてください。
コメント
id:hinokinatsume
日野木夏目 さん
ブコメありがとうございます。
役に立つ情報になって嬉しいです。
bumeeshaさん
ブコメありがとうございます。
そうですね。
薬剤師は自分で西洋薬を飲まない人が多いと思います。