長年の咳は射干麻黄湯で治り、天気痛・尿の泡・疲れやすい・腰痛は麻黄附子細辛湯で治った。

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こんにちは、李哲です。

アメリカの中医師、鄭智城先生1の漢方薬治療例、“高富帅”老美的风湿关节痛_郑智城(2012-4-26発表)を翻訳しました。咳が長引く女性と、天気が悪くなると体調も悪くなる男性が漢方薬でいろいろ改善された内容、参考になると幸いです。

長年の咳がある女性

2週間前に男女2人が来ました。
女性は中国人、男性はアメリカ人。

女性は痩せ型で虚弱体質、長年の咳がある。去年の7月、煙を吸ってから咳が続いて困っているそうです。脈診してみたら沈微。舌は薄い赤で潤いはある。

彼女の話を聞くと、なんとなく風邪っぽい。でも、脈診ではまた風邪っぽくなかったです。もう一度脈診してみたら、本当の脈は細弦数。風邪の時の浮脈とあまり変わらない。

私は射干麻黄湯やかんまおうとう+陳皮+枳穀(きこく)を処方しました。

李哲の説明:
射干麻黄湯やかんまおうとうは、末期乳がんの咳を治すときにも役に立ちます。以下の記事、どうぞご参考に。

ひどい咳、白血球低下が漢方で改善しても、がん治療医が反対する分子標的治療薬を選び、生と死の境目で行ったり来たりする女性。

雨が降る1~2日前から体調不良になる男性

女性の診察が終わり、今度はアメリカ人男性。背が高くて痩せ型、礼儀正しい人。見た感じでは病気なさそうでした。しかし、脈診してみたら、なんと沈洏弱。強く押すと脈がない。

私は男性に聞きました。
「疲れやすいですか?」

アメリカ人男性は頷いて笑いながら答えました。
「そうです。」

声は元気な高い声ではない。
舌診をしたら、赤くて潤いがある。舌苔がなくて、嫩でもない。

ほかの質問で分かったのは、

  • 喉が渇く
  • 便秘
  • 小便に泡が多い
  • 特に関節痛がひどくて、全身のあらゆる関節が痛い

私「天気が荒れて、雨が降る前に、体はなにか感じますか?」
男性「そうです。雨が降る1~2日前から体調不良になります。

処方箋は麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう萆薢ひかい3日分を処方。

女性の咳は7~8割良くなり、男性は腰痛が治り、大雨が来ても全身の関節は痛まなくなった

翌週に再診察をしました。
女性の咳は7~8割良くなり、とても喜んでました。

男性の反響も良かったです。精神状態・腰痛が良くなり、疲れにくくなって、尿の泡も減りました。今度は6日分を処方しました。

李哲の説明:
尿に泡が多いのは、腎虚証(腎機能低下)のときの症状です。以下、鍼治療例で腎機能を強化できた例があるので、参考になると幸いです。

お父さんの糖尿病、尿に泡が出るのは減った :親族たちの鍼治療(5/13)

3回目の再診察。
男性の反響は相変わらず良かったです。

会話は親切で平和な雰囲気の中で行いました。私は突然2日前のニューヨークにあった大暴風雨を思い出して、彼に聞きました。

私「2日前から天候が急に変わっているけど、あなたの関節痛はどうですか?」
患者「え?そう言えば関節は痛くない。本当に痛くないです!」

隣の奥さんも頷いていました。

この効果は私の予想外。もともと彼の腰痛、背中痛を治して、陽気を強化するためだったけど、全身の関節痛まで治るなんて考えもしなかったです。

李哲の説明:
全身の関節痛は、ニハイシャ先生2の記事にも出ています。以下は全身性エリテマトーデスの関節痛を5日で治した例、参考になると幸いです。

全身性エリテマトーデスの全身の関節痛は5日の漢方薬で消え、余命4ヶ月の肺がんステージ4患者は、漢方薬で4年も生きている。

ひどい冷え性は、大量の抗生物質使用が原因

良く考えたらこれは難しい物ではなかったです。

私は彼に聞きました。
「大きな病気で入院した事がありますか?」

なぜなら、こんな若いのに大量の抗生物質を使わなかったら、体はここまで冷える「少陰体質」にはならないからです。

答えは案の定でした。男性が言うのは、木から墜落して入院した事がある。入院中、熱心で責任感が強い病院の先生は、惜しまず大量の抗生物質を処方したそうです。だから、彼は靴下を履かないと寝られないくらいの寒がり

李哲の説明:
抗生物質は心臓に悪いので、体内の冷えを作り出す。女性の場合は尿失禁、尿もれになったり様々な副作用があります。詳しくは以下の論文で確認ください。

薬漬けの人生で苦しみながら短命に!様々な病院の薬の副作用を、臨床現場の中医師が暴露します。

李哲の解釈と解釈

「少陰体質」と言うのは、いつもだるい。眠ったい。元気がない。手足が冷たいなどの症状がある人です。

このような患者さん、病院では血液検査、尿検査など正常だと言われるかも知れません。しかし、中医学の理論では『少陰病』だと言います。中医学の病名があるので、もちろん処方箋まで完備されてある。

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雨が降る前に関節が痛くなるのは、自然の湿気と関節の間に溜まっている湿気が共鳴を起こすから、体が辛くなります。中医学ではこれを『同気相求』と言います。日本語でいう「類が友を呼ぶ」と近い意味。

言い換えると、体内に湿気が溜まってない人は、湿っぽい天気になってもつらくないです。天候が悪い日に体調不良になる人は、体内に湿気・寒気などの問題があるので、近くの鍼灸医・漢方医に診てもらってください。

類が友を呼ぶに関して、以前の治療例でも説明しているので、良かったらご覧ください。

いつもだるい、眠いなどの症状がある『少陰病』を治す時、鍼灸治療では2つのツボがあります。

通里と大鍾。これはちょっと特別なセット。ほかにも関元、中脘、足三里など気力をアップして、免疫力をあげるツボはあります。どれを選ぶかはその場で臨機応変。

お灸の場合は、ひたすら足三里、関元などでお灸する事です。しばらく経つと、あなたはきっと気づきます。いつものように仕事しても、全然疲れなくなる。

以下は一つの鍼治療例。持病の息切れを治したついでに、体力がかなり上がりました。鍼治療後に体力アップした人は、しょっちゅう見られます。

関節痛の鍼治療は簡単です。リウマチの痛みであろうとケガした膝痛であろうと、少し時間をかければ効果を実感できます。何ヶ月も治療が必要なのは、何十年のひどいリウマチ。それ以外は、すぐ効果が分かります。

以前の簡単な鍼治療例、参考になると幸いです。

(おわり)

  1. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

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  2. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

    ↩︎

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