こんにちは。李哲です。
今日はアメリカの中医師:鄭智城先生*1の文章。
全身の痛み、花粉症からくる鼻水が止まらない、足の踵の痛みが、わずか3種類の生薬で治った面白い治療例です。
中国語本文のリンク先は、
(2012-05-31 05:01発表)
生薬が少なすぎくて、信用しない患者
ある患者さんが電話して来て、最近調子が悪いと言ってました。
おそらく関節の痛みが発作したでしょう。
住んでいる所は特に湿気が多くて、最近の天気はとても寒かったから。
その患者さんはまた身体が弱かったので、この時期に不調が現れたでしょう。
彼の陳述を聞いて、私はすぐ麻黄附子細辛湯を3日分送りました。
彼は漢方薬が届いてすぐ開けてみたら、なんと軽~~い3種類の生薬だけ!
(私が全部少なめに処方しているから)
彼は信じがたくて、また電話して来ました。
彼「鄭先生、本当にこれだけですか?」
私「そうですよ。処方は間違いないです。先に飲んでみて下さい。」
数日後、彼はまた電話して来ました。
今度は鼻づまりがひどいそうです。
彼「突然花粉症になり、鼻水がタレっぱなしで目を開けることすらできないです。アメリカに来て何年も経っているけど、こんなにひどくなったのは初めてです。」
私:「前回の漢方薬は飲みました?」
彼:「まだ飲んでないです。」
前回の生薬がとても少なめなので、彼は信用しないで飲んでないのが分かります。
他の言葉は言ってもムダなので、私はとりあえず前回の漢方薬を飲ませることにしました。
麻黄附子細辛湯をのんでから、体の痛み、花粉症、足の踵の痛みが全部消えた
またすぐ、彼から電話が来ました。
「鄭先生、この漢方薬は、なんでこんなにマズイですか?こんなに苦い漢方薬は初めて飲みますよ。」
びっくりする必要もないですね。
細辛と附子(トリカブト)は非常に辛味があるので。
【▲細辛の画像】
その後、彼はまた言いました。
「でも、飲んだあと、口の中に甘い香りがします。本当に不思議!」
翌日、彼はまた電話して来ました。
「おかしいですね。2日目の漢方薬は全然苦くないです。とても飲みやすい。」
私「調子はどうですか?」
彼「体の痛みは消えました。花粉症もなくなり、もともと足の踵が痛かったのも治りました。」などなど。
3日分の漢方薬がなくなって、彼は「もう一度送ってほしい」と言ってました。
送ったのは同じ麻黄附子細辛湯。
量が少ないと言われると思って、今度は淫羊霍・萆薢などの腎臓を強化する生薬を追加し、見た目のボリューム感を良くしました。
しかし、彼が電話で言うのは、「今回の漢方薬は前回ほど強力に効きません!」
本当に合わせるのが大変な人。。。
李哲の感想:漢方薬の味は不思議
最後の漢方薬の効き目が弱くなったのは、余計な生薬を入れたからです。
漢方薬は軍隊の戦いと同じで、必要最低限の軍隊しか使いません。
基本的に火力を集中して要塞を攻略するやり方です。
人員が多すぎると、移動も不便で機敏に戦えなくて、負ける可能性すらあります。
だから、歴代の有名な処方箋は、みんな削減できないくらいまで縮小し、シンプルかつ効果バツグン。
勝手に生薬を増加したり削除したりすると、効果が落ちます。
これは処方する時の難しいところ。
また、漢方薬は不思議な所がありますね。
どんなに苦い漢方薬でも、体に合うときは甘く感じるのです。
もちろん、これはすべての人に起きる現象ではなく、一部分の人だけです。
他の人が飲むとゲロマズい生薬なのに、必要な人は美味しいと言うのが、漢方薬の不思議なところ。
上記の患者さん、関節痛は鍼灸治療で難しくないです。
以下は一つの治療例。
花粉症・鼻水の自覚症状は、針で治した例は多く書いてますので、説明を省略します。以下の関連記事には、いくつか症例があるのでどうぞご覧ください。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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