「疲れが取れない」「腰が痛い」「白髪が増えた」「夜中にトイレが近い」——これらは全部、腎臓の“悲鳴”です。 中医学では、腎臓は生命力の源であり、弱ると全身にさまざまな不調が現れます。
本記事では『黄帝内経』の原文をもとに、腎虚証の具体的な症状と、実際に改善した治療例をわかりやすく解説します。
✅️ この記事でわかること
1.『黄帝内経』に記された腎虚証の具体的な症状
2.腎臓(本体)と腎経(経絡)の違いと、それぞれの異常で出る症状
3.なぜ同じ腎虚でも人によって症状が違うのか
4.西洋薬が腎臓に与える影響と、副作用に隠された“腎虚のサイン”
5.鍼灸・漢方で腎虚が改善した実際の症例
6.腎虚を疑うべきチェックポイント
腎虚の症状一覧|食欲不振・顔色の黒ずみ・強い眠気など具体例
こんにちは、李哲です。
今まで腎虚証の記事は何回も出ました。
例えば足の踵の痛みは、腎虚証。足つぼでかかとの痛みを治した例は、以下の記事です。
▼口内炎は腎虚証から来る時もあります。以下は漢方薬と鍼灸ですぐ治した例。
▼尿もれ、尿失禁、頻尿なども腎虚証。漢方薬には尿のトラブルを治す体表的なものがあります。以下の記事で詳しく説明しているので、どうぞご参考に。
なぜ、同じ腎虚証なのに、病名も違うし、症状もバラバラなのか?
今日は腎臓に関する基礎知識を、『黄帝内経』の原文をもとに、皆さんにご紹介します。
中医学でいう臓器は、内臓本体と内臓から枝みたいに全身を走る経絡があります。次は内臓本体と経絡、病気になったときに現れる症状をまとめました。
腎経(足少陰腎経)が弱ったときの症状|黄帝内経の原文を解説
『黄帝内経』に載っている古文を私が翻訳してみました。
是动则病饥不欲食,面如漆柴,咳唾则有血,喝喝而喘,坐而欲起,目(盳盳)如无所见,心如悬若饥状。气不足则善恐,心惕惕如人将捕之,是为骨厥。是主肾所生病者,口热,舌干,咽肿,上气,嗌干及痛,烦心,心痛,黄疸,肠澼,脊股内后廉痛,痿厥,嗜卧,足下热而痛
引用元:『黄帝内経・霊柩・経脈第十篇』
▼直訳します。
腎臓の経絡に問題が生じたとき現れる症状は以下のとおり。よく見かける症状は、太字で示しています。
- お腹が空いているのに、食べたくない、食欲不振
- 顔色はドス黒い
- 咳き込むと血が出る
- ゼーゼーハーハーして、寝られないから起き上がろうとする
- 目がかすんでよく見えない
- 心臓が浮いているように落ち着きがない
- 自分が逮捕されそうで怖がる
- 口の中が熱い
- 舌が乾く
- 喉の痛み
- 喉が乾燥して痛い
- イライラ
- 黄疸
- 下痢
- 倦怠感が強くて、ずっと寝ていたい(眠気)
- 足の裏が熱くて痛い
倦怠感が強くて、寝ても寝ても寝足りない方はいませんか?
あなたの腎臓に問題が起きているからです。
以下はステロイド剤を飲んだあと、ひどい倦怠感の副作用が現れた女性の治療例。
顔がドス黒いのは腎臓が破たんした時、特徴がある艶がない黒い色です。だから、ニハイシャ先生1は治療例でよく言いますが、腎不全で人工透析をする患者さんは顔を見ただけで分かる。
私も通勤中に見たことがあります。
でも、言えないですね。
「あなた人工透析しているでしょう?漢方薬もしくは鍼治療で人工透析の悪夢が終わりますよ。」と言ったら、きっと気狂いだと言われるはず。
腎臓が弱ると、症状は一つではありません。
中医学では「腎は全身を支える根」と考えられ、腎虚になると全身に影響が広がります。
そのイメージを視覚化したのが、次の図です。

腎不全は漢方薬で治せる病気です。
西洋医学では人工透析(血液透析)で収めていますが、一時的な緩和対策で治療ではありません。患者さんは苦痛の人工透析を受けながら、徐々に死んでいく。以下はニハイシャ先生の一つの漢方薬治療例、参考になると幸いです。
ほかのドライマウス(口の中が異常に乾く)、パニック障害、不安障害なども腎虚証と関連しています。
腎臓(本体)が弱ったときの症状|髪・骨・脳に現れるサイン
次は腎臓の働きをもとに、腎臓(本体)に問題が起きたときの症状を書きます。
腎虚で起きる髪の変化|白髪・抜け毛・ツヤの低下
肾者,主蛰,封藏之本,精之处也;其华在发,其充在骨,为阴中之少阴,通于冬气。
引用元:『黄帝内経・素問・六節臓相論篇第九』より
▼直訳します。
腎臓は集める・収めるもとで、「精」を格納するところ。
腎臓の良い栄養素(精華)は髪に現れ、骨の中を補充する。
腎臓は陰の中の少陰で、冬の気とつながっている。
髪の毛の艶がなくなり、白髪が増えたときは、腎臓が弱っている事を示します。
📗関連記事:白髪が黒髪に戻ったのはなぜ?84歳男性の鍼治療で腎虚が改善された事例
腎虚が骨・脳に与える影響|骨粗鬆症・関節痛・記憶力低下
『黄帝内経』の文章を引用します。
骨枯而髓减,发为骨痿
肾主身之骨髓
引用元:『素问•痿论』
肾主骨
引用元:『素问·宣明五气篇』
肾者……其充在骨引用元:『素问·六节藏象论』
肾生骨髓引用先:『素问·阴阳应象大论』
肾不生则髓不能满引用元:『素问·逆调论』
诸髓者,皆属于脑
引用元:『素问·五脏生成篇』
肾藏骨髓之气引用元:『素问·平人气象论』
▼ まとめて直訳します。
腎臓は全身の骨と骨髄を作り出す。
骨髄はみんな脳に属する。
骨が枯渇して骨髄が減ったら、骨萎になる。
骨萎は、骨が萎縮・力がなくなる意味です。もともと、骨は体を支える最大の臓器で、骨がしっかりしているから、人間は立って歩けます。
もし骨がダメになったら、歩けないし座ることも難しい。小児麻痺、脊椎側湾症、ひどい猫背など体表的な病気です。
臨床でもっとも多いのは膝・肘・手首・指関節・股関節・背骨が痛い頚椎ヘルニア、椎間板ヘルニアなど。とにかく、骨が痛いのは腎臓に問題があることを示します。
白血病は骨髄の異常な増殖だと言われています。中医学から見ると、白血病は骨髄の問題なので、腎機能と関連している。白血病に関して私が書いた小論文があるので、参考になると幸いです。
腎臓は骨髄を作り出し、骨髄はまた脳細胞を養うので、人間は記憶力があります。もし腎臓がダメになった場合、西洋医学でいう「認知症」が出て記憶力障害が出ます。
西洋医学ではアルツハイマーよ認知症よ、様々な病名を出しているけど、根本的な原因は腎臓が毒殺されたから。
昔は認知症なんてなかったです。
現代の西洋薬の普及がなかったら、この病気も普及されない。
📗関連記事:認知症の原因は病院の薬、昔は認知症なんてなかった!
腎虚と歯の関係|歯が浮く・歯ぐきの痛み・歯の弱り
中医学で言うのは、「歯為骨之余」
つまり、歯は骨が余ったもの。骨から歯が作られているのです。
- 歯がボロボロ。
- 歯ぐきが痛い。
- 歯が浮く感じがする。
このような症状は、全部腎臓がダメになった時です。
歯周病で歯が抜けるのを鍼で治した例があるので、どうぞご参考に。
腎虚と腰痛の関係|ぎっくり腰・慢性腰痛の原因
先に古文を引用します。
腰者、腎之府、转摇不能,腎将惫矣。
引用元:『黄帝内経・素问・脈要精微論』
▼直訳します。
腰は腎臓の住む場所。
腰を動かす事ができないのは、腎臓が疲憊・過労しているとき。
臨床でみると、ほとんどの腰痛は腎虚証と関係しています。治療としてはもちろん腎臓を強化しないといけない。漢方薬もしくは鍼治療、どちらでも腰痛を治せます。
西洋医学は腰痛を治せないから手術をすすめるけど、中医学では笑い話です。
鍼で簡単に治るのに、手術は大げさでしょう?
手術で腎臓が強くなりますか?
以下は鍼で腰痛を治した例、参考になると幸いです。
腎虚とメンタルの関係|やる気が出ない・意欲低下
先に古文を引用します。
「五臓所藏、心蔵神、肺蔵魄,肝蔵魂,脾蔵意,腎蔵志。」
引用元:『素问·宣明五气篇』
腎臓が司るのは、「志」(こころざし)。
言い換えると、志がある人、何かやりたい・目標を達成したち人は腎臓が正常。腎臓に問題が起きると、何もしたくない・何をしたら良いかも分からなくなります。
腎虚で起きるむくみ|足のむくみ・腹水・冷え
腎臓は陰陽五行論で「水」に属します。
むくみ、腹水などは全部「水」が氾濫したときの症状。
「水」は重いので、下にたまります。
だから、足のむくみは手のむくみより圧倒的に多いです。
腎臓がダメになればなるほど、むくむ範囲が広がります。最初は足首まで、その後はふくらはぎまでむくむ。もっともひどいのは、太腿までむくんで氷みたいに冷たいこと。
鄭智城先生2の記事でも、様々な腎虚証の症状を書いてあるので、参考になると思います。
腎虚の症状まとめ表
| 分類 | 症状 | 出典・説明 |
|---|---|---|
| 食欲 | 食欲不振・空腹なのに食べたくない | 『黄帝内経』の腎経の病症 |
| 顔 | 顔色が黒ずむ(艶のない黒) | 腎の色は黒、腎虚で濁る |
| 目 | かすむ・見えにくい | 腎は「目の奥の力」を司る |
| 口・喉 | 口渇・舌の乾燥・喉の痛み | 腎経の熱症状 |
| 心 | 不安・恐怖・落ち着かない | 腎は「志」を司る |
| 眠気 | 強い倦怠感・眠気 | 腎精不足で気が回らない |
| 骨 | 膝痛・腰痛・関節痛・骨の弱り | 腎は骨を主る |
| 髪 | 白髪・ツヤがない | 腎の華は髪 |
| 歯 | 歯が浮く・歯ぐきの痛み | 歯は骨の余り |
| 排尿 | 頻尿・尿もれ・夜間尿 | 腎の水の代謝低下 |
| むくみ | 下半身のむくみ・腹水 | 腎は水を司る |
| 精神 | やる気が出ない・志がない | 腎蔵志 |
腎虚の症状が人によって違う理由|体質と腎の働きの関係
中医学の生理学内容を見ると、腎臓が司る範囲は非常に広いです。人それぞれ、生まれつきの体質が違いので、同じ腎虚証でも同じ症状が現れるとは限らない。
例えば、この人は腎虚証でむくみがひどいけど、眠気にはならない。あの人は腎虚証だけど、歯が丈夫で腰痛もない、ただ認知症になって記憶力がないだけ。
以前、甘い物・乳製品を止めさせた女性から「文句」がありました。詳細は以下をご覧ください。
当時、私は彼女に答えましたが、腎臓の管理範囲は広いので、たとえAに出なくても必ずBに出ます。腎虚証になったとき、なにも症状が出ないわけがない。
つけは必ず回って来ます。
西洋薬が腎臓に与える影響|副作用に隠れた腎虚のサイン
西洋医学は薬の副作用一覧に、病名は書かないで自覚症状を書くのが好きです。その自覚症状は何を意味しているのか、私が解釈してみました。
最初、風邪薬のパブロンの主な副作用を見てみましょう。
- 口渇
- 眠気
2つ当たっています。
次は、ロキソニンの副作用を見てみましょう。
参考先:ロキソニンによる副作用
・胃部不快感がある
・腹痛がする
・悪心がある
・嘔吐する
・食欲不振になる
・浮腫ができる
・むくみがでる
・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)がでる
・眠気がする
ロキソニンは4つもピンポンです。
最後、アレグラを見てみましょう。
(参考先:アレグラ副作用(アレグラ錠) :薬によるもの)
主な副作用は、
- 頭痛
- 眠気
- 吐き気がする
直接当てはまるのは一つあります。
間接に引き起こす副作用は、まだ計算していません。
上記の薬を見れば分かりますが、腎臓にダメージを与えない西洋薬がありません!
腎臓がずっとダメージを受けたらどうなるか?
- 最終的には腎臓癌、腎不全になり人工透析を受ける。
- 骨がダメになるので、膝痛・股関節痛に悩まされ、高価な人工関節置換術を受ける。
- 骨髄と脳ミスが減るので、徐々に記憶力がなくなり、難治性だと言われるアルツハイマー・認知症になり、また高価な副作用だらけの新薬を試す。
しかし、西洋医学は絶対に薬の副作用に腎不全・腎臓にだと書きません。症状を書いてごまかすだけです。
西洋薬をもっと深く理解するためには、以下の記事がオススメです。読んだことがない方はどうぞご覧ください。
西洋薬の副作用 → 腎虚症状の対応表
| 西洋薬の副作用 | 腎虚の症状 | 解説 |
|---|---|---|
| 口渇 | 口の熱・舌の乾燥 | 腎陰が消耗される |
| 眠気 | 強い倦怠感・嗜臥 | 腎精不足で気が回らない |
| むくみ | 下半身のむくみ | 腎の水代謝が低下 |
| 食欲不振 | 食べたくない | 腎虚で脾が弱る |
| 関節痛 | 骨・関節の弱り | 腎は骨を主る |
腎虚の治し方|漢方薬と鍼灸で改善した症例
腎虚証の様々な自覚症状を述べました。
ということは、あなたに以上の症状が現れたとき、中医学の先生は腎臓に問題があると判断するわけです。もちろん、関連の治療方法も完備しています。
以下は、腎虚証の腰痛を治した例。
漢方薬と鍼治療例です、参考にして下さい。
以下の画像は、最近見た駅ナカのポスターをスマホで撮ったもの。
日本人の女性、死亡原因第一位は大腸がんだそうです。進行するまで自覚症状がない!早期発見・早期治療しましょう!という宣伝。

笑っちゃいました。
自覚症状がない?!
便秘・手足の冷え性・不眠症…中医学の先生から見たら治す項目がいっぱいあるのに、なぜ自覚症状がないと言うんですか?
だから、西洋医学の健診を信じた結果は、自覚症状がどんどんひどくなり、ある日大きな腫瘍が見つかるのです。
最初の症状がある時に治せば、あとの大きな腫瘍もないのに、自覚症状を無視する・治せない現代医学は可愛そうな医学だとしか言えない。
なにが辛い自覚症状があったら、漢方医もしくは鍼灸医に治してもらってください。病院の診断を信じたら、病気が見つかったときは手遅れです!
この記事のまとめ
腎虚は、腎臓(本体)と腎経(経絡)の働きが弱ることで、 体のあらゆる場所に不調が現れる「全身性の問題」 です。
腎は髪・骨・脳・歯・水分代謝・メンタルなど、 人間の根本的な機能を支える臓器のため、 弱ると症状が一つに絞られず、人によって出方が違います。
さらに、西洋薬の副作用には腎虚のサインが多く、 薬を使うほど腎の負担が増えるケースもあります。
腎虚は放置すると進行しますが、 中医学には腎を補う治療法(漢方・鍼灸)が確立されており、 記事内の症例のように改善例も多くあります。
複数の不調が同時に出ている人ほど、腎虚を疑うべきです。
- ↩︎
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
- ↩︎
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

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