こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の記事、老美中年失业男的性生活_郑智城(2013-02-02 発表)を翻訳しました。
手足がしびれる原因、治療方法などが書かれていて、なぜマスターベーションがダメなのかも説明しています。中医学の独特の考え方、参考になると幸いです。
顔のしびれ、手足の麻痺は漢方薬ですぐ良くなった
2ヶ月前、一人のアメリカ中年男性が治療に来ました。主訴は両手の麻痺から始め、徐々に左顔・左足の小指も麻痺するようになった。
私は彼の電話に出た時、「これは脳卒中の前兆かも知れない」と話しました。そして彼は予約して来たのです。
このアメリカ人は太っていて、話している時に、いつも両手を重ねて机の上にうつ伏せになっていました。
脈診では沈弦。
舌診では舌が赤黒、舌苔が白い。
眼診では腎臓がとても弱かったです。
手足の麻痺(しびれる)症状は、たくさん経験があります。本当に脳卒中になった患者さんも治療した例が多い。だから、処方箋はいつものもの。
すぐ諸症状は良くなり、顔はしびれなくなり、手足が麻痺するのも良くなりました。
▼李哲の説明:
足指の感覚マヒ、鍼治療の症例が一つあるので、どうぞご参考にしてください。
治療が一進一退するのは、夜寝てないのが大きな原因
しかし、問題が一つありました。
彼の諸症状は浮き沈みがある、良くなったり悪くなったりするのです。
なぜ良くなったり悪くなったりするのか、最初は原因不明でした。彼が何回も来ているうちに、私は彼とオシャベリして真相が浮いてきたのです。
彼は何年も失業していて、今はある特殊なタクシー運転をしているそうです。このタクシーは、予約したお客さんがいれば提供できるサービス。
ただし、法律ではこのようなタクシーは普通に道端を走りながら商売ができない。お客さんが予約してからこそ、街に出られるタクシーです。
問題はこの業界、シフトが不定期。昼間に仕事するときもあるし、夜中の2~3時に仕事する時もある。彼のシフトは、ほとんど夜中だったので、彼は朝3~4時ごろに寝ていたのです。なるほど…夜更かしの仕事は、一番脳卒中になりやすい。
だから、彼の治療結果は良くなったり悪くなったりしていました。これは仕方がないですね。彼は生計を立てるために、シフトなんか選べられないから。
▼李哲の説明:脳卒中の原因は、ニハイシャ先生の治療例で詳しく説明しているので、どうぞご覧ください。
マスターベーションは腎臓と心臓に悪影響があって、漢方薬の邪魔になる
また数回か再診察して、彼の状況がまた不安定であるのを気づきました。両手のマヒは良くなったり悪くなったり、有効だった処方箋も効かなくなったのです。
私は不信感があって彼に言いました。
「No Sex」
つまり、性生活は禁止。
彼は肩をすくめて、「ないですよ」と答えてました。
性生活を禁止する事項は、以前から彼に伝えています。当時、彼が言うのは何年も彼女がいないので、これは大丈夫。
今日私はもう一つ聞きました。
「Not even masturbation?(マスターベーションはしてないですか?)」
彼は頷いたあと、逆に質問しました。
「これもダメですか?!いつまで止めれば良いですか?1ヶ月?」
私「諸症状が治るまで!」
今回は謎が完全に解けました。
彼は彼女いないけど、自慰行為の邪魔にはならないのです。
自慰行為は、心臓と心血管系への障害が非常に著しいです。
自慰行為(マスターベーション)は、ダイレクトに腎臓に悪影響があります。その次は心臓と心血管系。だから、腎虚証の人はよく心臓病の症状が現れます。
注意事項等を伝えるときは、やはり直接に言ったほうが良いかも。
マスターベーションを止めさせてから、両手の麻痺はだいぶ良くなった
以下は続編
(2013-02-09 発表)
今日、彼は再診察に来て、最初話したのは、「今回の処方はとてもGreat。そこまで高くない。両手の麻痺は、だいぶ良くなりました」
彼の電子カルテを見たら、前回の処方箋は補中益気湯+陽和湯。
陽和湯を使った理由は、彼が前回ズボンを上げてふくらはぎの外側(胃経のところ)に傷口があり、なかなか治らないと言うので。なにも考えずこの処方の組み合わせにしました。
陽和湯は、もともと「陰疽」の処方箋。つまり、なかなか治らない傷口のためのやつ。
補中益気湯は、名前通り胃腸を補って気を増す漢方。中の黄耆(おうぎ)は、長年の傷口にも最適しています。
だから、この組み合わせは彼にとても合っていた。
そして、前回特別にすべての形式の性生活を禁止していたので、今度の効果はとても良かったです。
▶李哲の説明:
補中益気湯の症例は他にもあります。以下の記事、どうぞご参考に。
李哲の解釈と説明
顔・手足のしびれ(マヒ)は、気血が足りないのが原因です。
早めに治さないと、脳卒中になる確率が高い。これは過去の鍼治療例でも説明しました。
西洋医学では手足の麻痺を頚椎ヘルニアよ椎間板ヘルニアよというけど、中医学から見ると危険なサイン(体のSOS信号)かも知れません。
たまにある麻痺は大した事がないけど、持続する手足の麻痺がある場合、すぐ治してくれる鍼灸院・漢方医を探してください。
上記のアメリカ中年男性は体型が太っているので、おそらく運動もしないでしょう。その上にまたタクシー運転、座りっぱなしで動かない。これだと気血がつまり、体の気(エネルギー)がどんどん減ります。運動しないとダメですね。
傷口が治らないとき、西洋医学は抗生物質をよく出しますが、抗生物質が効かないときはどうしますか?
以下は西洋薬で治らないのを、漢方薬だけで治した例。感染症・炎症には漢方薬の効果が良いことを覚えてください。
性行為(自慰、マスターベーションを含み)を禁止する必要性に関しては、以前の記事に詳しく説明しました。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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