こんにちは、李哲です。
西洋医学で、寝汗の原因は強いストレスだと言います。またまたストレスですね…頭痛も不眠症も胃痛も…何でもかんでもストレスだったら、医学の存在する意味は?解剖学・病理学を勉強するより、悩み相談の先生になったほうが良いじゃないですか?
中医学の専門用語で解釈すると、寝汗の原因は「心陰虚」。ちょうど良い鍼治療例があったので、なぜ鍼で寝汗がすごい症状を治せるのかも説明します。
寝汗がすごい男性、鍼1回で治った
患者さんは30代の男性。
メンテナンスのため、毎週鍼治療に通っています。前回も彼の記事を書いたことがあるので参考にしてください。
今回は面白い症状が出ました。天気が寒くなったのにも関わらず、2日間寝汗でびっしょりになるそうです。
ちょっと話を聞いてから、私はすぐ原因が分かりました。心臓にまた問題が出たのです。治療のツボは、心経の陰郗穴(瀉法)1つのみ。めちゃくちゃ響いたそうです。一週間後、彼に来て話したのは、「寝汗はもう治りました。」
なので、今回はめちゃくちゃ響くツボも要らなかったです。以下は陰郄穴の簡易図、参考にしてください。

すごい寝汗が1回で治ったのは稀な例。
誰でも一回て治るとは限らないので、ご理解おねがいします。
彼の寝汗が一回で治ったのは、普段からコーヒー・サプリなど含む当院の禁止物を食べてないし、毎週メンテナンスのために通っていたのが原因です。あと、なにか健康面でトラブルが起きたとき、すぐ治療に来るから治りも速いのです。
寝汗の原因は「心陰虚」
中医学の聖書:『黄帝内経』に書いたのは、汗は心臓がコントロールするもの。異常に汗をかく、もしくは全く汗をかかないのは、心臓に問題があることを示します。以下は古文の引用。
心主汗,肝主泣,肺主涕,肾主唾,脾主涎,此五液所出也。
『黄帝内経・霊柩・九針論第七八篇』
中医学で寝汗の原因は「心陰虚」だと言ったけど、もう少し詳しく述べます。
心臓には陰と陽があります。
- 心臓の陰は、主に心臓の血管を回っている血液と水分。
- 心臓の陽は、心臓の噴出力。心臓の摩擦で生み出した熱も陽に属します。
- 心臓の陰は、陽を格納する物質。
心臓の陰が足りないと、相対的に心臓の陽が多くなるので、体内は熱くなり汗をかく。
日中は「衛気」というものが外側を巡回しているので、日中汗をかくかかかないかは、心臓よりも「衛気」のほうが決定権があります。夜になると、「衛気」はほぼスタンバイ状態になるので、体内の陽が相対的に多いと汗をかきやすい。つまり、寝汗の症状が起きます。
心陰虚を引き起こす原因は2つ(1位は病院の薬。2位は心労)
病院の薬の副作用で、心臓疾患になった患者さんはたくさんいます。心臓疾患になったら、もちろん寝汗をかきやすくなる。ニハイシャ先生1の治療例を2つあげますので、参考にしてください。
臨床での例をもう一つあげると、抗がん剤を受けたあと、寝汗をかく症状が増える。西洋医学の先生に対して、寝汗をかくのはどうでもいいけど、中医学では心臓がダメになったサイン・予兆。
悪名高い抗がん剤はあとにして、私が話したいのは、2位の心労です。
文字とおり、心の苦労。
簡略してストレスだとも言えます。
中医学理論で、心臓は血液を送るポンプだけではありません。心臓はまた思考・記憶機能があります。西洋医学では思考・記憶を司るのが脳だと言うけど、中医学理論では脳以外に心臓も関連しています。
▼参考になる外部サイト。
心臓が思考・記憶を司ると言ったら、鼻で笑われるかも知れませんが、証拠はたくさんあります。一番の症状は、心臓移植手術後に性格・考え方・嗜好が変わること。
▼参考になる外部サイト。

心臓が思考・記憶の働きを果たすため、物資的な土台が必要です。土台になるのは、心臓の陰(血液・水分など)。
考えすぎ・悩みすぎると心臓の陰を大量に消耗するので、結果的には心陰虚になる。もし補うのが間に合わなかったら、心陰虚が進んで寝汗をかくようになります。
現代社会にいて、悩みと考えるのが多いのは理解できます。ただし、クヨクヨ悩みすぎるのはダメ。冷酷な言葉かも知れませんが、あなたが考えても悩んでも、物事は変わりません。くるものは来るし、起きることは起きます。ほっといて自然に任せる気持ちも必要。
- 病院の薬を飲まない。
- 過度なストレスを避ける。
以上の2点を守れば、心陰虚が避けられて、寝汗をかく症状にもなりません。徹底的に心臓を守りたい方は、ニハイシャ先生の小論文をご覧ください。
寝汗を治すのは、「陰郄穴」一つで足りる
陰郗穴(瀉法)で寝汗を治せるのは、古代の鍼灸医たちがすでに解決しました。以下は古文の引用。
「一泻阴郄,止盗汗」
*李哲説明:「盗汗」は中国語で、日本語に直訳すると寝汗です。
『鍼灸大成2・标幽赋』
陰郄(いんげき)一つ、瀉法を行うだけで寝汗が治ると書いてあります。
ツボ1つで寝汗が治る。
治療代7千円。
鍼2本で7千円?!
治療費が高いと文句をつける方もいるでしょう。
そんな方に、質問があります。
病院に行って寝汗が治りますか?また、病院は保険が効かなかったら、治療費がいくらになるでしょう?
寝汗は難しい症状ではありません。
普段から病院の薬を飲まない人は、心臓がダメージを受けたのが少ないので、わりと治しやすいです。しかし、病院の薬を何年も飲んでから寝汗が現れた方は、簡単に治りません。
なぜなら、鍼灸医はあなたの心臓を治すだけではなくて、化学薬品の毒素を排出しないといけないからです。
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
↩︎『鍼灸大成』は明朝の楊継州の著作。本書は、明代末期に完成した鍼灸書の集大成で、後にも先にも、これを上回る本はないといわれている空前絶後の作品です。明代末(1601年)に刊行されて以来、清代に28回、民国時代に14回、現代中国や台湾になってから何回も刊行されており、六〜八年に一度は新版が出されるという大ベストセラー本です。
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