こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生1の症例、三个中医,一个有趣的案例_郑智城_新浪博客(2011-07-18 発表)を翻訳しました。漢方薬で体力がめちゃくちゃ増えた男性の治療内容、記事中の処方箋など参考になると幸いです。
ガッチリ体型なのに、疲れやすくて唾液が多すぎて困る患者
最近治療に来た一人、見た目はガッチリしているけど脈はとても沈。ほとんど脈がなかったです。
私「とても疲れやすいですか?」
彼は頷きました。
続いて舌をみたら薄い赤。乾いて舌苔は白。
私「口は渇きますか?」
彼「渇かない。逆に唾液が多すぎて困ります。」
漢方医たちの処方がまったく異なるから、混乱した患者
以下は彼の陳述です。
彼はもともとニュージャージー州で、中医学の治療を受けました。最初の中医師の所で2ヶ月治療、効果はまあまあ良かった。残念ながらその中医師はいなくなり、もうひとりの中医師が主治医になりました。
もう一人の中医師は気虚だと判断して、処方も1番目の中医師とだいぶ違う。味があまりない漢方薬。しかし、1番目に処方した中医師の処方は、とても味が濃い。濃すぎて煎じた後はネバネバしていたそうです。
彼は自信がなくなりました。なぜ2人の処方がこんなに違うのか?そして3人目の中医師に診てもらおうとしたのです。
漢方薬の処方がまったく違うのは、体の一部分しか見えてないからです
私は彼の陳述を聞いて、だいたい分かりました。
1番目の中医師はおそらく腎虚証だと判断したでしょう。処方は右帰丸などが挙げられます。右帰丸は地黄丸の改良バージョンで、大量の地黄に鹿角胶などを入れ、味はとても濃くて煎じた後はネバネバします。

2番目の中医師は気虚だと判断し、補中益気湯などを処方したでしょう。補中益気湯の味はとても薄いです。
私「2番めの漢方薬を飲んで、何か変わりましたか?」
彼「まだ1週間しか飲んでないです。そんなに早く変わらないでしょう。まだ感覚的には変わってないです。」
以上の2人の中医師の判断は、みんな間違ってないと思います。患者は腎虚証があるので、右帰丸は正しい。気虚もあるので、補中益気湯も悪くはなってない。しかし、腎虚証と気虚証はみんな表の症状で、根本的な原因ではないです。
疲れやすい・寒がりの原因は、心臓と腎臓が弱くて、水が溜まっているからです
彼の根本的な問題は、火が弱くて水が溢れている。分かりやすく言うと、心臓と腎臓が弱くて水の代謝がうまく行ってない。
彼は身体がガッチリしているけど、たくさんの水が溜まっています。同時に彼は寒がりで、冷房の部屋では必ず長袖を着る。 普段疲れやすいのも、腎虚証と冷たい水が溜まっているのが原因です。
漢方薬を1週間飲んで、興奮剤を打ったみたいに元気になった
彼に処方したのは附子(トリカブト),乾姜,炙甘草,白朮,茯苓,厚朴,半夏,白豆蔻,木香,木瓜。5日分。1週間後に再診察。
1週間後、彼は再診察に来ました。彼が言うのは、「この1週間は、体調が良いです。まるで興奮剤を打ったみたいに元気!」
それはそうでしょう。体内の老廃物が減れば、身体も変わります。だから、「中医学は効き目が遅い、1週間では効果が分からない」という説は、正しくないです。
李哲の解釈と感想
処方が難しい漢方薬
漢方薬の処方は難しいですね…症状に合っている場合は、1週間でも著しい効果が出ますが。合ってない場合は、1ヶ月飲んでも効果が分からない。
処方が正しいかどうかは、もちろん漢方医の腕によります。一般人は知らないと思いますが、漢方医でも2つの流派があって、もし温病派の先生だったら、いつになっても病気が治らない。特に重病の場合は、死ぬしかありません。
体内を温めるのには、お灸がオススメ
鍼灸は即効性があるけど、なんでも1~2回で治るものではないので、しばらく様子を見る必要があります。慢性的な重病は、4~5回やって進歩が少ししかないかも知れません。場合によっては、持久戦が必要です。
上記の男性、脈診で沈。自覚症状は寒がり。喉は渇かない。これだけでも判断できますが、裏寒証です。附子(トリカブト)を使うのは当たり前。
鍼灸の場合は、自宅でのお灸を薦めます。関元もしくは中極穴でお灸すれば、2~3日でパワーが出るのが分かるはず。男性なら元気な朝たちがすぐ戻ります。
むくみは脾経を強化することで治す
体に水が溜まった場合は、基本的に脾経のツボで強化します。よく使うのは陰陵泉、地機、三陰交。中極穴と関元にも、鍼を刺す時がある。
陰陵泉、地機、三陰交はマッサージして、しこりがある所をグリグリ押すだけでも、体がめちゃくちゃ軽くなります。
中医学で脾臓は『土』に属する。
水が氾濫したときは、必ず土を強化して水を制します。
陰陽五行論はシンプルかつ合理的思考で、病気を判断するときに、とても役に立ちます。
西洋医学は無限に細かく分類して分析しますが、中医学は真逆。いろんな共通点がある現象を一つにまとめて、それを「火」「土」「水」などに分類し、陰陽五行論に利用しているのです。
(おわり)
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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コメント
id:riboni5235
riboni5235 さん
ブコメありがとうございいます。
ツボのマッサージも続けると効果抜群ですよ。
安中散は胃にとても良いので、すぐ効いたのは体に合っていると思います。