こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の漢方薬治療例、胃外有寒水,腹脹多年,吃東西沒味道 – 當張仲景遇上史丹佛を翻訳しました。
お腹が張る・ご飯の味が分からない方、漢方薬・鍼灸で治せるのでぜひ参考にしてください。
何年も食べ物の味がしない、お腹が張る症状が漢方薬2週間で治った
患者さんは65歳の男性、中国東北の出身です。長年北京に住んでいるけど、今回は家族訪問でアメリカに来ました。
主訴は数年前からお腹が張る。食べ物の味がしない。北京でたくさんの漢方医・西洋医学の病院を回ったけどあまり変化がない。
問診内容と処方せん(漢方・鍼灸のツボ)
2013.2.13 初診。
主訴:空腹の時でも食後でもお腹がはる。おならをしたりゲップが出すと楽になる。季節の変わり目によく発作する。お腹は大きくて、目の下の腫れもあり、以前は痛風があったそうです。
寒熱:手足は冷たくて寒がり。
汗:汗はあまり出ないけど、手足は汗が出る。寝汗はない。
睡眠:夜11時に就寝。夜間頻尿は3~5回。だいたい夜の12時、1時、3時にトイレに行く。非常に夢が多くて、夢の中で死んでまた復活したりします。
食欲:なに食べても味がしない。夕ご飯はお腹が空かないので食べない。口臭があります。
便通:毎回あるけど、出きってない感じがする。
尿:2~3時間に1回。
口渇:朝は3杯のお茶を飲むけど、昼はあまり水を飲まない。
脈診:少し有力、緩、脈衝の感じがします。
舌診:淡、少し湿気がある。舌苔は白で分厚い、少し黄色(タバコを吸っているので)
処方箋:
炮附子(加工したトリカブト)、生姜、白朮、茯苓、乾姜、細辛、烏薬、呉茱萸、半夏、厚朴、梗米、炙甘草、芍薬。
鍼灸のツボ:
陰陵泉 地機 三陰交 水分 水分の外側1寸 中脘
お腹の張りはだいぶ良くなり、ご飯の味がわかるようになった
2013.2.19
主訴:前回の鍼したあと、体がとても楽。
前回の漢方薬を飲んだあと、20分くらいはベロがしびれていた。その後、お腹が張りがだいぶ良くなったけど、まだ張りはある。
ご飯の味がわかるようになり、目が腫れる症状も治りました。手のひらはまだ赤い色が強いです。手のひらが赤いのは、肝臓もしくは心臓がダメージを受けた時です。以下の治療例でも説明しているので、どうぞご参考に。
睡眠:夢は減ったけど、夜はまだ何回か起きる。
脈診:少し浮いて有力、止まるときがある。尺脈は少し浮いている。
舌診:ベロは白で分厚いけど、前回よりは良い。
処方:
前回同様。
鍼灸のツボ:
前回同様。
2週間後、お腹が張る・食べ物の味がしないのは完全に治った
2013.2.26
娘さんが治療に来たとき、教えてくれました。
「お父さんのお腹が張るのは完全に治り、食べ物の味がわかるようになりました」
お父さんは非常に喜んで話したそうです。
「なんとアメリカで漢方医に出会って、長年の苦しみを治してもらった。これがアメリカに来て一番嬉しかったこと!」
李哲の解釈と感想
李宗恩博士の処方箋を分析します。
炮附子(加工したトリカブト)、生姜、白朮、茯苓、芍薬。これで「真武湯」になります。真武湯は末期癌治療、特に腹水・下半身のむくみによく使われているそうです。具体的な内容は、以下の記事を参考にしてください。
半夏、厚朴、梗米、生姜、炙甘草
▲「厚朴生姜半夏甘草人参湯」から人参を削除したものになります。「厚朴生姜半夏甘草人参湯」は主にお腹が張る・お腹にガスが溜まるのを治す漢方薬。以下の治療例でも出ています。食道がんでもお腹が張る症状があれば、同じ漢方薬を使うのです。
●乾姜、細辛、烏薬、呉茱萸
みんな温める作用が強い生薬で胃腸、膀胱、腎臓、肝臓を温めています。言い換えると、患者さんは体内の冷えが多いこと。加工したトリカブトを使っているのも、体内の冷えを取るためでもあります。
お腹が張るのは脾臓の問題もあるし、大腸の問題もあります。治す時は全面的に解決しないといけません。
食べ物の味がしないのは、脾臓の問題が大きいです。鍼治療をする場合は、胃腸と脾臓がメイン。有名なツボは内廷+足三里でしょうか。私はほぼこの2つだけで、お腹が張る症状を治しています。
以下は一つの鍼治療例。1回で治せのは、あくまでも個別の症例、みんな1回で治るとは限りません。参考になると幸いです。
食べ物の味がしないのも、鍼治療で治せます。以下は妊娠した女性、味覚が低下して食べ物の味がしないのを治した例。どうぞご参考にして下さい。あなたが妊婦さんであろうと男性であろうと、同じ症状は同じツボで治せます。
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
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