極度の倦怠感で歩けない・声が出ない女性|複視・呼吸困難も改善した鍼灸症例(前編)

「検査では異常なし」と言われたのに、歩けない、呼吸が苦しい、声も出ない。

今回紹介するのは、極度の倦怠感と呼吸困難により日常生活もできなくなった29歳女性の症例です。

初回の鍼治療で呼吸と声に大きな変化が現れ、その後約2年をかけて体力・生理痛・複視まで改善していきました。

本記事では、初診から回復までの経過を時系列で紹介します。

📍この記事でわかること

✅️極度の倦怠感・呼吸困難・声が出ない症状の経過
✅️初回の鍼治療で現れた変化
✅️体力・生理痛・複視が改善するまでの流れ
✅️2年間の治療記録と経過観察

目次

極度の倦怠感、呼吸困難、声が出ない女性

2023年11月7日。

患者さんは29歳の若い女性、千葉県から来ました。片道2時間半かけて。

彼女の主な症状は、太ももの前と外側が痛い時ある。重い痛みと刺すような痛み、両方あるそうです。4~5年前から不可解な病気を患いました。病気が発作した時の症状は、歩けなくなり、呼吸困難、声が出ない、息を吸うのも吐くのも難しくて、話すのはさらに無理。喉がぎゅーっと閉められてる感じ。

呼吸困難と強い倦怠感により胸を押さえる女性のイメージ
呼吸困難や声が出ない症状、強い倦怠感に悩まされた女性の症例です。

西洋医学では正常だと診断

彼女が言うのは、「病気になる前は、よく食べられてお酒もよく飲まれてた。病気が発作する前は仕事の過労もあり、食生活の乱れもあった。ダイエットのために、晩御飯の白ご飯を減らした。多分いろんな要素が重なって発作したでしょう。」

病院で心臓、脳とか検査したけど正常。
最後は心療内科に進められ、千葉大学病院でセカンドオピニオンをしたけど、やはり正常だと診断されました。

病院の先生が言うのは、「検査は正常だから神経かもしれない。神経の場合は治せない。」

初診時の症状

彼女は諦めて実家に住みながら、実家の近くの鍼灸院に通い始めました。鍼治療後、徐々に室内で歩けるようになって、絵を描く仕事ができるようになりました。 ただし、無理するとかなり疲れて体調が戻らなくなる。

今日来院した時の症状は以下のとおりです。

  • 呼吸が浅くて呼吸困難
  • 話せない
  • 言葉が出ても、ものすごく低い声

まるで胸が圧迫されて、声が出ない感じでした。

初めての鍼治療で、深呼吸ができるようになり、声が普通に出るようになった

早速、鍼治療に入りました。

最初を刺したのは内関。
ちょっと回したら、すぐ息を吸う量が増えて、深呼吸ができるようになりました。

その後、鍼したのは列缺、照海、足三里、公孫、太衝、陽陵泉、関元、中脘、巨闕、神門、合谷、太陽、攅竹、百会。

俯瞰視点から見た男性の頭部イラスト、百会穴の位置を赤いマークで示す、頭痛や風邪に効果的なツボ
百会の位置をわかりやすく示した頭部のツボ画像

手術が終わってお茶を飲んでる時、彼女は普通に歩けて普通に話せるようになりました。隣のお母さんが言うのは「顔色がすごく良くなった!これは化粧では絶対できない!」

彼女は複視が治ってびっくりしていました。
今までいろんなところで行っても治らなかったのに、1回で治ったなんて。

あとの記録で分かりますが、複視は1回で治ったのではなくて、波がありました。良くなったり悪くなったり、最終的には治りましたが。

病気の原因が判明

鍼治療が終わって、彼女と彼女のお母さんとおしゃべりするとき、重要な情報を聞きました。
8歳の時に、漏斗胸(ろうときょう)と診断され、当時は手術して直すほどでもないので放置したそうです。

私は彼女に伝えました。
「漏斗胸が病気発作の大きな要素です」

なぜ漏斗胸で声が出ない、疲れやすい、ひどい倦怠感が出るのかは、後篇で説明します。

体力が増え、日常生活が楽になった

2023年11月15日、21日の経過

彼女は早歩きで来たから、息が上がって話しづらい感じでした。他の症状はいい、体力はかなり増えたそうです。

痛い鍼なのに、治療後に逆に体力が増えるのが不思議でしょう。でも、改善した患者さんの声はたくさんあります。以下は乳がん術後の女性が鍼治療後に、体力が増えた症例。参考になると幸いです。

🔗鍼治療で体力が増え、気持ちも明るくなった乳がん術後女性の症例

2023年11月29日の経過

私が見たら、彼女の姿は前と全然違う。普通に歩いて入ってきました。今週も調子が良くて母の手伝いもしている。朝はさっと起きられて、猫のポーズとかヨガをしている。前は痛くてできなかった。

今日の鍼をした後は首肩が楽、すごく回れるそうです。

顔色が良くなり、胸の張りも戻ってきた

2023年12月7日の経過 

彼女が言うのは、「朝起きた時、肩から背中、腰まで全部固くて辛い。」

私がよく観察したけど、彼女の今日の話し声が少し低い。声は出しにくい感じ。脈診してみたら沈んで早い、そして弦脈。

寸脈がほぼ触れなくて、私はびっくりしました。

水墨画風のイラストで、医師が患者の手首に指を当てて脈を診ている手元のクローズアップ

お母さんと彼女の報告

施術が終わってお茶を飲むとき、お母さんが隣で言いました。「彼女は病気発作で倒れた時は顔色が非常に悪くて、血色なかったです。どす黒いというか。今は鍼をしたおかげで顔色がいい。徐々に顔色がまた悪くなるけど、完全に黒くなる前にまた鍼してるので、いい状態が続いています。」

彼女が言うのは、「鎖骨の前、胸の上は肉がなくなってへこんでいたのに、この前触ってみたら膨らんできてた。服の上からでもわかるぐらいです。すごく嬉しい!!!」

彼女はまた話しました。「昔から三半規管が弱いと言われ、船などは恐怖で一回も乗ったことがない。また、ある角度の姿勢ですごく目眩がします。」

私は彼女に伝えました。
「原因は横隔膜にあり、漏斗胸が原因です」

疲れるとひどくなる複視、杞菊地黄丸で一部改善

2023年12月26日の経過

12月26日。
彼女が言うのは、呼吸が辛いのはない。運動をしようとしてるんだけど、怖いのもあるし、夕方には疲れ切って倒れるのも怖いし、運動は少ししかできてない。

脈を見たらまだ弱くて早い、しかも沈んでいました。

彼女の仕事は、目をすごい使いますので、物が二重に見えるのはまだありました。通常の鍼をしても鍼を抜いた時は変わらない。それで以下のツボを追加しました。二間を刺したら、二重見えがすぐ減り、そのうえに三間を追加しました。

彼女は言うのは、近いものではなくて 、遠くて大きなものが二重に見えるそうです。

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2024年1月9日の経過

1月9日。

彼女の報告:
今週は目の疲れがひどくて複視が強い。
首肩背中がパンパンに張ってる。
以前は正月にお客さんが来ただけで疲れたのに、今年はまあまあ夜まで頑張れる。疲れるけどスーパーで正月の買い物をしたり、電車でここまで来るなんて、以前は想像もできなかった。

杞菊地黄丸を飲んでいるけど、自分に合うと言ってました。目の疲れが以前より少ないから。

漢方薬で視力改善した症例はたくさんあります。以下が一つ、参考になると幸いです。

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生理痛が改善し、忙しくても以前みたいに倒れなかった

2024年1月16日の経過

1月16日。

彼女の報告:
今週の調子はいい。
朝から掃除のお手伝いもできる。
生理前の不調と生理中の痛みはあったけど、普通に動けた。
以前は生理痛で死んでました(笑)

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2024年2月2日の経過

2月2日

彼女の報告:
この2〜3週間はずっと忙しくて、お灸する時間もない。
首肩と背中がバッキバキこって、息もしにくい。
食欲はまあまあある 。
目が痛くてよく自分で目の周りを押してる。
すごく忙しい割に倒れてなくて仕事し続けてる自体、以前は考えられなかった。

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葛根湯で肩こりを改善、3km歩けるようになった

2024年2月20日の経過

2月20日。

彼女の報告:
前回の針をした後 1週間は頑張れた。今日電車で来るとき、疲れて声がまた出なくなった。仕事が忙しい。ストレッチはたまにやっている。葛根湯を飲むと、首肩背中の張りが減ってる感じがする。

葛根湯が肩こりに効く理由は、葛根湯が肩こりにも効く理由を解説をご覧ください。

2024年2月27日の経過

2月27日

彼女の報告:
普段、家の中、家の近所で歩く分には疲れない。
バスで2時間かけてここに来る時は疲れる。

今日来院した時は疲れて、声は一応出るけど、すごく低かったんです 。一緒に来たお母さんが言うのは、家にいる時は朝起きて家事も手伝いしてるし、この前は家から3キロ離れたところまで歩いて行ったけど倒れなかった。

石畳の道を歩く女性の足元
以前は少しの外出でも倒れていましたが、体力が回復し3kmの散歩ができるようになりました。

不慮の事故は鍼でまた治した

お店の入った時、彼女の顔色も先週よりとても良くなりました。

ただし、今日の鍼治療で事故が起きました。
彼女が着替えして出た時、明らかに元気がなくてお腹と脇腹を抱えてました。

私が聞いたら、背中と脇腹が痛いらしいです。
私は思ったのは、背中の肝兪と膈兪を刺した時、深すぎて中の神経を触ったかもしれない。そして急いで救急の鍼をしました。束骨で瀉法を行ったら背中の痛みはすぐ消えました。その後、足三里に鍼をして強く補いました。

彼女が言うのは、「深呼吸したときに、 みぞおちの上の方が痛い。」

私は彼女に伝えました。
「横隔膜周辺に負担がかかった可能性があると思います。」

内関穴の位置を示す簡易イラスト。手首の内側に位置する鍼治療のツボ
内関穴の簡易イラスト

そして、内関に鍼を刺して強く瀉法を行いました。
鍼を回したら、痛みはすぐ2割ぐらいまで減り、もう一度瀉法を行ったら痛みはゼロになりました。

また今日の鍼を置いてる間に、ひどいめまいが生じて、深呼吸できない痛みは鍼で治ったけど、ベッドでしばらく休みました。正直、こんなひどい好転反応は初めてみました。

めまいを減らすために以下のツボに鍼をしました。
百会、前頂。

20分ぐらい横になってやっと目眩が治りましたが、私は本当に冷や冷やしました。

鍼治療後に出ためまい、目が開けられない眠さ

2024年4月2日の経過

先週は風邪を引いて、鍼治療に来れなかった。

今日の主な症状は足に力が入らない。
漢方薬の十全大補湯を飲んだせいか、食欲と食べる量が増えて今は自ら米を減らしている。

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脈診してみたらやはり沈んで弱い、細い。

今日も鍼治療が終わった時、ひどい目眩が出て、目を開けるとめまいがする。前回と同じように2箇所に針をして20分寝てもらい、その後は治りました。

2024年6月4日の経過

先週、鍼をした後、すごいめまいと倦怠感で、帰るまで1時間以上休んでいました。なので、今日は少なめに鍼をしました。

今日も鍼を抜いたあと、ドカンと疲れが出たように、だるそうにしてました。彼女が言うのは、めまいよりも眠くて目が開けられない。座ったまま頭に鍼をして15分ぐらい休んだら、だいぶ良くなり、 普通に歩いて帰れるようになりました。

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鍼治療後のめまい、眠さは消えた

2024年6月25日の経過

彼女が言うのは、背中がパキパキで張っている。
声が低くて 出しにくい。

鍼治療が終わって、彼女が言うのは「今日の鍼を刺して置いている間、途中で少し寝たせいか、起きたらすっきり!以前のめまい、全くない」

この変化に私はびっくりしました。

2024年8月8日の経過

彼女の報告:
今週もすごい疲れた。
数日前から足を引きずるような状態。
寝付きが悪い、声が出ない、首から腰までバキバキ張って痛い。

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2024年11月21日の経過

彼女の報告:
この2週間は忙しいけど、体力が持つようになった。

今日お店の入った時は声が正常で、声が出ない以前と違いました。また、鍼した後は目がピカピカ光ってました。

お母さんが隣で話したのは、「以前はスーパーに行くと、途中で寒くて動けなくなって手をつないで 少しずつ車にまで戻った。重いものを持たせると、その後バタンキューするので、怖くて荷物は渡せなかった。今は運動もしてるし、手伝いもできる、役に立つようになりました(笑)」

今日の鍼をした後、脈診したけど、全体的に6割ぐらい回復した感じ。
めまい、だるさが今日は出てないので幸いでした。
最近ずっと出てないので安定してきたかもしれません。

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生理痛が大幅に改善し体力が増えた

2024年12月6日の経過

彼女の報告:
今回生理が来たけど、ちょっとだるいぐらいですごく元気。
以前は生理 1日~2日目は横になるだけで何もできなかった。
最近は運動も筋トレもやってる、すこぶる元気ですと笑ってました。

鍼して帰る時は、前みたいなだるさ・めまいも出なかったです。

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2024年12月26日の経過

彼女の報告:
先週友人の結婚式に参加して、午後は筋トレもできたし、活力が溢れてる。以前だったら2〜3日はぐったりしていた。

お母さんが隣で言いました。
「9月までは鍼が終わった後に、グッタリしてめまいがしたのに、急にすこぶる元気です」

ほかに体力が増えた患者さんのストーリーは、息切れと体力低下が改善し15km歩けるようになった症例をご覧ください。

すごい元気になり、複視も大幅に改善

2025年3月25日の経過


彼女の報告:
調子はいい。
肩と肩甲骨周りがバキバキになるけど、他は良好。

腹筋やってるせいか、この前は3時間もカラオケできた。以前は1曲 3分歌うと、もう疲れて声が出なかったのに、自分は完治したようにものすごい元気ですと言ってました(笑)

マイクを持ってカラオケを楽しむ女性の後ろ姿
以前は1曲歌うだけで疲れていましたが、3時間カラオケを楽しめるまで回復しました。

2025年6月19日の経過

彼女の報告:
肩と背中がこる。他はOKです。

隣のお母さんが言うのは、「昔は胸のあたりがもっと肉があったけど体調が悪くなってから、胸が平たになって、薄くなった」

私は彼女とお母さんを慰めました。
「運動を続けると脾胃が強化されるので、胸の肉も自然に戻ります。」

2025年10月11日の経過

彼女の報告:
すごい元気です(笑)。

今日も目の周りの晴明穴などを刺しました。
鍼治療は終わって彼女が言うのは、「壁の時計がよく見える。激しい複視は、だいぶ緩和されている。以前はテレビ見るとき、複視を最小限にするため、頭を後ろに上げて、鼻でテレビを見る角度で見てました(笑)」


【後編で解説】

・漏斗胸と極度の倦怠感の関係
・なぜ声が出なくなったのか
・呼吸困難の原因
・複視が改善した理由
・2年間の治療を振り返って

▶ 後編を読む(記事完成までしばらくお待ちください)

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