こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の症例、横纹肌溶解症 Rhabdomyolysis(01/05/2024発表)を翻訳しました。
横紋筋融解症だと診断されて、様々な症状と治療法で悩んでいる方、ぜひ参考になると幸いです。
横紋筋融解症は不思議な病気です。筋肉細胞が死んだとき、タンパク質を血液中に放出し、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症などの問題が起きる。一般的な症状は筋肉痛、倦怠感、嘔吐、意識障害、腫れ、不整脈、茶色い尿、尿量減少など。
この横紋筋融解症患者さんは、30代の中国人女性。この1年、上記の症状は何回も発作しました。症状がひどくて、西洋医学が診断したのは横紋筋融解症。西洋医学も特に治療法がなくて、症状を抑えるだけでした。しかし、しばらく経ってからまた再発。遺伝子検査をしてから、患者さんの横紋筋融解症は、遺伝子が原因かも知れないと言われました。
患者さんが言うのは、仕事しながら2人の子供の面倒を見て、普段の生活からプレッシャーが強いです。病気になってから、更に焦るようになりました。
患者さんは少し太り気味で、毎回発作するときは上記の症状以外に、明らかにむくみが増えて、血糖値が飛び上がる。
彼女の横紋筋融解症は、中医学から見ると複雑ではありません。簡単にいうと、肝臓と脾臓の不調が原因。
脾虚なのでむくむ、筋肉が減り、疲労困憊、血糖値が上がるなどの症状が出ます。同時に、脾虚だと栄養素の吸収に支障をきたし、肝臓の血が一番最初に害を受けます。肝臓が悪くなったら、また今度脾臓をいじめる。脾臓は表からも裏からも攻撃を受けるわけです。
患者さんが言うのは、漢方薬に敏感。以前飲んだときは、よく不調がおきたそうです。
であれば、私たちも劇薬を使う必要がありません。ほとんど帰脾湯をベースにして、四物湯、酸棗仁湯なども参照にして、少ない量を処方しました。3ヶ月後、患者さんの疲労困憊は大幅に減り、むくみは消えて、発作しそうなときでもすぐ落ち着くようになりました。漢方薬を止めても調子が良かったです。
中医学の診断のキモは、外部の症状を分析して体内の問題点を見つけることです。問題点を見つければ、処方箋もごく普通のもの。
上記のひどい横紋筋融解症は、簡単な帰脾湯をアレンジしただけで著しく改善しました。
言い換えると、中医学は貴重で高価な生薬、もしくは秘伝の処方箋で病気を治すのではない。弁証論治が必要です。問題点さえ見つければ、生薬を選ぶときは難しくないです。
(おわり)
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
↩︎倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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