手術を拒否した33歳女性の乳腺炎しこりが、乳房の穴から膿として排出され、2ヶ月で改善した症例

手術をすすめられた乳腺炎のしこりが、漢方薬と生姜灸によって“皮膚から自然排出”され、一気に半分まで縮小した——。

中国河北省の名医・張静先生が治療した、非常に興味深い症例を紹介します。

生理でも便通でも変化しなかったしこりが、なぜ皮膚から出たのか?中医学の視点で詳しく解説します。

※中国河北省・石家荘市の有能な中医師、張静先生の症例:乳腺肿块溃消案例一则(2025-10-17公開)を李哲が完全翻訳しました。

目次

手術を避けて漢方治療を選んだ33歳女性の乳腺炎しこり

患者さんは33歳の女性。

来院日は2025/5/17。

来院した原因は、非哺乳期の乳腺炎。
右乳房の7-11時方向にしこりがあり、硬くて熱い、くるみくらいのサイズ。

病院に行ったら手術をすすめられ、彼女は手術したくないから漢方薬治療に来たのです。

初回の漢方薬ではしこりに変化がなかった理由

柴胡系の漢方薬を飲んで10日後、生理が終わったのにしこりが小さくなってない。

6月1日、再診察したとき、脈が沈細、また便秘もあるので、柴胡+大黄附子細辛湯にしました。

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乳房の穴から膿が大量排出され、しこりが一気に縮小

6月3日の午前、彼女からWechatから報告がありました。昨夜は胸が腫れて痛かった。乳首に近い外側には穴が空いて、中から大量の膿が噴出してきた。彼女はこの勢いにしたがって、その穴から更に膿を絞り出したら、しこりが一気に半分くらい減りました。

私は彼女に伝えました。
「感染予防策はしっかりしましょう。少しでも膿が出そうだったら絞ってください。塗り薬は一切要らないです。膿が出るのは、そのまま逃したほうが良いです。」

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2ヶ月後には乳腺炎も鼻炎もほぼ改善

その後、毎日ガーゼを交換し、2ヶ月くらい治療を続けました。

8月になって熱くなり、オフィスでは冷房をガンガン下げるし、外はまたすごい暑い。激しい温度差で彼女は鼻炎が起きました。そして、鼻炎+乳腺炎を同時に治す形で、8月27日に治療を終えました。

私はもぐさでお灸することをすすめました。最初は棒灸にしたけど効果無し。その後、生姜灸を教えたら、しこりは徐々に消え、最後はほぼなくなりました。

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臨床での不可解な現象

1つ不思議な症状があります。
一般的に乳房のしこりは、生理が終わる頃にはだいぶ小さくなるはず。しかし、彼女はまったく変化ないです。

私は原因がさっぱり分かりません。仕方なくて、便通を改善する方向にいきました。なぜなら、彼女は便秘があるからです。

もともと数日に1回の便通が、漢方薬を飲んでから1日2回は出るようになりました。この調子で1ヶ月続いたけど、しこりは減らない。硬いくるみみたいに、あそこにいます。

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患者さんの報告:ほんの少し残っているけど、もう大丈夫

8月末には漢方薬を止め、数日前に連絡してみました。

彼女が言うのは、「ほぼ治りました。破れた傷口のところが少し赤くて硬いけど、感覚的にはもう大丈夫です。もぐさを持っているし、いつでも生姜灸ができます。」

以下は患者さんとのWechat記録のスクショ。中国語になっていますので、読める方は読んでください。

患者さんと張静先生の対話記録
乳腺炎治療中の患者と張静先生のWechatでの経過報告チャット画面のスクリーンショット
患者さんが乳房の膿の排出やしこりの変化を報告したWechat記録

乳腺炎しこりが“皮膚から排出された理由”を中医学で読み解く

ここからは、私・李哲が中医学の臨床経験にもとづき、この症例の本質を詳しく解説します。

乳腺炎のしこりがどのように体内で形成され、なぜ通常の排出ルート(生理・便通)では変化せず、皮膚から外へ出るという特異な経過をたどったのか——その背景には、中医学ならではの明確な理論があります。

張静先生の診断と治療方針を踏まえながら、今回の症例が示す重要なポイントを順を追って読み解いていきます。

生理、便通が改善したのに、乳房のしこりが変わってない理由

張静先生が話した「生理の出血とともに乳房のしこりが小さくなる」のは、乳房のしこりと生理の血は同じものだからです。つまり、母乳と生理は同じもの。

これはニハイシャ先生が乳がん論文で何度も強調した内容。詳細は以下をご覧ください。

ところで、患者さんは生理とともにしこりが小さくなってない。だから、張静先生は便通から出るのではないか?と思ったでしょう。確かに便通は治療後に良くなりましたが、それでも便通の改善とともにしこりが小さくなっとは書いてないですね。

膿が出るとしこりが小さくなる中医学的メカニズム

逆に、破裂した穴からたくさん膿が出て、そこからしこりが一気に小さくなったと書かれています。ここで分かりますが、この患者さんの最短ルートは、生理の出血・便通と一緒に出るのではなくて、皮膚から直接外に出すこと。

張静先生の処方箋がどんな内容なのか分からないので、なんとも言えませんが、おそらく黄耆・升麻とか毒を皮膚の外側に出そうとする生薬が入ったのではないか?と私は思います。

乳房のしこりは3つのルートで排出

乳房のしこりは3つのルートから出る。

  • 生理の出血とともに
  • 便通とともに
  • 乳房の破裂した穴から

皆さんはこれだけ覚えておけば良いでしょう。

乳がんであろうと、乳腺炎であろうと、漢方薬の治療効果は非常に良いです。その上に鍼治療を受けると相乗効果でなおさら良い。

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