はじめに:アメリカの中医師・鄭智城先生の症例を翻訳
こんにちは、李哲です。
今回はアメリカの中医師・鄭智城先生1の記事「茯苓四逆汤:乳癌二期白人女子_郑智城_新浪博客(2013.7.25 発表)」を翻訳し、私の解釈と感想を加えました。乳がんの女性が漢方薬「茯苓四逆湯」でうつや不調を劇的に改善した症例を中心に、中医学の魅力と西洋医学への疑問を探ります。
症例1:乳がんの女性、1週間でうつが治り快眠・快便に
初診:うつ表情で訪れた若い女性
先日、若い女性が鄭先生の診察室に来ました。顔にはうつの表情が浮かび、「乳がんです」と告げました。
私「どうして乳がんだと分かりますか?」
彼女「生検したから分かります。」
私「1つ目、西洋医学は誤診が多いです。2つ目、癌細胞が見つかっても、3分の1は死ぬまで致命的になりません。これは西洋医学の研究結果です。」
彼女は話を聞いてうなずきました。
脈診では「右微、左微細」、舌は「歯痕があり、潤いが多い」。普段は寒がりで、便秘気味、頻尿。ショッキングを受けたのか、精神状態が悪そうでした。
処方:茯苓四逆湯とその効果
処方は「茯苓四逆湯」。中の人参を野生の西洋人参に変更し、6gだけ入れました。
1週間後、彼女は喜んで来院。うつっぽい表情は消え、「服薬後、精神状態が良くなり、睡眠がとても深くなり、快便になった」と報告。さらに「一気にたくさん処方してほしい」と言いました。

驚きの変化:体重が増えたのにウエストが小さくなった
私「体重の変化はないですか?」
彼女「増えた気がします。」
私「ウエストは縮んだ感じはありますか?」
彼女「あります。え?体重が増えたのに、おかしいですね!」
私「良いじゃないですか。大きいのはさらに大きくなって、小さいのはさらに小さくなって。」
彼女は大笑いしました。
症例2:「四逆湯」が膣炎・おりものにも効果バツグン
若い女性の慢性膣炎が数日で改善
「四逆湯」は私がよく使う漢方です。ある若い女性は慢性膣炎が2年治らず悩んでいました。四逆湯をアレンジして数日飲むと、膣炎が大幅に改善。
中年女性のおりもの減少とウエスト改善
もう1人の中年女性は、おりものが多く湿気が原因でした。四逆湯をアレンジして処方し、3日後におりものが減り、ウエストも細くなりました。
漢方で痩せた女性の症例は他にも多数。詳細はこちら。
西洋医学への警告
生検は厄介な検査です。乳がんが治るどころか、逆に乳がんになりやすくなります。中医学は質問だけで「本当の乳がん(有害)」と「偽性の乳がん(無害)」を見分けられ、侵襲的な生検は不要です。
乳がんだと分かって、西洋医学で治せますか?手術、抗がん剤、放射線で治るなら、なぜ乳がんで死ぬ人が多いのか?
ニハイシャ先生2の患者で、抗がん剤を拒否した女性の選択が正しかったかはこちら で分かります。
李哲の解釈と感想
四逆湯の構成と効果
四逆湯は体温を上げる強力な処方です。心肺停止寸前の人でも心臓が動き、体温が戻るほど。西洋医学の強心剤(アドレナリン)に似ています。『傷寒雑病論』に書かれた組み合わせは以下の通り。
- 炙甘草:2両
- 乾姜:1両半
- 生のトリカブト:1枚(約3銭~5銭≒15~25g)
生のトリカブトが出ましたね!殺人事件を連想する人はこちらで勉強し直してください。
陽気と湿気の関係
四逆湯の構成を見ると、温める作用が最強の生薬・生トリカブトが入っています。温める作用がある生薬は陽気が強いと言います。陽気が強ければ、湿気や水毒がたまらず、体の機能が自然に処理。おりものの原因である湿気が減り、気持ちも太陽を浴びたように晴れます。
辛い症状が治るだけでなく、気持ちまで晴れるのが中医学の魅力です。以下は本ブログでアップした症例の一部。
うつ病の原因は気血不足
鄭先生は「うつ病の原因は気血の不足」と断言したことがあります。
詳細は、うつ病は気血を補って治す、漢方薬症例2つで説明 | 本場の中国鍼 李哲鍼灸院のブログをぜひご覧ください。
漢方ダイエットの驚くべき症例
漢方で病気が治り、驚くほど痩せた例を紹介します。
生検に関する私の意見
鄭先生は生検にあまり意見がないようですが、私は言わざるを得ません。「生検はすればするほど乳がんになる!」
理由は、生検の針で乳腺組織が傷つき、母乳が詰まるから。ニハイシャ先生の治療例では、胸のしこりはすぐ治ったのに、生検の傷口だけ治りませんでした。詳細 。
四逆湯は症状を治すだけでなく、気持ちを晴れやかにする中医学の強みを示します。体重が増えてもウエストが細くなる、膣炎やおりものが改善するなど、副次的効果も驚異的。鄭先生の「気血不足がうつ病の原因」という見解も納得です。
乳がん症例の紹介
乳がんに関するさらに詳しい症例は、以下で確認できます。
- ベタベタ汗が鍼で止まり、夜の視力低下が治った末期乳がんの例:詳細
- 乳がん患者の寝汗・不眠・胸の灼熱感が治り、体力回復:詳細
- 末期乳がんの分子標的治療薬の限界:詳細
- 東洋医学vs西洋医学、乳がんは漢方の方がQOLが高く長生き:詳細
(おわり)
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
↩︎倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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