こんにちは、李哲です。
アメリカの著名な中医師、倪海厦(ニハイシャ)先生1の治療例「治療一週後的乳癌改變」(2009-8-4発表)を翻訳しました。わずか1週間の漢方治療で、乳がん患者の硬いしこりが柔らかくなり、睡眠の質、足の冷え性、体力低下などの自覚症状が大きく改善した驚くべき症例です。
この記事では、治療の詳細や倪海厦先生の哲学、漢方治療の特徴を紹介します。乳がん治療を考える方の参考になれば幸いです。
1週間の漢方治療で乳がん患部と症状が改善
今年の夏休みに行った研修は、乳がん治療の特訓のようでした。軽症から重症まで、さまざまな乳がん患者さんが来院し、漢方治療の効果を目の当たりにしました。
今回紹介するのは、重症の乳がん患者さん。1週間前に初診で訪れ、その時の様子はこちらの治療日記で詳しく書いています。彼女は進行した乳がんにより、強い熱感、硬いしこり、不眠、冷え性、体力低下などの症状に悩まされていました。
漢方薬を1週間服用した結果、彼女の症状に多くの変化が現れました。以下に、具体的な改善点と治療の詳細を紹介します。
患部の変化:赤黒い色から明るい赤へ
初診時、患者さんの乳がん患部は赤黒い色で、強い熱感があり、肋骨に固定された硬いしこりでした。1週間の漢方治療後、患部は明るい赤色に変化し、熱感が軽減。硬いしこりは柔らかくなり、押すと動くようになりました。
この変化は、漢方薬が気血の流れを整え、患部の炎症を抑えた結果と考えられます。
時期 | 患部の色 | 熱感 | しこりの状態 |
---|---|---|---|
治療前 | 赤黒い | 強い | 硬く、肋骨に固定 |
治療後(1週間) | 明るい赤 | 減少 | 柔らかく、押すと動く |
写真比較


患者さんの声:「左乳房の熱感が減り、肋骨にくっついていた硬いしこりが柔らかくなり、押すと動くようになった。」
その他の症状の改善
- 睡眠の質向上:不眠症が改善し、夜ぐっすり眠れるようになった。
- 便通の改善:便秘が解消され、1日1回のスムーズな排便に。
- 足の冷え性軽減:足の冷えが改善し、温かさを感じるようになった。
- 体力の回復:疲れやすさが減り、日常生活の活力が戻った。
- 食欲の安定:食欲不振が解消され、食事量が増えた。
- 喉の渇きの解消:口渇感がなくなり、快適に過ごせるようになった。
さらに、初診時に左胸の鎖骨付近にあった腫瘍が、1週間後には触れなくなっていました。この劇的な変化に患者さんは大喜びで、診察中に冗談を言い合うほど元気でした。

誠実な医師こそが良医
私は患者さんにこう伝えました。
「ここまで進行したがんを完全に治せると保証する医師はいません。私が研修生に教えるのは、まず患者さんに誠実であること。最強の医師である前に、誠実さが第一です。漢方薬が効果を示さなければ、すぐに治療を中止します。患者さんが強く希望しない限り、無駄な治療はしません。」
患者さんの時間とお金を無駄にする医師は、最低だと考えます。私の弟子がこの原則を破れば、即座に師弟関係を解消します。
私は患者本位の医療を貫きました。漢方治療では、患者の体質や症状に合わせた緻密な診断が不可欠です。効果がない場合、正直に伝える姿勢が重要です。この症例では、患者の状態を丁寧に観察し、適切な処方を調整することで、短期間での改善を実現しました。

処方箋のコピーは患者に害を及ぼす
私の治療例や処方箋を無断で販売する者が現れたため、一時的に公開を控えます。研修生には別の方法で治療例を共有し、知識を伝え続けます。
乳がん治療では、気血の滞りを改善し、炎症を抑える漢方薬を組み合わせますが、患者の体質や病状によって処方が異なります。例えば、気滞が強い場合は疏肝理気薬を、血瘀が顕著な場合は活血化瘀薬を重視します。
コピーした処方箋をそのまま使うと、効果がないどころか、肝臓や腎臓に負担をかける副作用を引き起こすリスクがあります。こうした無責任な行為は患者に害を及ぼし、漢方治療の信頼を損ないます。

手術・生検後の中国人患者は受付不可
毎日多くの治療例を扱っていますが、すべてを記録するのは困難です。今回は特に印象的な症例を選んで紹介しました。
この患者さんはアメリカ人で、手術後の漢方治療を受け入れました。しかし、中国人患者の場合、手術や生検を受けた方はお断りしています。他の医師に診てもらうようお願いします。
私のクリニックの医師は、弟子の中でもトップクラス。卓越した技術と患者への誠実さを持ち合わせています。安心して治療を受けられます。

(おわり)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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