乳がん女性、2週間の漢方薬で睡眠の質がとても良くなり、うつ病と冷え性が改善されて、笑うのが増えた。

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こんにちは。李哲です。

アメリカの中医師:鄭智城先生*1の治療例を翻訳しました。2つに分かれた記事を一つにまとめ、私の解釈をつけたので少し長いです。

中国語本文のリンク先は、

双脚总是冰冷的乳癌患者_郑智城_新浪博客

(2012.8.15 発表)

双脚总是冰冷的乳癌患者【续】_郑智城_新浪博客

(2012.8.17 発表)

乳癌が再発し、不安の気持ちが強い・両足が氷みたいに冷たくて尿失禁・不眠症の患者

最近きた患者さん、プリンストン大学の先生です。

彼女は電話で問い合わせしてから当院に来ました。だから、彼女の病気は診察する前からだいたい知っています。

彼女は10年前に乳癌で手術・抗がん剤を受けたけど、最近また乳がんが再発しました。彼女は不安になり、「漢方薬でなんとかなるかな?」と期待して来たのです。

彼女は痩せ型で、少し神経質の顔をしてました。

脈診したら、右寸実、左関弦数。

舌は腫れて質が薄い。

舌苔は薄い黄色、腻、歯の痕がある。

問診内容は以下のとおり。

  • 倦怠感が強い
  • 怒りっぽい
  • 尿失禁
  • 喉は渇くけど、飲みたくない
  • 朝起きたとき口が苦くて、気持ち悪い
  • みぞおち辺りが痛い
  • 両足はいつも氷みたいに冷たい

彼女が言うのは、「自分は世話好きで、すべての人の悩みを解決しようとしている。だから、心労が多くて夜もよく眠れないです。」

▼李哲の説明:良く眠れない症状は、いろんな原因があります。以下はムズムズ症候群で眠れないのを治した例、参考になると幸いです。

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両足が冷たいのは、ニハイシャ先生の診療所ではすぐ加工したトリカブト、生のトリカブト、硫黄などを使いますね。しかし、実際の状況は複雑なので、私は処方箋を工夫しました。

最初は大柴胡湯+トリカブト+瓜窶実+桔梗+枳穀。

  1. 大柴胡湯を使った理由は、みぞおち辺りが痛いから。
  2. トリカブトを使った理由は、両足が冷たいから。
  3. 瓜窶実+桔梗+枳穀は胸が締め付けられる感じで、息が苦しいというので追加。

でも、すぐふさわしくないと感じました。

なんとなく、頭が痛いから頭を治すやり方になりますね。

そして処方箋を変えました。

半夏、陳皮、茯苓、芍薬、浙贝、杏仁、五味子、首烏、柴胡、白朮。黄元御*2の弟子:麻瑞亭の「順気湯」を真似したものです。

その後、どう見ても、ピンとこない処方ですね…アイデアが浮かび上がったので、処方を変えました。柴胡加竜骨牡蛎湯をアレンジしたもの、6日分を処方。処方内容は柴胡、黄芩、半夏、党参、桂枝、茯苓、竜骨、牡蛎、珍珠母、大黄、生姜、ナツメ。

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【▲生薬:柴胡(さいこ)の画像】

1週間の漢方で睡眠の質が良くなり、気分が晴れて笑うのが増え、体がすごい暖かくなってきた

1週間後、彼女は再診察に来ました。

今度、彼女の顔色は違いました。穏やかになり、喜びの表情。

私「今週の体調はどうですか?」

彼女「良いです。良いです。睡眠の質はとても良くなり、気分も晴れて楽しくなりました。以前より明らかに笑うのが増えました。1回だけ怒ったことがあります。足もそんなに冷たくないです。」

これは治療方向が正しい事を示します。

▼李哲の説明:正しい治療法は、素人目でも判断できます。両足が暖かくなれば、正しい治療法である。ニハイシャ先生は以下の記事で詳しく説明しました。どうぞご参考に。

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彼女は遠いニュージャージー州から来るので、往復で6時間もかかる。だから、彼女は「1週間の漢方薬がほしい」と言ってました。

私は1週間分の柴胡加竜骨牡蛎湯を出して、翌週は柴胡桂枝乾姜湯+当帰+白朮+茯苓を処方しました。

2週間後の再診察のとき、彼女が言うのは「今回はさらに効果が良いです。身体が本当に温かいです。手足も冷たくないし、とても気持ちよく過ごせました。この2週間は心配・緊張がありません。全部大した事がないように思えるようになりました。

柴胡はうつ病を治すとき、本当に特効薬ですね。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神疾患を治す時によく使われます。以下はもう一つの記事、参考になると幸いです。

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漢方薬のおかげで、生検しても傷口は痛くなかった

私は彼女が先週生検したことを思い出して、彼女に聞きました。

私「生検はどうですか?」

彼女「1回目よりは良いです。1回目の時は緊張して、叫んだ声が全病院の隅々まで響き渡りました。帰宅後は1週間も痛かったです。今回は相変わらず緊張したけど、1回目ほどではないです。しかも、帰宅後は痛くなかったです。」

彼女は私に乳がん生検するときの鍼を教えてくれました。

小型の電動道具で、スースー音がする。

一瞬で乳房に刺して、カチャーとしたときに痛みが走る。

その後、一瞬で生検鍼が出てくる。

テクノロジーのレベルは嘆くしかないです。

生薬:瓜窶根の画像
生薬:瓜窶根の画像

「柴胡桂枝乾姜湯」中の瓜窶根と当帰は、みんな傷口を治す効果があります。だから、今回の傷口は治りが早かったでしょう。今回も3週間の漢方薬を出しました。

李哲の解釈と感想

鄭先生の処方箋を分析

上記の処方箋を分析します。

●柴胡加竜骨牡蛎湯

●柴胡桂枝乾姜湯

2つとも柴胡がメインになっている処方箋。

適応症は違いますが、名前に柴胡が入っているので、「少陽病」を治すのが得意です。少陽病の代表的なものは肝気鬱滞(かんきうっけつ)から来る食欲不振・気持ち悪い・イライラしやすい・寝付けられない・情緒不安定など。

少陽病が原因で起きたうつ病、気分が晴れないときは、上記の漢方薬は効果バツグン。

うつ病はほかの処方箋で治すときもあります。漢方薬は一人ひとりに対するオーダメイド式治療法なので、一種類の漢方薬ですべて通用すると思わないでください。以下はもう一つの漢方薬で治した例、処方には柴胡が入っていません。

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手足が冷たいと、必ずトリカブト・硫黄を処方するとは限らない

上記には、手足が冷たい患者さんに、ニハイシャ先生はすぐトリカブト・硫黄を処方すると書いてますが、ニハイシャ先生はそんなやり方を教えていません。

硫黄・トリカブトを処方するのには、根拠が必要です。必要がないのに処方するのは蛇足。余計な生薬で、処方のパワーが分散されて効き目が落ちる、もしくは効果が出ないからです。

『傷寒雑病論』にも手足が冷たいのに、トリカブトを使ってない処方箋がたくさんあります。たとえば、手足の冷え性を治す有名な「当帰四逆湯」、中にはトリカブトなんて使っていません。鄭先生の文脈は、ニハイシャ先生への誤解を招きやすいので、訂正させていただきました。

「当帰四逆湯」の症例はたくさんあるけど、以下の一つ参考になると幸いです。

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生検は乳癌を作り出すので、やってはいけない!

鄭先生の記事を見る限り、生検はハイテクノロジーだと絶賛しています。西洋医学は「テクノロジー」だけど、「科学的」ではないことに気をつけてください。

私が疑問だと思ったのは、ニハイシャ先生はあんなに生検を反対していたのに、なぜ研修に参加した鄭先生は言わないのか…まあ、ニハイシャ先生が研修医をたくさん募集したので、全員ニハイシャ先生を信じているとは限らないですね。様々な生徒さんがいるはず。

以下の症例には、繰り返す生検で本物の癌になった患者さんがいます。ニハイシャ先生は痛烈批判していました。参考にしてください。

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生検すると、乳房には必ず傷口ができる→乳腺を通る母乳がつまり、長年経つと中で母乳が腐って本当の乳癌になる。

中医学理論で、母乳が過度に溜まったのが乳癌の原因です。

各症状は鍼灸・足つぼ整体でも効き目がある

上記の乳がん患者さんの諸症状、鍼灸・足つぼ整体でも治した症例をあげます。漢方薬以外、ほかの治療法もあることをで知ってもらえると嬉しいです。

▼ひどい倦怠感、氷みたいにキンキン冷える手足…などの諸症状を改善した足つぼ整体の症例。

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▼朝起きたとき口の中が苦いのは、陽陵泉穴一つだけでも治せます。過去記事があるので、参考にしてください。

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*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。

*2:黄元御(1705-1758):清朝の著名な漢方医。当時の乾隆帝の主治医を務めました。30歳の時、ヤブ医者にやられて治療のタイミングを逃し、左目は失明してしまいました。失明が原因で官僚の道はダメになり、医学の道を頑張って最終的には歴史に名前が残るお医者さんになったのです。著作には『四聖心源』『長沙薬解』などがあります。

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