2ヶ月で癌性皮膚潰瘍の膿・出血が減り、癌が小さくなったけど、生薬の品質・患者さんの無知で治療が難航

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こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の症例を翻訳しました。

乳がんは漢方薬で効果バツグンだけど、様々な要素が治療効果を抹殺することを知ってください。

病情膠著的乳腺癌末期病例 – 當張仲景遇上史丹佛

(2021-8-6 発表)

末期乳がんがリンパへ転移し、患部から膿・出血する女性

治療する前は癌性皮膚潰瘍があり、膿・出血が続いている

治療する前は癌性皮膚潰瘍があり、膿・出血が続いている

漢方薬治療後、膿・出血が減り傷口も小さくなってきた。

漢方薬治療後、膿・出血が減り傷口も小さくなってきた。

上記は2枚の比較画像。悪性腫瘍が皮膚を突き抜けて膿・血が流れています。皆さん先に見てから、私の陳述を聞いて下さい。

この患者さんはオンラインで診察した方です。2年前から左乳房に4cmの腫瘍ができて非常に硬い。病院の診断は末期の乳がん+リンパに転移。患者さんは西洋医学の治療を拒否して、インタネットで見つけた漢方薬の塗り薬を使いました。

患者さんが言うのは、少し効果があるので1年続けたそうです。そして、1年後に悪化し、改めて漢方医に診てもらいました。残念ながら煎じ薬を飲んでも効果が薄い。癌細胞はどんどん大きくなって、今年の5月に私のネット診察を受ける事になりました。

末期がんで他の所に転移したとき、治療は非常に難しいです。もし誰が末期がんでも100%完治できると保証した場合、それは大嘘!患者さんに治療の難しさを説明しないで、間違った方向に誘導するのも、医師としては道徳がありません。

左脇下の乳がんは小さくなり、膿・出血は減って傷口も小さくなってきた

この女性は5月から治療を始め、反響はまあまあ良かったです。腫瘍の外側の徐々に柔らかくなり、陥没した乳頭が徐々に上がってきました。左脇下の腫瘍が小さくなり、腫瘍の外側の腐敗した肉は剥がされ、膿と血が出るのが減り、傷口が小さくなってきました。

上記の写真、1枚目は5月のひどい時に撮影したもの。2枚めは治療したあと、8月に撮った画像。単純に画像を比較すると、2ヶ月の治療効果はいい感じです。

癌が小さくなったのに、新たにしこりが発生した謎

しかし、病状は複雑なもの。じゃなかったら、私が症例として書きません。患者さんの左脇の一番大きな癌が縮んだけど、周りにたくさんの小さなしこりができて、私は非常に困惑しました。

李哲の説明:
がん治療例を見ると一つのことが分かります。
西洋薬が癌を悪化させる一つ大きな原因。
以下は一つの症例、参考になると幸いです。

 

「グリベック」で悪化した肝臓がんの腹水・むくみ・食欲不振・便秘が治り、患者をもう一度救ってきた。癌患者は抗がん剤で確実に早死する!

なぜ予想外のしこりができたのか?
私は患者さんと、いろんな原因となるものを討論しました。
 

患者さんが言うのは「品質が良い生薬が買えません。たとえば硫黄。人工的に合成された硫黄もあれば、劣化品だと言われる硫黄もあるそうで非常に困ります」

李哲の説明:
硫黄はニハイシャ先生の症例で良く出る生薬です。主に癌治療に使われています。臨床効果は非常に良くて、重病のがん患者でも改善の余地があります。以下は一つの症例、参考にして下さい。

 

すい臓がんの腹痛が減り、両足が暖かくなって、便通が2日に1回あるようになった漢方薬症例

患者さんの話を聞いて、私も頭が混乱しました。

無効なマッサージを続けるのが理解不能

もっと理解できなかったのは、患者さんは塗り薬を使い続けていること。患者さんが曰く、塗り薬を全身に塗るのに1時間もかかるそうです。

私は患者さんに聞きました。
1年塗り続けても癌細胞がどんどん大きくなったから、煎じ薬に変えましたね?なんで塗り続けているのですか?

患者さん「インターネットには、たくさんの人が塗り薬でいろんな病気が治ったと書いてあります。この塗り薬は数十年前から有名らいしので、私は信じています!」

患者さんの理由を聞いて、私は言葉が出ませんでした。

李哲の説明:
李宗恩博士の治療例には、ほかの不可解な患者さんもいました。病院の先生すら反対する薬を勝手に続ける乳がん患者。いったい、どういう症例なのかは、以下をご覧ください。

 

ひどい咳、白血球低下が漢方で改善しても、がん治療医が反対する分子標的治療薬を選び、生と死の境目で行ったり来たりする女性。

塗り薬で癌細胞が悪化・転移するのか、私たちは確定できません。しかし、塗り薬の成分と効能が不明確のとき、塗り続けるのは予想外の変数をもたらします。同時に、毎日1時間もかかるマッサージは、物理的に水の代謝を良くするイメージだけど、実際には瀉法になり、長期に渡ると患者さんは体力低下になります。体力低下・免疫力低下したがん患者には、マッサージがふさわしくない。

中医学のオンライン診察は難しい

現在、私は治療を諦めていません。しかし、今回の一進一退の治療効果は、オンライン診察の弱点と困難さを暴きました。中医学の望診、聞診、問診、脈診が足りなくて収集情報が少ない、漢方薬の品質が確保できない、患者さんがやっている自分勝手な治療法を主治医にも教えてくれない。

盲人が象を触る状態まではいかないけど、提灯で真っ黒な道を歩くのに近いです。

李哲の説明:
自分勝手に漢方薬を止めて、病状が悪化したB型肝炎患者さんもいます。詳しくはニハイシャ先生2の症例をご覧ください。

 

70歳の乳がん患者、進歩が著しい。2週間でB型肝炎の寝汗をかく、不眠症などが治ったけど、自分勝手な判断で病状が再発。

 

まとめると、すべての患者さんがオンライン診察に適しているとは言えない。患者さんと家族は、中医学が診察するときの自覚症状に対して、基本的な認識が必要です。時間をかけて自覚症状、病状の変化を記録する必要がある。

同時に、治療を受ける際には正しい心がまえと良好な付き合いが必要です。また、品質が優良な生薬を探さないといけません。

自分は何もしないで、先生にネットで数回診たもらうだけで、すべての病気が治ると思うのは大間違いです!

李哲の解釈と感想

いくら腕が良い漢方医でも、生薬を使って治療を行います。生薬は漢方医の”武器”。当たり前ですが生薬がなかったら漢方医も仕事できない。

”武器”の質が良いかどうかは、治療効果に直接つながります。上記の患者さん、李宗恩博士が困惑した問題は、現在の中国でも課題になっているものです。

高品質な生薬

生薬の原産地として、中国は生薬の販売が昔から盛んていました。

今、問題になっているのは生薬の品質管理。
主に2つの問題があります。

一つ目は、ニセモノ。
2つ目は、生薬の加工に問題がある。

ニセモノが氾濫するのは、単純にいうと儲かるからです。
たとえばアキョウ(阿胶)。昔はロバの皮で作りましたが、今は需要が多すぎて供給が間に合わないから、値段が10倍以上にまで上がっています。牛、豚の皮で作られるのもあります。

儲かる分野には、必ずニセモノが出る。これは中国特有の問題ではなくて、ほかの国でもありますね…

2つ目の生薬の加工に関して話します。

昔の漢方薬は、生薬そのまま使ってました。つまり、土から掘ってきたやつを洗って、そのまま使う。たまに炒ったり、お酢に漬けたり加工はしていましたが、原薬が主流でした。

今は違います。
一般庶民が薬局で買えるのは原薬ではなくて、加工された生薬。
原産地の農家から大量購入した会社は、工場できれいに加工してから売る。中には悪徳業者もいて、硫黄と造塩元素(ハロゲン)で生薬を蒸したり漬けたりします。このような加工した生薬は、長期的に服用したとき中毒症状が起きます。

よく漢方薬で腎不全・肝不全になると中医学を差別する人たちもいますが、厳密にいえば空穴来風くうけつらいふうでもないです。

生薬の品質管理体制は今後の漢方薬発展の命に関わるので、中国関連政府がしっかり取り締まってほしいです。

マッサージで乳がんを治せない

上記の乳がん女性、ネットから拾った情報を鵜呑みにする傾向があります。重病になったとき、藁にもすがる気持ちは分かりますが、何でもかんでも病気にいいわけではない。

以前は山芋が乳がんに良いという説がデマであると説明したことがあります。詳細は以下をご覧下さい。

 

中医学オンライン診察の難点

李宗恩博士は上記でも話しましたが、中医学は四診があります。四診というのは望診、聞診、問診、切(脈)診。

問診はオンラインでもできますが、ほかの3つは難しい。直接見るのとオンラインで見る色が違うし、声調・匂いなども目の前にいないと分かりにくい。そして、脈診ができないのが大きなマイナスポイント。脈診は四診の中で最後に並んでいるけど、けっして無くても良いものではないのです。

複雑ではない病気は、たしかに問診だけでも治せます。以下は、ほかの漢方医、鄭智城先生の症例。記事中に書いてますが、患者さんの症状を聞いただけで処方できるのは、積み重ねの経験である。

癌みたいな重病の場合は、聞いただけでは判断できません。様々な複雑な症状が絡んで、ダメージを受けたのは一つの臓器・経絡だけではない。必ず諸症状を細かく聞いて、顔色・声・匂い・脈診など合わせて最終的に合理的な処方箋を出します。

乳がんだったら〇〇漢方薬。
これは西洋医学のシンプルな幼稚な考え方。
中医学はオーダメイド式の治療で、簡単に〇〇病気と〇〇漢方薬を結びつけてはいけません。

(おわり)

  1. 李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

  2. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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