怖い夢ばかり見る本当の原因|毎日悪夢で暴れる男性が炙甘草湯をアレンジした漢方薬で当日ぐっすり眠れるようになった症例

毎日、睡眠中に殴ったり蹴ったりしてしまう——。

原因不明の悪夢に長年悩まされた男性が、漢方薬を飲んだ“その日から”静かに眠れた症例があります。 怖い夢ばかり見るのは、心臓と肝臓の働きが弱っているサインかもしれません。

※アメリカの中医師・鄭智城先生1の漢方薬治療例、常年不断的奇怪和血腥的梦魇_郑智城(2013-11-27 発表)を李哲が完全翻訳しました。

目次

毎日悪夢を見る原因はどこにあるのか

怖い夢ばかり見る人に共通する2つの体質

悪夢を見る。殺し合いとか事故で血まみれの死体になったり、とにかく怖い夢は体内の陽気が足りないのが1つ目の原因です。2つ目の原因は、心臓が弱くなった時。

中医学では、体内の陽気(身体のシステムを守るエネルギー)が足りないと「鬼神」を見やすいと言います。

『黄帝内経2・霊枢・邪気蔵府病形篇』に書いたのは、「心虚則夢火、肝虚則夢死、腎虚則夢溺、脾虚則夢饑、肺虚則夢哭。」 (心が虚すれば火の夢、肝が虚すれば死の夢、腎が虚すれば溺れる夢、脾が虚すれば飢える夢、肺が虚すれば泣く夢を見る)

『抱朴子・内篇』に書いたのは、「陽気弱則鬼魅得之」→ 陽気が弱いと鬼に取り憑かれやすい。

悪夢を毎日見る患者さんの体質の共通点は、寒がり、食欲不振、痩せ型、動悸がする、ビビりやすいなどが挙げられます。

心臓の弱り(陰虚・陽虚)が悪夢を引き起こす理由

心臓が弱いのは2つのパタンがあります。

  1. 心臓のパワー(駆動力)が足りない。中医学では「心陽虚」と言います。
  2. 心臓のパワー(駆動力)が足りるけど、心臓の送り出す血が足りない。中医学では「心陰虚」と言います。

心陰虚はもう一つ、特徴を持っています。臨床でみると、寝汗をかく人が多いのです。詳細は以下をご覧ください。

肝臓と睡眠の深い関係

中医学の理論では、肝臓と心臓が主に睡眠と関係がある。

簡単に説明すると、寝付きが良いか悪いかは、肝臓が司る。
睡眠中に夢を見る、途中覚醒は心臓が司る。

睡眠の質が悪いのは、この2つの臓器の働きを先に良くするべき。

毎日悪夢で暴れる男性の症例

睡眠中に殴る・蹴るほどの悪夢

先日、ある先輩が私の母に電話して来ました。先輩の悩み事は、ご主人が長年睡眠中に、手足が喧嘩しているみたいに動いて、隣で寝ている彼女が殴られるから困る。

母「それでは、部屋を別々にして寝れば?」
先輩「なにか漢方薬がないですかね?悪夢にうなされて暴れないで、静かに寝てもらうように」

母はすぐ私に電話をチェンジして、先輩から詳しい話を聞きました。

ご主人は睡眠中に、よく危機一髪の夢を見る。他の人に追いかけられたり、どろぼうが入って窃盗したり、その後ご主人は無意識に手で反撃したり、足で蹴ったりするのです。

悪夢で暴れて殴り合う男性のイメージ写真
毎日悪夢にうなされて暴れてしまう男性のイメージ

2回ほど、ご主人はどろぼうが窃盗しに入った夢を見て、踏ん張ってどろぼうを捕まえようとしたら、ベッドから落ちて顔に大ケガし、病院まで行ったそうです。

心臓のドキドキ・ビビりやすさの背景

先輩の話を聞く限り、ご主人はひどい感じでした。
私はちょっと考えてから、先輩に聞きました。

私「ご主人は普段心臓がドキドキする、心臓が苦しい感じはないですか?
先輩「あります、あります!そして、主人はすぐ驚くみたいで、テレビを見てる時に部屋に入るだけでも、主人はびっくりしています」

私はすぐ分かって返答しました。
「了解です。原因が分かりました。処方箋を出しましょう」

ある病気は、症状1つだけで決められる

中医学は『望聞問切』四診合参ですが、このように電話だけ聞いて治療するのはよくあります。

ある症状は、画竜点睛(がりょうてんせい)の特徴があるので、聞いただけで分かる。ある「証」は、患者さんの顔を見ただけで処方箋が分かります。

これは普段の経験の積み重ね。
ただし、誰でもこのように分かりやすい症状があるとは限らないです。

漢方薬を飲んだ当日から改善した理由

今回処方したのは

  • 桂枝
  • 西洋参
  • 麦門冬
  • 生地黄
  • 麻子仁
  • アギョウ
  • 生姜
  • ナツメ

3日分を出しました。

青い茶碗に盛られた黄色い麦門冬の写真
麦門冬は心陰を補い、睡眠の質を整える代表的な生薬です。

数日後、先輩から電話が入りました。
電話に出たのはちょうど私。

先輩が話したのは、「主人は漢方薬を飲んだその日から、静かに寝られました。手を振ったり足で蹴ったりしてない。先生すごいですね!この漢方薬はいつまで飲めば良いですか?」

この先輩は私を助けた事があり、今回は恩返しする事ができました。

中医学で行う悪夢の対処法

中医学臨床の専門的視点から、李哲が本症例の要点を解説します。

漢方薬(炙甘草湯アレンジ)の役割

動悸、心臓がドキドキする、また悪夢が毎日続く場合、『傷寒雑病論しょうかんざつびょうろん3の炙甘草湯(しゃかんぞうとう)はドンピシャの漢方薬です。心臓の陰、血を補いながら心臓の陽気も補う。これで悪夢を見るのが減ります。

鄭先生がもとの処方箋にある炙甘草を西洋参に変えたのは、陰を補いながら熱を取るつもりだと思います。炙甘草は炒ったあとの甘草なので、性質は熱い。悪夢がもっと増える可能性があるので、性質が涼しい西洋参に変えたのです。

横に重なって並ぶ西洋参のクローズアップ写真
西洋参は陰を補いながら熱を取る性質があり、悪夢の悪化を防ぐため炙甘草の代わりに使われました。

鍼灸で睡眠を整える場合(内関・神門)

鍼治療の場合は、肝臓か心臓かを分けない。
内関と神門だけで、十分な効果があります
足りなかったら、背中の肝兪・心兪などで調整すれば良いですね。

私は臨床で内関1つ刺しただけで、その日の夜から睡眠がとても良くなった例がある。内関で睡眠の質が変わるのは、患者さんからしばしば聞いています。

悪夢が続く人に多い西洋薬の副作用

西洋医学は中医学みたいに肝臓か心臓かを分けません。不眠症の患者さんであれば、すべて睡眠導入剤を処方。

睡眠導入剤の副作用はたくさんあります。その中の1つが、夢遊病(むゆうびょう)。
具体的な症状は、寝ている間に車運転したり、人を殴ったり、お菓子を食べたりします。過去の夢遊病の治療例が一つあるので、貼っておきます。読んだことがない方は、どうぞご覧ください。

心臓のドキドキ、動悸を改善したほかの症例まとめ

🔗喉の痛みと動悸が漢方で改善した症例はこちら

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🔗脳梗塞後の動悸・胸痛が漢方で改善した例

🔗動悸・心臓と胸の痛みを鍼4回で治した89歳の女性の例

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🔗高血圧症・動悸・頭痛が10日で治った漢方薬症例

  1. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

    ↩︎
  2. 黄帝内経の解説は、黄帝内経:古代の叡智が教えてくれる、体の「宇宙リズム」をご覧ください。 ↩︎
  3. 傷寒雑病論の解説は、傷寒雑病論の詳細:歴史的偉大さと衝撃的な影響をご覧ください。 ↩︎
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • id:sunaowamuteki
    sunaowamutekiさん
    ブコメありがとうございいます。
    内関を強く押す以外に、頭頂部の百会も押してみてください。睡眠がよくなると思います。
    ダメだったら近くの信頼できる鍼灸院で、治してもらったほうが良いです。

  • id:riboni5235
    riboni5235
    ブコメありがとうございます。
    痛いところかあると、人はとても不機嫌になります。怒ったり不安定なのも、体調不良の影響が大きい。
    鍼灸医・漢方医に診てもらえば、脊柱管狭窄がよくなるので、早めに良くなることを祈ります。

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