こんにちは、李哲です。
ニハイシャ先生の弟子、劉菲菲医師がニハイシャ先生のHPに投稿した症例、菲菲医师的经方临床使用案例报告—-便秘(発表日付は2009年10月16日)を翻訳しました。
漢方薬で便秘、不眠症、情緒不安定、体力低下などを同時に治した素晴らしい症例をご覧ください。
4~7日に1回の便秘は、3日の大黄附子細辛湯で治り、睡眠障害も治って体力も回復
2009年10月10日。
アメリカ人の患者、女性、57歳、体型は痩せ型。
主訴は便秘。体力がなくて、睡眠障害もある。
ほかの中医学先生のところで治療したけど、便秘が逆にひどくなった。4日に1回の便通が、7日に1回出るようになった。情緒不安定でイライラしやすい、毎日仕事終わった後は倦怠感で動きたくもない。
以下は問診内容。
- 入眠はまだ良いけど、睡眠が浅い。
- 食欲は良い
- 両足は温かい
- 便通は4-7日に1回、残便感がある
- 喉は渇かない、温かい飲み物が好き(でも、患者は習慣的に冷たいものを飲んでいる)
- 尿は混濁、色は黄色
- 汗をかく
舌診:厚、白、湿
脈診:緩、有力
処方箋は以下の通り。
- 大黄2銭
- 細辛2銭
- 加工したトリカブト3銭
6杯の水で2杯まで煮詰め、朝夜食前に飲む。3日分を処方しました。
2009年10月12日、電話で追跡訪問したら便通は正常になり、睡眠障害も治って、体力も戻りました。
ニハイシャ先生の評論
劉菲菲医師は1発で効き目が分かり、2日で治せる段階に入りました。非常に優秀です。私が苦労しながら教えた甲斐がありました。
世の中には経方家のみ、このような治療効果を出せます。温病派の先生たちよ、あなたならどんな処方箋で治しますか?
李哲の解釈
漢方薬の解釈
大黄、附子、細辛、3種類だけの処方箋。『傷寒雑病論』では、大黄附子細辛湯だと言います(日本では大黄附子湯)。性質が寒冷の便秘に最適な処方。
性質が寒冷の便秘の特徴を簡単に述べると、7日間便秘してもお腹が痛くならない、苦しくならない。
7日も便が出ないのに、お腹が痛くならない?!
皆さんはビックリするかも知れませんが、私は1ヶ月1回便通の患者さんも見たことがあります。1週間も便が出ないのはザラでしょう。
性質が寒冷の便秘は、抗生物質・鎮痛剤・抗がん剤など使ったあとに良く現れます。原因は薬で体内の陽気がなくなって、温める力が足りないから胃腸の働きが遅くなり、腸が止まるから便が出ないのです。
性質が寒冷の便秘があれば、性質が熱の便秘もあるわけです。熱の便秘の特徴を述べると、腹痛があってベロが黄色いです。3日も便が出なかったら、お腹が張って痛くて大変苦しみます。このタイプの便秘を治す漢方薬は多いです。たとえば大柴胡湯、大承気湯など。過去記事ではたくさん紹介しました。以下は一つの特別な症例、目から出血するのを治した例。
大黄附子湯はドラッグストアで販売している大黄甘草湯と成分が違うので、混同しないでください。上記の患者さんは大黄甘草湯で治せません。
グーグルで調べたけど、残念ながらツムラ・クラシエでは製造してないです。既製品があれば、たくさんの患者が助かるのに。。。
便秘治療には漢方薬以外に鍼灸・足つぼ整体もある
漢方薬の効果はもちろん素晴らしいものです。
ただし、有能な漢方医に出会えなかったら、鍼灸・足つぼ整体なども選択肢に入れてください。実際の施術経験から見ると、効果はとてもいいです。以下、2つの症例を貼ります。参考にして下さい。
上記の女性は、便秘が原因でイライラしやすくなるし、寝付きも悪くなっています。睡眠障害があると、もちろん体力もありません。様々な症状があるけど、1番の原因は便秘。だから、シンプルな大黄附子湯だけですべての症状が治ったのです。
便秘は早めに治さないと、将来的に様々な不調を引き起こします。2日も出なかったら、すぐ治してくれる先生を探すべき。便秘は、ほったらかしてはいけません。
(おわり)
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