70歳男性の「左腕の激痛・しびれ」は実は心臓の警告だった話

「先生、左の腕が痛くて…夜も眠れなくて、手が握れません」
70歳の男性がそう訴えて来院されました。
ところがその痛みの本当の原因は、誰もが意外と思う場所にありました。

左腕の痛みを訴え右手で腕を強く掴む70歳男性のイラスト、心臓病や心筋梗塞の隠れた症状を表す
左腕全体に広がる激しい痛み…実は心臓からのSOSだった(イメージ)
目次

患者さんの主訴と初診時の様子

患者:男性、70歳。
患者と妻が一緒に来院しました。

患者の主訴は以下の通り。
左腕が痛い、痛みが腕全体に広がり、手がしびれて握ることができず、夜になると我慢できなくなって起き上がって、腕を強く振ると少し楽になる。

関連記事:右腕の筋肉が痛いのは、鍼刺した瞬間に治った

中医学の問診と診断

私「痛くて眠れないのですか?それとも以前から眠りが悪かったのですか?」
患者「もともとずっと眠りが悪いのですが、腕が痛くなってからはますます眠れなくなりました」

私「小便の具合はどうですか?」
妻「他のことはいいから、まずは腕の痛みを何とかしてほしいです」

私「まずは体で気になっていることを全部教えてください。腕の痛みと関係ないと思ったら治療しなくても大丈夫です。ただ、腕を治療しながら他の問題も一緒に改善できれば、それに越したことはありません」
患者は「尿が近いです。急に我慢できなくなる、尿が残る感じがする。急いでトイレに行っても間に合わず、時々ズボンに漏らしてしまうことがある」

私「尿の色は?」
患者「時々とても黄色い。でも水をたくさん飲むと黄色くならなくなる。」

関連記事:健康な尿の色は薄い黄色!尿 透明は下焦の冷え?鍼治療で改善

診断と処方

舌診:舌は絳紅色(濃い赤紫色)、舌下面に瘀血の黒い点が非常に目立つ

私はこれを見て「心臓に瘀血がある」と診断しました。

漢方薬処方は以下の通り。表に記載したのは一部の生薬。

主な生薬備考
黄連心火を清める
阿膠滋陰・補血
白芍養血・柔肝
細辛散寒・通絡
炮附子温陽・散寒
烏薬行気・止痛
地龍通絡・活血
川芎活血・行気
鱉甲滋陰・軟堅


漢方薬は7日分。
鍼灸治療は5日間実施。

烏薬の植物全体の手描き彩色イラスト、根・実・葉が描かれた生薬の図
烏薬(ウヤク) — 行気・止痛に優れ、瘀血や痛みを和らげる重要な生薬

2回目での変化

2回目の来院(復診):
頻尿・尿が我慢できない・尿の出が悪いのは完全に消失。
腕の痛みの程度と頻度は減ってきたが、曇りや雨の日になると悪化する。

よくよく調べると、ある1点だけが非常に強く痛み、そこから腕全体に放散していることが分かりました。その点は「膏肓穴」。そこで鍼灸は中止し、膏肓穴に瀉血療法を行いました。

背中の膏肓穴(BL43)の位置を示したイラスト。男性の解剖図に経絡と赤丸で強調、女性の背中にも位置を赤丸で表示
膏肓穴(こうこうけつ) — 心臓の瘀血が強く現れる重要なツボ。ここに瀉血療法を行い、腕の痛みが劇的に改善した

3回目の治療で、腕の痛みは完全消失

3回目の来院(三診):
腕の痛みはほぼ完全に消失。

もう一度同じ漢方薬を服用してもらい、心臓をもう一度しっかりケアして終了しました。心臓の状態が改善すると、腕の痛みも自然と治ります。

関連記事:右腕の痛みが再発しても鍼1回で改善!実証・虚証の治療法を徹底解説

この症例が教えてくれる重要な事実

実はこのケース、かなり危険な状態でした。
心筋梗塞を起こす確率が非常に高い状態だったのです。

彼の心臓病は、典型的な「胸痛・胸苦しさ・冷や汗」という症状ではなかったため、受診時も患者本人が「腕が痛い」と繰り返し訴えていたのです。

関連記事:心筋梗塞の即効ケア:胸痛・大汗・腕のだるさ、漢方薬+鍼で7日完治の症例

※中国河北省石家荘市の女医、張静先生1の症例:确实是胳膊疼,其实是心脏病!(2025-8-6発表)を李哲が完全翻訳しました。

李哲の感想と解釈

一般的に心臓発作、心筋梗塞など前兆として、胸が痛い症状があります。ないのは珍しいですね。腕には心臓の経絡が通るので、瘀血があるときは、腕が痛くなる可能性あります。

西洋医学に任せたら、整形外科、腕のレントゲンなおで終わるでしょう。でも、中医学は違うのです。幸いにも張静先生の診断が的中したので、患者さんの不調は治りました。

膏肓穴は以前紹介したことがあります。

今回は心臓疾患、腕が痛いときにも関連性が現れましたね。勉強になりました。刺絡療法はどんなものかは、過去記事が参考になると幸いです。

脈診、舌診など補助的な診断方法だけど、場合によっては病気の根本を決める肝になります。

上記の生薬を見ると、トリカブト、地竜などはだいぶ強いものです。攻撃力パワフル。数種類しかないけど、特殊部隊みたいにぱぱっと戦闘を終わらせる。これが経方派のやり方。

以前、経方派の一般的な温病派の違いを書いた小論文があるので、良かったら参考にしてください。

心臓疾患に対して漢方薬はもちろん、鍼灸もてきめんな効果があります。

以下は様々な心臓疾患を治した鍼治療例。参考になると幸いです。

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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