
こんにちは、李哲です。
今回は、動悸や心臓の痛み、胸の痛みに悩む89歳の女性が、わずか4回の鍼灸治療で劇的に改善した症例を紹介します。2023年3月24日に初診で来院されたこの患者さんの事例を通じて、鍼灸の効果や施術の詳細をお伝えします。
患者さんの症状:動悸、心臓の痛み、胸の痛みなど
患者さんは89歳の女性で、主な症状は以下の通りでした:
- 動悸(特に朝4時~5時に強い)
- 心臓の痛み・胸の痛み(左胸下の肋骨から背中にかけての痛みが3回発生)
- 首の筋や上腕の痛み
- 高血圧
- 両手足のしびれ(2~3年前から気づいていたが、動いていると忘れる)
- 視力低下
- 睡眠障害(寝付きが悪く、途中覚醒あり)
- 食欲は普通だが、お腹が鳴らない(若い頃から少食で、胃腸の不調が50年以上続いていた)
- 手足の冷え(寒がりで、いつも冷たい)
- 体力低下
問診で特に注目したのは、「お腹が空いてグルグル鳴ったことがない」という点です。中医学では、これは「脾胃(胃腸)」の機能低下を示しており、50年以上未治療だったことが推測されました。このような長期間の胃腸の不調が、動悸や心臓の痛み、胸の痛みなど他の症状にも影響していた可能性があります。

初回鍼灸治療:即効性を実感
初回の鍼灸治療では、以下のツボを使用しました:
- 1組目:曲池、中渚、後渓(5~10分後に抜針)
- 2組目:公孫、内関、神門、金門、太衝、中脘、巨闕
施術中、患者さんは「鍼を刺している間、ジンジンとした感覚があった」と報告。お腹は施術中は動かなかったものの、鍼を抜いた後、トイレに行った際に「お腹が大きな音で鳴った!」と驚いていました。これは、長年鳴らなかったお腹が動き出した証拠で、鍼灸の即効性を示すものでした。

2回目(3月28日):動悸が軽減、食欲が急上昇
2回目の治療後、患者さんから以下の報告がありました:
- 朝4時~5時の動悸はまだあるが、2日間は非常に良く眠れた。
- 鍼治療後、お腹が鳴り、食欲が急激に増した。普段は30%ほど残す食事を、1人前+デザートまで完食。
- 「眠くてたまらない」と、睡眠の質が向上。
ただし、デザートなどの人工的な甘いものは胃腸に負担をかけるため控えるようアドバイスしました。

4回目(4月7日):日常生活が劇的に改善
4回目の治療では、患者さんが「2回目の治療後が一番調子が良かった」と報告。2回目の治療後はタクシーで来院し、ほとんど歩いていなかったため体が軽く感じられたようです。3回目では鍼の本数を増やしたことで痛みが強く、効果がやや低下したため、4回目は再び鍼の本数を最小限に調整しました。
この日の施術中、お腹は鳴らなかったものの、鍼を抜いた瞬間に「グーグー」と鳴り出し、食欲が増したことを実感。患者さんは以下のように語りました:
「鍼治療後、以前より動けるようになった。買い物にも行けるし、普通の生活を送れている。」
この時点で症状が大きく改善し、日常生活に支障がなくなったため、4回目の治療で終了しました。8ヶ月以上経過した現在も再来院はなく、安定した状態が続いているようです。
なぜ鍼灸で動悸や心臓の痛みが改善するのか?
動悸や心臓の痛み、胸の痛みは、心不全や狭心症、心弁膜症などさまざまな病名がつけられることがあります。しかし、中医学では、病名に関わらず五臓六腑と経絡のバランスを整えることで自然治癒力を高めます。
今回の症例では、胃腸の機能低下が長期間続いていたことが根本原因の一つと考えられ、鍼灸で脾胃を調整することで全身の症状が改善しました。

89歳でも4回で回復!鍼灸の可能性
一人ひとりの体質や病気の重さにより、必要な治療回数は異なります。しかし、89歳という高齢でわずか4回で動悸や心臓の痛み、胸の痛みが改善したのは、私にとっても驚くべき結果でした。患者さんの回復力は、若い人にも引けを取らないものでした。
最後に、患者さんが笑いながら言った言葉が印象的でした:
「自分は行ったこともないのに、よくこんな痛い鍼を私に紹介したね!」(笑)

まとめ:動悸や心臓の痛み、胸の痛みに鍼灸を
動悸や心臓の痛み、胸の痛みに悩んでいる方、または高血圧や手足のしびれ、睡眠障害など複数の症状を抱えている方は、鍼灸を試してみる価値があります。
この症例のように、年齢に関係なく短期間で改善する可能性があります。ぜひ専門の鍼灸師に相談してみてください。
(おわり)

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