刺絡療法とは?刺絡でどんな病気が治るのか?

この記事は約3分で読めます。

こんにちは、李哲です。

瀉血(しゃけつ)療法と刺絡(しらく)療法。
言葉的にはとても似ているので、混同しているかも知れません。

なんでも血を出すのが、瀉血療法で刺絡療法だと思うでしょう。実際に、瀉血と刺絡は違います。今日は中医学の刺絡療法に関して話します。私見ですが、参考になると幸いです。

中医学でいう「刺絡療法」の定義

中医学では瀉血療法ではなくて、「刺絡療法」だといいます。瀉血療法の解釈は、瀉血 – Wikipedia をご覧ください。

中医学でいう「刺絡療法」は何が違うか?
先に、中医学の聖典『黄帝内経』の刺絡療法に関する記述を見てみましょう。

凡用针者,虚则实之,满则泄之,宛陈则除之,邪胜则虚之。

引用元:『黄帝内経こうていだいけい・霊柩・九針十二原』

「宛陈」の意味は古い老廃物、毒素。
毒素を除去する治療方法が、刺絡と言います。

「刺絡療法」とは、絡脈もしくは特定のツボを刺して、血を出して病気を治す方法。

絡脈というのは、皮膚の表側を走るもので、一般的に詰まりが生じた場合は静脈みたいに青くなります。絡脈は目に見えるけど、経脈は皮膚下の深いところにあるので見えません。

出す血液の量は、病状・患部によりますが、一般的には数ml程度で少ないです。ただし、慢性的・重病には大量の瘀血を出す時があります。

f:id:li-hari:20180522140840j:plain

三稜針(さんりょうしん):昔の刺絡用の鋭くて長い鍼。主に血管を破いて瘀血を出すため。今の刺絡用の鍼は、もっと細くて鋭いので、チクッとするだけでほとんど痛みがありません。

中国の刺絡療法は、ヨーロッパの瀉血療法と大いに違う

昔のヨーロッパで瀉血療法が盛んで、患者さんが瀉血療法で死んだのは、どんな患者さんでも血を抜いたからです。おそらく動脈から血を出したのではないでしょうか?

人間の血液量は、体重の8%くらい。60kgの人で換算すると、4.5Lくらいが血液です。その中の3割(1.5L)を失うと、命に危険性があります。

体が弱っている患者さんは、ほとんど貧血気味です。造血機能が弱くなっている方が多い。こんな患者さんでも血を抜くなら、死なないワケがないです。

中医学の刺絡療法は、誰でも血を抜く行為ではありません。
明確な目的と適応症があります。

だから、中医学5000年の間で、刺絡療法でたくさんの患者さんが死んで、刺絡療法が廃棄されてはいません。

黄帝内経こうていだいけい』には、刺絡療法で死に至ると書いてるけど、あれは不注意で動脈を刺して出血が止まらなかった時の事故です。昔の刺絡療法用の鍼は、縫い針みたいに太かったから、ナイフで動脈を切られたようなもの。今みたいに止血剤がないから、多量出血で死に至ったのです。

ちなみに、漢方薬には素晴らしい止血剤があります。以下は一つの応急症例、参考にして下さい。

刺絡療法で様々な病気が治る

刺絡療法で治せる病気は、どんなものがあるのか?

以下は一部分の適応症です。

  • マラリア、ハンセン病
  • アトピー.化膿などの皮膚病
  • 頑固な痛み
  • 緊急救命:狂犬病、破傷風・毒蛇.毒虫に刺された時
  • いろんな内臓の病気

特に病気の初期段階は、四肢の静脈.ツボには瘀血(中医学でいう邪気の集まり)があります。この時に刺絡療法を使えば、漢方薬を飲むよりも効果が速い。

老廃物・毒素を最短距離・最短時間で体の外へ出す。

刺絡療法は自然療法で、理に適っている療法で、緊急救命によく使います。たとえばケガで意識不明状態になったとき。

今日は草々と説明しましたが、機会があればまた記事として書きます。

(おわり)

コメント

タイトルとURLをコピーしました