指を切って血が噴水みたいに出た婦人、漢方薬粉で止血し傷口も短期間できれいに治った例。

この記事は約7分で読めます。

こんにちは、李哲です。

アメリカの著名な中医師、倪海厦(ニハイシャ)先生1の弟子が投稿した治療例、人紀外科事件簿 : 菜刀砍傷を翻訳しました。

包丁に切られて、噴水みたいな出血が漢方薬ですぐ収まり、わずか14日で傷口がきれいに治った内容。参考になれば幸いです。

指を切った事故の経由

日付:2008年6月7日、土曜日、朝9時前。
地点:騒がしい昔ながらの市場。

患者は70歳の婦人。
婦人が市場に来て野菜を買う時、竹を切る包丁を落として自分の指を切ってしまった。その場で噴水みたいに出血。傷口が深いので、出血量は少なくなかったです。

切ったのはおそらく左の親指の大きな動脈。
傷口は1.5cmくらい。
縦の深さは0.5cmくらい。
斜めの深さは1cmくらい。

生薬をまいた30分後には止血し、痛みも収まった

●2008年6月7日。
婦人に会ったのは朝9時過ぎ。婦人の出血量はまだまだ多くて、出血が止まらない状態。

婦人は鍼を怖がっていたので、血を止めるツボを押したけどあまり効果がなかったです。すぐ大量の生薬を粉にして、傷口の上に撒きました。

処方箋:
大黄、黄柏、黄連、黄芩、レンキョウ、金銀花。

金銀花の画像
金銀花の画像

当時の考え方は以下の通り。
4つの「黄」は消炎解毒作用がある。
レンキョウは消炎、膿を出す事ができる。
金銀花は消炎の手伝いができます。 

実際の治療効果: 
粉薬を傷口にまいてから、血流はすぐ緩くなり、30分後には出血がすでに止まりました。傷口の裂ける痛みも徐々に消えました。

朝は1時間毎に粉薬をまいて、午後からは8時間毎に1回交換。水に触れるのは厳禁。夜寝る時は、通気性がある防水バンドで巻く。

傷口の痛みは治り、浸出液も出なくなった

●2008年6月8日。
8時間毎に粉薬を入れ替えるて、水に触れるのは厳禁。傷口の痛みはほとんどなくなりました。故意に触れない限り。

李哲の説明:
傷口の痛みを治すとき、漢方薬はもちろん効果的です。ところで、お灸するだけでも効果があることを知ってください。以下は当院の患者さんの例、参考になると幸いです。

犬に噛まれ、腫れて痛いのはお灸してその場で治った。抗生物質よりもお灸のほうが優れている!

●2008年6月9日。
傷口の回復はOK。しかし、一か所だけ粉薬を撒いても、中から滲出液が出ました。これはきっと深い傷口のせいだと思います。処方箋に白朮.茯苓を追加。

当時の考え方は以下の通りです。
人紀クラスで教わったのは、白朮.茯苓は湿気が取れる。湿気が取れなかったら、今後は必ず膿んでしまいます。この2つを追加しても足りなかったら、赤小豆を追加するつもり。

実際の効果:
半日くらいで傷口からの滲出液は乾いて、赤小豆の出番がなくなりました。

●2008年6月9日。
朝晩、1回ずつ粉薬を入れ替える。

李哲の説明:
傷口から浸出液が出るときは治りません。漢方薬は浸出液を吸収することで傷口の回復を加速化します。鍼灸の場合はどうなるのか?ちょうど鍼治療例が一つあるので、参考になると幸いです。

先天性梅毒の子供、12年も治らなかった足裏の潰瘍、黄色くて臭い浸出液が出るのは、足三里を刺して翌日には治った

かさぶたがきれいに取れて、新しい肉が再生された

●2008年6月10日。
ケガしてから4日後、傷口に触れても痛くないそうです。ただし、傷口の外側に青アザがあり、指を強く握ることができない。握ると痛い。

前回の処方箋に茜草.桃仁を追加。

当時の考え方は以下の通りです。
この2つは瘀血を取り、血の流れをよくする生薬。傷口は肝経にはないけど、家にちょうど茜草があったので、役に立つだろうと思って追加。

生薬、茜草の画像
生薬、茜草の画像

実際の効果: 
1日後、青アザは徐々に薄くなり始めました。

●2008年6月11日。
傷口は徐々に、かさぶたができ始めました。

●2008年6月13日。
ケガしてから7日後、指を強く握っても痛くならない。かさぶたの形は非常に綺麗です。

●2008年6月21日。
かさぶたが取れて、綺麗な新しい肉と皮膚が再生してきました。

治療は以上で終わり。

李哲の説明:
包丁の傷口と違って、私が治療したのは動物に噛まれて生じた傷でした。もちろん漢方薬はなくて、ただの鍼とお灸だけで治療。結果的には治りました。時間が少しかかったけど、抗生物質をずっと飲むよりは効果的。以下の症例、参考にしてください。

ミーアキャットに噛まれて手が腫れて痛い・感覚麻痺を治した鍼灸症例

今回のの治療で得た感想

①漢方薬は手術よりも回復が早い

人紀クラスの教えがなかったら、このようなケガはおそらく外科医が縫うでしょう。でも、完治するまではこんなに早くできない。

自分の経験からすると、傷口が深い時は最低1ヶ月経ってから、かさぶたができ始める。手術した場合、婦人はすごく苦痛に耐えるしかないのです。

漢方薬は本当に強い。
師匠が教えてくれた人紀クラスは、本当にすごいです。

②外傷には粉末の生薬を使うべき

師匠が教えてくれたのは、傷口には粉薬を使うと綺麗に再生できる。粉薬は隙間があり、皮膚が呼吸できるから。今回の治療で完璧に検証できました。

先に師匠が正しいと設定する。
その後、検証してみる。これが人紀クラスを学ぶ不二の法門。

李哲の説明:
外傷の出血に漢方薬が有効なら、内臓の出血にも効果があるのではないか?もちろんできます。たとえば血便、血尿。どんな漢方薬で治せるのかは、一人ひとりの症状によります。以下は一つの症例、参考にしてください。

尿から血の塊が出る膀胱がん患者、猪苓湯だけで血の塊が小さくなって回数も減ってきた

骨にヒビが入る、筋が切れた時の漢方薬対策

もともとは、傷口がよく治らなかったら、玉竹を使うつもりでした。玉竹は筋肉の再生を手伝うから。万が一、骨まで折れた場合は続断。筋が切れた場合は秦艽。

でも、この2つを使う前に患者さんの傷口は治った。

李哲の説明:
外傷の出血、もしくは内臓の出血はまだ治しやすい方です。手が焼けるのは癌患者、幹部からの出血。たとえば乳がんが進行した場合、患部が化膿して出血します。西洋医学では切り取る手術しかないけど、漢方薬では傷口を治して新しい肉を再生することは可能です。以下は一つの症例、参考にしてください。

2ヶ月で癌性皮膚潰瘍の膿・出血が減り、癌が小さくなったけど、生薬の品質・患者さんの無知で治療が難航

芍薬と蒲黄でも止血作用がある

あとで考えたのは、もし患者さんが鍼を怖がっていたら、大量出血した時にもう一つ生薬が使えたかも。それは芍薬。

芍薬は収斂の作用があるので、血を止める事ができたかも知れません。友達から教わったのは、蒲黄粉でも大量出血を止められる。

李哲の説明:
蒲黄粉が利用された症例は、以下のようなものがあります。もちろん、蒲黄粉だけではなくて、ほかの生薬もたくさん使って、蒲黄粉を追加したもの。内臓の出血に対して、単品生薬だけ功を奏すことはできません。必ず共同作業です。

産後出血が止まらないのは「芎帰膠艾湯 」を飲んで一晩で治り、子宮全摘手術も避けられた例

⑤もう一人の治療例:傷口の治りは想像以上に速かった

2007年の夏、知り合いがバイク事故で飛ばされ、手足に擦り傷がありました。ところどころ皮膚がなくなっています。

何人か人紀クラスの授業を受けた人は先に鍼をして、鎮痛剤の代わりにしました。私は生薬の粉を作って、黄連.黄芩.大黄.黄柏をベースにして、あとは白朮.茯苓を追加。

生薬粉を傷口に撒いたら、一晩でかさぶたができました。傷口が治るスピードは私の想像以上。

始めて人紀クラスの授業を受けた私たちは感動しました。師匠が教えてくれた中医学は、本当に素晴らしいです。

李哲の説明:
傷口を治すとき、漢方薬が効果は予測できるものです。ところで、お灸をすえる事で傷口が迅速に治る話はあまり聞いてことがないでしょう?当院は何件か記事としてアップしています。以下は一つの症例、参考になると幸いです。

猫の引っかき傷で、手が赤く腫れて痛いのを3日のお灸で治した例。

⑥中医学は宝もの

この婦人の傷口は、去年の友達の傷口より深くて出血量も多いです。しかし、素早く回復することができました。

私たちが読んだ人紀クラスの教科書は、本当に宝物。人を救う事ができます。師匠の教えに大変感謝しています。

弟子 楊小邪 敬書

倪海厦(ニハイシャ)先生の評価

書いた人は、広州中医薬大学の修士を勉強している人です。皆さんはここで分かりますが、人紀クラスの中医学を習った後、すぐ現場で患者さんを助けることができます。彼らが学校で習う臨床よりも強い。修士を習得した後、民衆の苦痛をもっと解決して、本物の経方家になって下さい。

医学は中医学と西洋医学の区別がありません。
患者さんに有利であれば良い医学です。

今すべての臨床例が示すのは、西洋医学と温病派中医学は病気が治せない。経方家しか病気が治せません。

李哲の説明:
ニハイシャ先生は経方家を何度も話しています。中医学に詳しくない方のために書いた記事があるので、参考になると幸いです。

漢方が効かない原因は、「温病派」処方かも知れない。「経方派」と「温病派」の処方箋の違いを詳しく説明します。

(おわり)

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

    ↩︎

コメント

タイトルとURLをコピーしました