東洋医学の考え方を学ぶ:身体の不思議なしくみ

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こんばんは、李哲です。

東洋医学の考え方では、人間の身体と内臓は、どんなしくみで動いているのか?

これからお話する「東洋医学的に見た身体の仕組み」は、日本の皆さんの常識を超えるものかも知れません。参考になる情報になると幸いです。

身体には複数の頭脳(CPU)があり、共同作業で運転

以下からは、中国の学者さん:呉清忠先生が書いた《からだの取扱説明書》という本から一部を抜粋して、自分の言葉で書いたものです。最後に本のリンクを貼っております。

西洋医学が分析した人体システムは、目に見えるもの (骨格、神経、筋肉、内臓)が主ですが、東洋医学では、 そのほかに目に見えないシステムがあると考えます。「経絡(けいらく)」と呼ばれる、エネルギー供給システムがそれです。

経絡は目には見えませんが、全身にくまなくめぐらされた、 エネルギーの通り道。このエネルギーが身体の中の栄養や水分、老廃物の供給、排出などを指揮・管理します。

補足説明:
鍼灸治療と経絡は、ほかの小論文でも詳しく説明しました。以下の記事、どうぞ参考にしてください。

鍼はなぜ効くのか?鍼は経絡の気を調整し、自己治癒力を働かせることで様々な体調不良を治す

栄養や水分、老廃物の供給、排出の指令を出す頭脳(パソコンで 言えばCPU部分です)はひとつだけではなく、 複数の頭脳(CPU)が存在します。

複数の頭脳で共同管理をすることによって、 恒常的に健康な状態を保っているのです。

「大脳が身体のほとんどの機能を司っている」とする西洋医学とは、考え方を異にします。

2022-05-23追加:
本記事は西洋医学でも13年前に書いたもので、情報が古くなっています。現在の西洋医学は、「腸が第二の脳」だと定義しています。関連説明は「いそだ病院」のHP記事をご覧んください。

連載03 腸は「第2の脳」といわれていますが、「第1の脳」かもしれません

下は、呉先生が書いた簡略図面。

●体内:以下のものがあります。

指揮システム エネルギー供給システム  資源管理システム  
アップダウン       アップダウン          アップダウン

経絡システム / 血管システム / 神経システム  / リンパシステム

アップダウン               アップダウン
廃物処理システム         診断修理システム

●体外:周辺システム

※体内と体外で常に連絡をとりあっています。

体内の各システムは、以下のとおりです。

①指揮システム

主に大脳で構成され、思考と、身体のさまざまな機能を 維持しています。
指揮システムは、身体のある部分が外部からの刺激を受けたとき、 その刺激は信号となり、神経を通って大脳まで送られます。そして大脳から指令が各部位まで送られ、 身体が刺激に対して素早く反応できるようにします。

たくさんの低等動物には大脳がありません。
大脳がなくても、呼吸や、消化器による栄養の吸収や 老廃物の排出など、生命を維持するための、最低限基本的な活動は出来ます。

しかし高等動物が進化する過程で、より複雑な機能(外部からの刺激に素早く反応するなど) を指揮するために、大脳が生まれたと考えられています。

ただし、内臓の動きはこのシステムに指揮されていません。

では、内臓はどの指揮系統に属するか?
以下で説明します。

②エネルギー供給システム

すべての生物は、自ら活動するためのエネルギーの供給システムを必ず持っています。 

パソコンで言えば、バッテリーやアダプター。
車で言えばエンジン、ガソリンタンクのようなものです。

人間は直接にガソリンや電気を使うのではなく、 食物を摂取し、体内の消化吸収器官で化学反応を起こして、身体が使えるようなエネルギーに変化させます。最後には、身体のあちこちにに送りますから、車やパソコンよりももっと複雑で精妙です。

食べたものは、睡眠中などの活動が比較的少ないあいだに、消化系、造血システム、心血管システムにより「血液」 に合成されていきます。

ガス欠やエンジントラブルがあったら、車は動けません。
パソコンに流れる電気が足りなかったら、システムがうまく起動せず、ダウンしてしまいます。

人間のエネルギー供給システムも同じです。

③資源管理システム

中国でよく使われる言葉に、「透支体力」というのがあります。
「過労、エネルギーの過度の消耗」という意味です。

現代社会には、「過労」の人がたくさんいそうです。

体に無理をしてオーバーワークさせると、 通常は体内エネルギーが減少し弱っていきますが、 人によっては自覚症状もなく、限界までバリバリ働きます。

興奮状態が続くので、顔がほてったり夜眠れなくなったりしますが、 「外見上はいたって元気」という人です。

面白いのは、両タイプとも、すぐに大きな病気には ならないところです。

身体のエネルギー調達・分配は、財務管理と同じ

体内にはエネルギーを管理するシステムがあり、
このシステム自身が高等な知能を持っています。

このシステムは、体が過労でエネルギー不足の状態でも働けるように、いろいろな場所に貯蔵してあるエネルギー源を調達してきて、足りないところに補充します。通常、この「透支体力」は何十年も続けられます。

西洋医学では、体に何か問題があったら投薬や注射など、外部から働きかけないとダメだと考えます。「身体が自分で解決できる」とは、思っていないようですね。

補足説明:
中医学は、人間の体は自分で治す力があると考えて、西洋医学は外の支援部隊が必要だと考えています。以下の小論文で詳しく説明しているので、良かったらご覧んください。

中医学とは?中医学が西洋医学より優れている8点(メリット)

貯蔵してあるエネルギー源を調達するとき、 体内では複雑な化学反応が起こるはずです。だから、こういうときに血液検査などをすると、 いろいろな数値が変わってきます。

体内のエネルギー源の調達は、 「会社の財務管理=リストラ」と同じです。資金が足りない時は、財布のヒモをしめて、必要最低限のところにしかお金を使いません。無駄な経費は削減します。

補足説明:
中医学では病気治療中、特に腎虚証が著しい患者を治すとき、性交渉は極力行わないことを勧めています。アメリカの漢方医、鄭智城先生1が書いた記事が参考になるので、どうぞご覧んください。

病気治療中に房事(性行為)を禁止するのは、筋が通る話なのか?

人間の体も同じです。
エネルギーがたりないときは、他の重要度の低いシステムへの供給ををストップして、 生命維持に必要不可欠なシステムにのみ集中して、エネルギーを供給しようとします。

例えば、廃物処理システムへのエネルギー供給が削減されたとき、 皮膚は黒ずんでいきます。ある人は皮膚に吹き物が多くなり、ある人はどんどん太ります。どちらの場合も、皮下に溜まった老廃物が、システムのエネルギー供給不足で排出できず、体内に溜まっていくからです。

また、脾臓に送るべきエネルギーをカットした場合は、体内の診断修理システムは自分の仕事量を減らします。そうなると、大きい病気には防衛体勢をとるけれど、 あまり重要でない小さな病気には防衛反応を起こしません。

「長い間休まずに、働きつづけても病気にならなかったのに、久しぶりに休んだら逆に体調を崩した」という話は、よく聞きます。

これは、休んだことにより体がエネルギーを貯蔵して、 脾臓のほうにもエネルギーの供給が増え、小さな病気にも防衛反応をとる能力が出てきたからです。

過労、エネルギー不足のときの症状

中国のことわざには、「よく小さな病気になる人は、大病にはならない。まったく病気にならない人は、大病になりやすい」という言葉があります。

各臓器が過労状態にあるとき、とんな具体的な症状があるかを説明します。

肝臓が弱くなった時

肝臓のエネルギー供給を減らしたら、血液を浄化する作用が弱まって血液はだんだん汚くなり、歯周と唇の周りが黒くなります。肝臓に入る血液の量も少なくなると、最後は肝硬変・肝臓がんなどになります。

腎臓が弱くなった時

腎臓のエネルギー供給が少なくなれば、腎臓の濾過する力が弱くなります。尿の色がだんだん薄くなって、最後は水のようになり、尿毒症になります。

もしかすると、多くの尿毒症患者さんは腎臓に問題があるのではなく、腎臓に送るエネルギーが足りなかったのが原因かも知れません。

肺が弱くなった時

肺の場合は、全身の給水システムに異常をきたします。
東洋医学では、肺は呼吸だけでなく、全身の「水」を つかさどると考えられています。

給水システムに問題があると、顔色は黒くなり、水分が減少するので乾燥肌になり、痩せてしまいます。

身体が強くなったとき、様々なデトックス(好転反応)が起きる

身体はよく養生すれば、エネルギー(中医学での 「気」と「血」です)が増えてきます。足りなかったエネルギーが、内臓のほうまでゆきわたってはじめてこのとき、防衛反応として症状が出るのです。

筋肉痛が生じる

しばらくエネルギー供給が足りなかった筋肉組織に血がゆきわたると、筋肉痛があらわれます。

肺には風邪の症状

肺にゆきわたれば、肺の中に潜んでいた寒気が外に追い出され、風邪と全く同じ症状が出ます。

 肝臓には微熱・黄色い尿などが生じる

肝臓にめぐれば、浄化が再開し、肝熱と呼ばれる熱が出たり、尿が黄色くなったりなどの肝臓病の症状が出ます。老廃物の大掃除がはじまるので、血液中のコレステロール値などが大幅に上がります。

腎臓には尿が濁る・尿タンパクなどが生じる

腎臓にめぐれば、尿が濁ったり、蛋白質が出たりします。
(ツボ療法を何週間か続けた場合にも、このような症状が出る人が よくいます。簡単にいうと「好転反応」)

病院の検査数値では、身体の状態が正しく測れない

西洋医学では、検査の数値や症状から判断するので、 こういうときは「病気だ!」ということになります。抗生物質などさまざまな投薬をおこなって 、せっかくはじまった「体の大掃除」を中止させてしまいます。結果、全ての検査数値は「正常範囲内」に戻りますが・・・

こういう治療法を中国では「拆東壁、補西壁」と言います。
「東の壁に穴があいちゃったら、西の壁から材料をとって東の壁の穴を埋める」というやり方ですね。体にいいどころか、かえって逆効果の場合もあるようですが。

おわりに

本の内容をもとに、個人の見解を入れて本記事を書きました。文法的に変なところがあるかも知れません。東洋医学の考え方について、少しでも役に立つ情報になれば幸いです。

この本は中国で大ヒットしましたが、日本ではほとんど無名なようです。中医学に対する関心が少ないでしょうか。

東洋医学を学ぶとき、一つの良い参考書になるので、どうぞ1冊買ってみて下さい。

  1. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

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