こんにちは、李哲です。
患者さんから何回も質問されたことがありました。おそらく、他の方々も同じ疑問があるでしょう。
「鍼ってなんで効くんですか?」
たまには鍼の即効性に驚いて、魔法使いだと言う人もいました。
鍼灸はなぜ効くのか?
要約すると、鍼灸は経絡のツボを刺激することで、気のめぐりを調整し、カラダ本来の自己治癒能力を高めて自然に治る。
次は経絡、気、ツボについて説明しながら、解釈しようと思います。
様々な体調不良・病気は経絡が原因
中国伝統の鍼灸理論は漢方と違って、独自の経絡理論があります。そして、すべての病気・体調不良は経絡理論で解釈できて関連の治療ができると言われています。
以下、例をあげます。
一番よく見かける風邪の咳・くしゃみ・発熱は太陽経の問題。
便秘、下痢、腸閉塞、マラリアなどの胃腸障害は脾経もしくは胃経の問題。
腎炎、尿シッキン、尿の出が悪いなどの泌尿器障害は腎経もしくは膀胱経の問題…
経絡につまりが生じたのか、もしくは経絡に流れる気血が足りないのか、分析したあとに鍼で調整することで治るのです。
経絡は身体を全包囲した交通網
経絡は気が流れる道です。
鍼灸治療は、経絡をもとにしています。経絡がなかったら、鍼灸もないと言えます。
人体には正経12本と奇経八脈の8本が基幹となって、首都圏エリア交通網を作っています。首都圏エリア外は経脈から枝を出した絡脈、絡脈から枝を出した孫絡があって、正経12本と奇経八脈8本の間を絡んでいます。経絡はあらゆる臓器、皮膚、ほかの組織とつながっています。
経絡が絡み合う所には、大事な作用を持つツボが多いです。例えば関元、中極、三陰交。一つのツボで、様々な経絡・内臓の不調を治せるのは、経絡の交差点があるからです。
「気」は免疫力・自己治癒力
気は経絡に沿って、身体を巡ってるエネルギー(パワー)です。
人間には五臓六腑以外に気があるから、食べ物を消化・吸収する力があるし、体に悪い有毒物質を分解して便・尿とした外に出す力があります。
人間が意識しなくても、「気」は自動的に全身を周り、メンテナンスをしながら体を守っています。
「気」は西洋医学でいう免疫力・自己治癒力の総称で、そのパワーはすごいもの。人間の身体は、素晴らしい免疫力のおかげで、ほぼすべての病気を自分で治せます。人間が病気になるのは、この免疫システムに支障をきたしたから。
人間には素晴らしい自己治癒力があるので、ワクチン・抗生物質に頼るのではなくて、生まれつきの免疫力を強化するのが、健康を守る唯一無二の方法です。
ツボは経絡の要塞
ツボと言うのは、経絡の上で最も反応が良い所、要処。鉄道の分岐器みたいなもの。
ツボに鍼をすると、体に信号を与えます。
このツボが属している経絡に問題があるよ。
このツボにつながっている臓器に問題があるよ…
信号を受けた体は、自分でシステムを調整して問題がある所を修復します。
また、鍼灸には「補瀉」の概念があり、経絡・五臓六腑の状態をコントロールできます。感染症で炎症起こした時、赤く腫れて痛い場合は瀉法を行って、余分なものを外に出す。重病後に弱った体には補法を行って、気を補うようにします。
針灸は経絡の気を調整し、自己治癒力を働かせることで病気を治す
鍼灸は西洋医学のビタミン剤、抗生物質などと違って、外部から体内に何かを化学薬品を入れるものではありません。鍼灸は生まれつきの自己治癒力を刺激して、体自分が自分を治すようにしているから、「治癒」だとも言います。
以下は代表的な事例。
例1:鍼で風邪の諸症状を治せる理由
西洋医学では、「風邪はウィルスが原因」だと言います。しかし、ウィルスを殺せる薬もないので、風邪に対する有効な治療法もありません。解熱剤、咳止めなどは一部の症状に対する対症療法で、風邪を治すものではない。
西洋医学と違って、鍼は風邪治療で毎回即効性を出しています。以下は一つの鍼治療例。持病のついでに、鼻水・喉の痛みを15分で治しました。
風邪はウィルスが原因だと言うのに、果たして鍼でウィルスを殺せるのか?
この考え方は間違いです。
正しくいうと以下の通り。
例2:鍼で椎間板ヘルニアを治せる理由
西洋医学では、出っ張っている椎間板が神経を圧迫して、下肢の痛みとしびれが出ると言います。
鍼灸では経絡の流れが詰まったのが原因だといい、分析してから関連のツボで治療します。例えば委中.束骨.風市.環跳など。ツボの選択肢は山ほどあり、その効果はとても良いです。以下は一つの鍼治療例、参考にして下さい。
ツボを刺すことで、出っ張っている骨が戻ると思いますか?
細い針でそんな効果がある訳がないです。
でも、鍼灸では椎間板ヘルニアの痛みとしびれを治せます。
つまり、骨が出っ張っているけど患者さんの辛い症状は治る。
ここで分かりますが、西洋医学の椎間板ヘルニアの理論は間違っています。アメリカの漢方医、鄭智城1先生も治療例で西洋医学の理論が間違っていると指摘しました。詳細はこちら。
治療効果があるのは、何かの科学的根拠がある
いまだに鍼灸は科学的根拠が乏しい、鍼灸はプラセボ効果だと否定する人が多いです。本物の鍼灸を試しもしないで、最初から否定し批判するのは、科学を追求する精神ではないと思います。
論より証拠。
臨床では効果が全て!
中国は数千年の鍼灸症例、数え切れないほどの鍼灸著作を残してくれました。当院の様々な症例からみても、鍼灸の治療効果が病院の薬・手術より優れている。副作用なくて後遺障害もない。
効果がある治療方法は、必ず何かの科学的根拠に基づいています。現代医学が解釈できないのは、レベル不足で解釈できないだけ。いつか、テクノロジーが発展したら、鍼灸の仕組みが解釈できるかも知れません。
皆さん、なにか体調不良があったとき、ぜひ鍼灸治療を試して見てください。あなたはきっと鍼灸の効果に目からウロコのはずです。
(おわり)
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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