動悸・息切れがひどくて、日常生活に困る。
病院では死ぬまで飲む薬と、心臓の神経を焼き切る手術をすすめます。
しかし、手術は1回で成功し、動悸と息切れがが完全に治る保証がありません。
病院のカテーテルアブレーションなどの手術以外に、漢方薬と鍼灸があることを忘れないでください。
鍼灸は一つの良い選択肢です。
以下は心房細動(脈拍140)、不整脈、動悸、息切れ、頑固な腰痛を改善した鍼治療例。
完治までは至ってないですが、改善点はたくさんあります。治療過程を詳しく書いたので長文になりますが、参考になると幸いです。
患者さんの症状:動悸、息切れ、不整脈、腰痛…
こんにちは、李哲です。
今日は動悸、息切れ、不整脈の鍼灸治療例。
一人の女性、60代。
彼女は息苦しくて病院に行ったら、脈拍が1分間に140回。心房細動(しんぼうさいどう) だと診断されました。

病院の先生が言うのは、「治療法はカテーテル入れて信号発生源を止める。以前は焼ききるやり方だったけど、今はバルーンで膨張させて信号発生源と離れるやり方。」
手術後はずっと薬を飲む。
厄介な事は、1回で手術が終わらない。
「臨床では3~4回受けた人も少なくない」と、病院の先生に言われたそうです。(カテーテルでの治療費はネットで見ると、保険適用してない時は200万円くらい。4回もしたら800万円!)
たとえ手術が成功したとしても、薬を飲み続ける必要がある。心房細動が完全になくなれば、西洋薬を飲まなくてもいいけど、そんな患者さんは少ないそうです。

彼女がもらったのは2種類の西洋薬。
一つは脈拍を調整するメインテート 。
もう一つは、血栓ができて脳に行くと脳梗塞になるから、予防になる血をさらさらにする薬。(ニハイシャ先生1がよく言うネズミを殺す薬がこれです)
彼女は薬をもらって1周間飲んだけど、気持ち的に楽になるだけ。脈拍はそれ以上に変わらない。
彼女は心房細動以外に、慢性的な頑固な腰痛もありました。左腰から左のお尻まで痛い。たまには右腰も痛いそうです。
両足がすごい暖かくなり、鍼した2~3日は心臓の調子が良い
以下からは彼女が来た時の報告です。
(彼女が通ったのは、1週間に2回のペース)
2回目に来た時の報告:
前回施術したあと腰痛は楽。前回鍼を受けたあと、2~3日は心臓の調子がとても良かった。でも、徐々にまた悪くなり、西洋薬を2日飲むしかなかった。脈拍は変わらない。(一般的に最初の変化は一番大きい。その後は徐々に変わる感じです)
前回、鍼を受けたあと、次の日は両足がとても暖かかった。(以前は、下半身が温かいの感じたことがない)
今日一番気になるのは息切れ。
外苑前駅からここまで歩くだけでも、一苦労だった。
3回目の報告:
特に変化なし。周りの人が「病院の薬を飲め飲め!」とすすめているけど、彼女は飲んでない。ただし、あまりにも言われるので、飲むかどうかすごく迷うそうです。
動悸は以前より明らかに減った
4回目の報告:
前回の鍼を受けてから、心拍数は家にいる時は大丈夫。たまにドクンドクンと動悸がするけど、前より全然減っている。家にいる時は息切れがない。外出先ではまだ少し息切れ。
今日は腰が重くて痛い。そして、今朝起きたら左手の尺骨神経支配範囲(小指側)が麻痺して、頑張って動かしたらやっと治った。(この症状は数年前にも、起きたことがあるそうです)
鍼が終わってお茶を飲むとき彼女が言うのは、「お風呂に入ったみたいに全身が熱い。血が回るのがよく分かります」
彼女の手の麻痺。
尺骨神経の支配範囲。
薬指と小指が麻痺するのは、心臓に問題があるからです。心臓の経絡がちょうど薬指を通っている。心臓に問題があるので、薬指と小指がしびれたり麻痺したりするのです。
腰痛は半分以下になり、心臓の調子も良くいつもより歩ける
5回目の報告。
前回施術して、腰痛は半分以下になった。
帰るときは、心臓の調子が良くて、いつもよりたくさん歩けたそうです。
ただし、翌日から3日くらいドキドキが止まらなくなり、周りの人にまた「薬を飲みなさい!」と言われ、不安が生じた。
西洋薬を飲むのが正しいか。
飲まないで様子を見た方が正しいか。
彼女が今日私に言うのは、「もし今日まで治らなかったら、西洋薬を飲むつもりです」
幸いに鍼を刺したあと、心臓がとても良い感じ。
お腹も体もめちゃくちゃ暖かいそうです。
彼女は私に話しました。
「そのメインテートは、飲んでも心臓のバクバクが止まらないです。ただし、飲むと息切れで歩けないのが、歩けるようになります。胸を圧迫される感じはあるけど。」
今後、西洋薬を飲み続けるのか。
私は不安でした。
彼女が病院の先生に言われた「脳梗塞になる可能性があること」。
これは要らない心配です。
なぜなら、彼女の手足は暖かいから。
手足が暖かければ、全身を巡っている血液は熱いです。熱い血液は血栓症なんかなりません。
常識的な理屈ですが、川は寒くなると凍ります。
熱いとさらさらに流れる、血液中も同じなのです。
動悸、息切れの原因は、腎臓が弱いから
彼女の動悸、息切れは何が原因で、どこから来たのか?
私は彼女に説明しました。
心臓の問題は、腎臓から来ています。
中医学の理論では、腎臓は「水」。
水は火に勝つ。
水(腎臓)の病気が長くなると、次は火(心臓)に悪影響が及びます。
西洋医学では腎臓病はただの腎臓病ですが、中医学の考え方では違う。
腎臓病の次は、どこになるかが分かります。
つまり、予防もできる。
彼女の腎臓は、昔から問題がありました。最初、足ツボ・整体に通った時も、腰痛と坐骨神経痛で来たのです。残念なのは、足ツボ.整体では効果が長持ちしない。次の日までは楽だけど、また徐々に悪くなっていました。
これは足ツボ.整体が効かないことではなく、彼女の腎臓が本当に弱っているから、足つぼ整体の力では足りないのです。針治療になってからは、施術効果の持ち具合が変わりました。心臓の不調は、まだまだありますけど。
今まで心臓の不調:不整脈.動悸など何人か診ましたが、一般的に治りは早いです。30代の体力がある男性は、4~5回で動悸、息切れ、不整脈が治ります。以下の症例、参考になると幸いです。
しかし、彼女のは本当に重い!
病院の薬と鍼治療の相殺効果で葛藤
6回目。
彼女の報告:
前回鍼を受けて帰るときは、とても調子が良かった。
でも、夜になってまたドキドキが始まり、30分位の発作が3回起きた。次の日にも息切れなどあるので、西洋薬を3日連続で飲んじゃった。
今日は、更に効果を出すためにツボを選び直しました。通常の公孫、内関、中脘、巨闕、関元など以外に、董氏奇穴の心門、霊骨、大白、火硬、火主など追加。45分置鍼している間に、1回だけ全部の鍼を回しました。
董氏奇穴は通常のツボと少し違って、独自の理論があります。そして、ある分野で著しく効果がある。私は効き目があれば、何でも採用する主義なので、伝統的な鍼灸理論と違っても気にしてない。董氏奇穴に関しては、機会があれば紹介したいと思います。
毎回、施術後の反応は良いけど、心臓の調子がおかしくてなった期間が長かったので、今取り戻すのに一苦労です。
腎臓を強化する以外に、肝臓の毒素を減らして、心臓に行く血液が綺麗であることを保証しないと、心臓がまたパクパク動悸が始まり、胸が苦しくなります。
しかし、彼女はまた薬を飲み始める。
肝臓の毒素が増えるわけです。
彼女は私に「薬を飲んでもいいのか?」と質問しました。
私は答えに困りました。
飲むと肝臓の毒素が増えて、心臓にも負担がかかる。飲まないと彼女は不安で、逆に心臓に負担がかかる。飲まないと、歩けないくらい胸が圧迫される感じがします。
最後、私は彼女に話しました。
「飲んでもいいです。ただし、どうしても胸が苦しくて日常行動ができない時だけ飲んで下さい。飲まなくてもいい時は、なるべく飲まないでほしいです」
私の考え方は、患者さんが楽になると言うなら、何でも賛成します。西洋薬でもかまわない。
手首をねじる時に痛いのが1回で消えた
10回目に来た時の話。前回鍼を刺したあと、胸にもやがかかった感じだったけど、次の日からは調子が良い。今日は左前腕部が痛い。角度によるけど、ものを捻るときが特に痛いそうです。
この症状は、西洋医学で「素晴らしい」病名があります。
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
鍼灸の治療には、養老穴から間使穴までつなげると1発で治りますが、今日は内関.間使.神門などのツボがあるので、とりあえず刺さないで次回様子を見る。養老穴から間使穴までつなげる治療法は以下の症例をご覧ください。
5日後の11回目。
彼女が言うのは、「一日だけ脈が上がって苦しかったので、西洋薬を1錠飲んだ。それ以外は飲んでない」
他につらいところは、左腰からふとももにかけて、外側と後側が痛い。これは胆経と膀胱経、両方関わっているので、関連しているツボを追加。環跳、風市、足臨泣など。胸が苦しいのがまだあるので、胃経の井穴:「厲兌」を追加。
彼女に前回の手首をねじると痛いのを聞いたら、良くなったのですっかり忘れたそうです。養老穴と間使穴も使ってないのに… …
手首の痛みを治した症例はたくさんあります。以下はもう一つの症例、参考にして下さい。
患者さんが飲んでいる病院の薬を話す
彼女は病院の薬に関して、私に教えてくれました。
3種類の薬をもらったそうです。
1つ目は突発性心房細動を抑える薬。これは心房細動を治すのではなくて、症状を3分の1まで抑える。(赤字をよく見て下さい。治すのではなくて、3分の1まで抑えるものです。)
2つ目は心房細動で血栓症を防ぐための、血をさらさらにする薬。関連の記事を書いたので、よかったらご覧ください。
3つ目は前の薬が胃潰瘍を起こすので、その予防になる薬(薬名を知らないので、副作用を調べることができません)
私は笑うしかなかったです。
心房細動のために、こんなに飲まないといけないのか?3つ目の薬で今度ほかの副作用が出たら、また薬を追加して飲まないといけないこと?
彼女も笑って話したのは、「病院の先生のいいなりになったら、大変な事になりますね…」
帰りに彼女が話しました。
「炙甘草湯 も飲みはじめたせいか、鍼の効果かちょっと分かりませんが、前よりとても良くなった感じがします」
炙甘草湯がどれくらい優れているのか、以下の漢方薬症例を見れば分かると思います。
腰痛は楽になり、動悸・息切れは安定してきた
1週間後の12回目。
彼女が言うのは、「動悸.胸がバクバクする感じはなくて、とても安定しています」。1回だけ嫌な会議に参加して、少しドキドキしたけどすぐ治った。西洋薬も飲んでいない。他の日は、ごくたまに動悸が起きるけど、10秒くらいで治る。普段の時は、外を歩いても大丈夫だそうです。
今日は他に気になるのは、左腰からお尻までのライン。昔々から痛かった場所。ただし、前回より痛いラインが短くなっている感じ。私は押してみたら、一番痛がっているところに3寸の鍼を刺して、呼吸に合わせて補法を行い、ほかは通常通りのツボ。
腰痛と坐骨神経痛は臨床でしょっちゅう診ます。鍼の効果はバツグンとしか言えない。以下は一つの症例、参考にして下さい。
13回目に来た時の報告。
昨日は少しドキドキしてた。今日は治療に来るとき、早足で走ったら少しバクバクする。心臓が詰まる以外に、首の前と横も詰まる感じ。腰を曲げたりすると、左腰の外側と後ろからお尻にかけて中に痛みが生じる。
施術後、彼女が言うのは、「心臓がフワフワする。つまる、痛みと違ってなんとも言えない感じ」だそうです。
14回目に来た時の報告。
前回、施術して帰ったあと、やはり動悸があった。次の日からは大丈夫。心臓のフワフワする感覚は、動悸の前兆だったのです。今は動悸があっても、日常生活に支障が出るレベルではない。
彼女が言うのは、「6月にはドキドキ感が6回くらい。7月にはドキドキ感が3回に減っている。ほぼ西洋薬無しで大丈夫です。」
彼女はまだ完全には治ってないけど、少なくとも前より確実に進歩しています。一安心しました。あとは、もう少し時間がかかりそうです。
死ぬまで飲まないといけない病院の薬
彼女は西洋薬に関して、私に話しました。
「病院からもらった薬は、飲んでもドキドキ感が変わらない。飲んでも心臓の圧迫感は変わらなく、歩くことだけで精いっぱいでした。」
私は彼女に話しました。
「飲んでも効かないなら、止めましょう。」
彼女は最近、病院の24時間心電図(ホルター心電図) の検査を受けたそうです。結果は問題ない。しかし、彼女はたまに出る息切れ.動悸はあるのです。だから、病院の先生は「突発性心房細動」だと診断。
病院の先生は、この前の検査でまた投薬治療と心臓の手術をすすめたそうです。
彼女は不思議に思って、逆に先生に質問しました。「たまにしか出ない症状の為に、死ぬまで薬を飲まないといけないですか?」
病院の先生の答えは、「そうです!」
40年前に手術したせいで、骨盤の中が痛い
彼女のしつこい腰と骨盤中の痛み。経絡の走行を分析して、相応しているツボを選びましたが、効果は薄かったです。
彼女の過去を聞いた時、その原因が分かるようになりました。彼女は若い時、子宮筋腫.子宮内膜症.卵巣嚢腫。同時に3つの病気で激痛がよくあった。特に左骨盤中にくっついているのがあって、それで左腰と左骨盤中がすごく痛かったそうです。
当時、彼女は手術以外の解決方法を知らなくて、あまりにも痛かったのでそのまま手術。40年経った今、痛い場所はちょうど手術した所です。
私は彼女に話しました。「これは手術した傷口の痛み。痛い場所と切った所が、ほぼ一致しています。人為的に作られた傷口なので、治りが遅いです。」
一般的な外部から冷え.過労で、腰と骨盤が痛いのは鍼灸で効果は速いです。唯一に治りが遅いのは、人為的な傷口の痛み。もともと自然に存在しない痛みだから、治せない時が多々あります。
子宮内膜症.子宮筋腫.卵巣嚢腫などは、中医学の漢方薬.鍼灸でも効果が高いです。一発で切り取る野蛮な手術よりは効果が遅いですが、安全で自然に体質を変えながら、徐々にあなたの体を変えられます。
お腹を開ける手術、皆さんは腸閉塞の原因が手術であることを知っていますか?
私が手術を反対するのは、手術は内臓に傷口を作るだけではなくて、目に見えない経絡も切るから。経絡が切られ、流れが悪くなるので、更に老廃物(毒素)が溜まりやすくなる。30~40年経つと毒素が氾濫して、いろんな不調が出るのです。この時、西洋医学はきっとまた手術を薦めるはず。
手術の後遺症でこんな事になったのに、また手術を受けないといけない?これは何の論理思考ですか?
彼女は痛みは、少しずつ回復している感じなので、治せない事はないです。ただし、回数はもっとかかりそう。私はあらゆる方法を考えて、必ず痛みを解決します。
命にかかわることじゃないかぎり、手術はしないで下さい。体の部品も、簡単に切り取らないで下さい。ある日、あなたが中医学に出会った時、手術の傷口のせい.体の部品が足りないせいで、ものすごく治りが遅くなる。治せない時もあります。
ほかの症状:目の癌(目やにが多い、涙が勝手に出る)
彼女は頑固な腰痛。心房細動以外に、もう一つの病名をもらっていました。
目の癌。
抗がん剤は効かないタイプ。進行が緩やかなので、病院の先生が言うのは「とりあえず手術しないで、様子を見ましょう」。目に炎症が何年も起きて、B型リンパ球がたくさん集まって、がん化したそうです。
西洋医学の具体的な理論はどうでも良いので、彼女の自覚症状を紹介します。
- 眼瞼の中に、できものがある。
これが、いわゆるがん組織。 - 目やにが特に多い。
朝は目やにでまぶたがくっついて、目が開けられない。 - 涙がよく勝手に出る。
悲しくてもないのに、勝手に涙が出る。
目やには、足つぼ整体を受けた時は、少し減りました。鍼を受けてから、もうちょっと減りました。以前みたいに夕方になると、目やにが溢れるのはなくなりました。
目やにが多い患者さんはほかにもいました。以下の症例、参考になると幸いです。
最近はなぜか目が乾燥するそうです。
病院の先生が薦めたのは、「がん組織が大きくなって、視力に影響が出たら手術しましょう」。
どんな手術かは分かりませんが、異物を切り取るくらいでしょう。
手術しないで、なんとかならないか?
もちろん、鍼灸ではなんとかなります。
目の癌が治るとは言えませんが、目やにをなくし、日常生活で普通に見れるようにするのはできます。刺絡、そして目とつながっている肝臓のツボを刺せば、徐々に変わる。
2回くらい目のために刺したけど、彼女の感想は「目がぱっと開けられる。」
まだ刺した回数が少ないので、さらなる報告は受けていません。目の癌がどうなったかは、時間が経ってからまた書きます。
おわりに
心臓の病気は、鍼でも十分変化が現れます。うまく漢方薬を併用すれば、治りがもっと早いです。毎週2回、もしくは3回の治療を受けると必ず変わるので、焦らず1ヶ月やってみて下さい。
1ヶ月やってみてダメだったら、心臓の手術をしてもいいじゃないですか?
心房細動.不整脈の場合、あなたには2つの治療の選択肢があります。
選択1:カテーテル治療して、死ぬまで西洋薬を飲む。そして、運悪く途中で重篤な副作用で半身不随になる。もしくはあの世行き。
選択2:安全で副作用なしの鍼灸、漢方薬で治す。
保険適用してない時の手術金額、1回で200万円を払うか。1回で5000~7000円の鍼を受けるか。自分で選んで下さい。
(おわり)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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