同じ右片頭痛なのに、なぜ若いマッチョは3本の鍼で済み、70歳のやせ細ったおばあさんは5本も打たれたのか?
一見不公平に見えるこの差こそ、鍼灸の真髄――「虚実補瀉」のリアル症例。

※中国河北省石家荘市の女医、張静先生1の症例:两个人的头痛(2026-1-28発表)を李哲が完全翻訳しました。
同じ日に来た二人の片頭痛患者
同じ日に診所に来た二人の患者がいて、どちらも頭痛で、しかも右側の片頭痛でした。
一人は30歳の若い男性で、体が大きくてがっしりしている。もう一人は70歳を過ぎたおばあさんで、非常に痩せていて小柄。
若い男性「動けない、頭が今にも砕け散りそうです。中の感じが豆腐脳(豆腐の脳みそみたい)みたいで、すごく気を使っていて、もうジムにも行けないです」。
おばあさん「昨晩一晩中痛くて眠れなかった、もう生きていけないと思った」。
若者は1回で治り、おばあさんは2回で片頭痛が治った
若い男性には、左側の行間・太衝・陽輔の3つのツボに鍼。
おばあさんには中脘・関元・足三里・百会・涌泉のツボに鍼をしました。

おばあさんは2回鍼をして痛みがなくなりました。
おばあさん「もう少し固めるためにあと1回やろうか?」
私「もう鍼はしなくていいですよ。体力がなさすぎて、歩くのもふらふらしてる。無理しないでください」
同じ右片頭痛なのに、ツボと本数が全然違う理由

おばあさん「痛くても大丈夫よ。でもちょっと聞きたいんだけど、昨日来たあの若い男の子の頭痛はなんで3本しか刺さなかったの? 私にはこんなにたくさん刺したのに?」
私が冗談で言いました。
「まず宣言しておきますけど、私たち二人は何の恨みもないですよ。これは全部治療のために必要なこと。若い男の子は体が強くて脈も力強いです。病は経絡にある、経絡を疏通してちょっと瀉せばいい。だから3本だけ。おばあさんは体が弱くて、脈が細くてほとんど触れないです。病は臓腑にある、補瀉両方必要。だからツボの数も違うんですよ。」
おばあさん「説明を聞いてもよくわからない(笑)、ただ聞いてみただけ。とにかく痛みがなくなればそれでいいのよ。」
【ここまでのまとめ】
・若い男性=実証 → 経絡の疏通だけでOK
・高齢女性=虚証 → 補瀉両方が必要
・同じ右片頭痛でも、体質でツボも本数も変わる
ここから「中医学の本質」に話がつながります。
李哲の解説:同じ片頭痛でも治療が変わる“中医学の本質”
同じ右片頭痛でも、体質・脈・気血の状態が違えば治療はまったく変わる。
これこそ中医学が“症状ではなく人を診る医学”と言われる理由です。
西洋医学は同じ症状、病気に対して同じ薬ですね。ところで、中医学は違います。特に漢方薬は同病異治、異病同治の理論があり、患者さん一人一人に対して処方が明確に変わります。以下はその代表的な症例。
🔗同病異治:同じライム病でも漢方薬治療が違うのは訳がある
🔗異病同治:B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎を同じ柴胡桂枝乾姜湯で治す中医学
本症例は同病異治の代表。
病状は同じだけど、患者さんの体質・脈によって最適なツボを選んでいるのです。もちろん、同じツボでも効果は出るけど、根本的な解決にはならない。表側の辛い症状が治りますが、弱まった内臓は治せないです。
ここが中医学の人道的な医術、西洋医学と全く違う分水嶺だともいえます。結局、中医学は『症状』ではなく『人』を診る医学なのです。
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張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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