B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎を同じ柴胡桂枝乾姜湯で治す中医学の「異病同治」

この記事は約4分で読めます。

こんにちは、李哲です。
中国・郝万山先生*1の講義中の物語を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、郝万山经方36首故事1 – 好大夫在线

B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎。全然違う病名なのに、なぜ同じ漢方薬で治しているのか?翻訳文を見れば分かると思います。


私の先生は生前の時、半日で60~70人の患者さんを診察してました。

どうやって70人も診れるのか?
先生は経験が豊富なので、あまり病名と弁証もしないで症状を見るだけでした。これは経験があるからできるもの。私が覚えているのは、先生の隣には3人の弟子がいて、先生が指示した処方を書いてました。

一人の患者さんが来て言うのは、「先生、私はB型肝炎です」

先生「喉は渇きますか?」
患者さん「渇きます

先生「大便はどうですか?」
患者さん「よく下痢します。食べ物が合わないとすぐ下痢になります」

先生「肝臓のあたりは痛いですか?」
患者さん「たまに痛くなります

先生はすぐ指示しました。

柴胡桂枝乾姜湯さいこけいしかんきょうとう

見てください。
この対話は1分も要らないでしょう?
だから半日で70人も診察できるのです。

李哲の説明:
喉が渇くのは様々な病気で見かける症状です。
トータルケアの中医学が、どのように解決するのか、以下の記事が一つの参考になるので、どうぞご覧ください。

喉が痛い・乾く、お腹が空くと動悸がして冷や汗をかく、毎日だるい、心臓のドキドキを治した漢方薬症例

二人目の患者さんが先生に言いました。
「先生、私は20年前から慢性結腸炎です」

ベロを見せてもらったら、とても乾いている。

先生「喉・口は乾きますか?」
患者さん「渇きます」

先生「よく下痢しますか?」
患者さん「します、します」

脈診したら、沈弦。

先生「気分が晴れないですか?」
患者さん「そうです。よく暗くなります」

これで肝気鬱結であることが分かりますね。

OK!柴胡桂枝乾姜湯さいこけいしかんきょうとう

李哲の説明:
つらい症状で苦しむ患者さんは、気分が晴れない方が多いです。特に癌患者は病院の診断の脅かしで更にうつ病になりやすい。
中医学の癌治療はどうなのか?ニハイシャ先生1の以下の症例を見れば一目瞭然です。

脳腫瘍の強烈な頭痛、嘔吐、便秘が治り、食欲が戻ってきて気持ちまで晴れたおばあちゃん

3人目の患者さんが隣ですぐ言いました。
「先生、私は糖尿病です」

先生「喉は渇きますか?」
患者さん「渇きます

先生「便通はどうですか?」
患者さん「ちょっとでも冷たいものを食べると下痢します

これは脾臓の陽気が足りない証拠。

先生「気分はどうですか?」
患者さん「楽しくないです。糖尿病は死ぬまで薬を飲まないといけないと言われたので、楽しくなるわけがないですよ!

OK!柴胡桂枝乾姜湯さいこけいしかんきょうとう

李哲の説明:
糖尿病は死ぬまで薬を飲まないといけないと言うのは、西洋医学は糖尿病を治せないからです。もっと簡単にいうと、なぜ糖尿病になるかも分からないから。中医学では糖尿病をどう解釈するのか、以下の鄭智城先生2の記事が参考になると思います。

糖尿病:西洋医学は完全に分かってない

なぜ同じ処方箋を使うのかと?
3つの主な症状が全部揃っているからです。

  • 口・喉が渇く
  • 下痢
  • 肝気鬱結(うつ病)

先生はこのように症状だけ見るときもあるし、病気の原因を探って処方する時もあります。治療効果が良くて、診察のスピードがめちゃくちゃ早い。

李哲の説明:
病院に行くと待ち時間3時間、診察3分だけど、中医学の診察とは比べ物になりません。中医学は診断が早いだけではなくて、いつ治るのかも分かります。なぜなら、病気の原因を知って、治療過程がどうなるか最初から知っているからです。以下、ニハイシャ先生の症例が代表的なので、ぜひご覧ください。

舌がんの原因は心臓が弱すぎ。腫瘍が黄色いのは、「三焦」の属性が黄色だからです。舌がんが治る時期は「立夏」

(おわり)

*1:郝万山先生(1944年11月出生)。名門の北京中医薬大学を卒業。現在は北京中医薬大学教授。博士課程を指導する先生。

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

  2. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

コメント

  1. li-hari より:

    id:ichisin
    亀仙人 さん
    ブコメありがとうございます。

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