こんにちは、李哲です。
中国・郝万山先生*1の講義中の物語を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、郝万山经方36首故事1 – 好大夫在线
B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎。全然違う病名なのに、なぜ同じ漢方薬で治しているのか?翻訳文を見れば分かると思います。
私の先生は生前の時、半日で60~70人の患者さんを診察してました。
どうやって70人も診れるのか?
先生は経験が豊富なので、あまり病名と弁証もしないで症状を見るだけでした。これは経験があるからできるもの。私が覚えているのは、先生の隣には3人の弟子がいて、先生が指示した処方を書いてました。
一人の患者さんが来て言うのは、「先生、私はB型肝炎です」
先生「喉は渇きますか?」
患者さん「渇きます」
先生「大便はどうですか?」
患者さん「よく下痢します。食べ物が合わないとすぐ下痢になります」
先生「肝臓のあたりは痛いですか?」
患者さん「たまに痛くなります」
先生はすぐ指示しました。
- 口は渇く。
- 下痢。
これは脾臓の陽気が足りない証拠。それ以外に肝臓と胆嚢に湿熱があるのを把握し、OK!すぐ柴胡桂枝乾姜湯が出ました。
見てください。
この対話は1分も要らないでしょう?
だから半日で70人も診察できるのです。
二人目の患者さんが先生に言いました。
「先生、私は20年前から慢性結腸炎です」
ベロを見せてもらったら、とても乾いている。
先生「喉・口は乾きますか?」
患者さん「渇きます」
先生「よく下痢しますか?」
患者さん「します、します」
脈診したら、沈弦。
先生「気分が晴れないですか?」
患者さん「そうです。よく暗くなります」
これで肝気鬱結であることが分かりますね。
OK!柴胡桂枝乾姜湯
3人目の患者さんが隣ですぐ言いました。
「先生、私は糖尿病です」
先生「喉は渇きますか?」
患者さん「渇きます」
先生「便通はどうですか?」
患者さん「ちょっとでも冷たいものを食べると下痢します」
これは脾臓の陽気が足りない証拠。
先生「気分はどうですか?」
患者さん「楽しくないです。糖尿病は死ぬまで薬を飲まないといけないと言われたので、楽しくなるわけがないですよ!」
OK!柴胡桂枝乾姜湯
なぜ同じ処方箋を使うのかと?
3つの主な症状が全部揃っているからです。
- 口・喉が渇く
- 下痢
- 肝気鬱結(うつ病)
先生はこのように症状だけ見るときもあるし、病気の原因を探って処方する時もあります。治療効果が良くて、診察のスピードがめちゃくちゃ早い。
(おわり)
*1:郝万山先生(1944年11月出生)。名門の北京中医薬大学を卒業。現在は北京中医薬大学教授。博士課程を指導する先生。
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
コメント
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亀仙人 さん
ブコメありがとうございます。