
はじめに:漢方薬で糖尿病と咳を根本改善
こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学博士で中医師の李宗恩先生1が発表した漢方治療の成功例(血糖超過300 – 當張仲景遇上史丹佛, 2014年2月5日)を翻訳・解説します。
血糖値300を超える重度の2型糖尿病患者が、漢方薬と鍼灸で血糖値を110~130まで下げ、5~6年続いた乾いた咳も解消。インスリンや血糖降下薬に頼らず、根本治療を目指す方法を紹介します。
患者の状態:血糖値300超と慢性の乾いた咳
患者プロフィール
- 40代中国人女性
- 診断:2型糖尿病
- 初診日:2014年1月2日
主な症状
- 血糖値300超:重度の2型糖尿病。
- 乾いた咳:5~6年続き、寒い日や湿気の多い日に悪化。
- 爪の脆弱性:爪が割れやすい。
- 白髪増加:2~3年前から顕著(中医学では腎虚のサイン)。
- 倦怠感:3ヶ月前から強まる。
- 過去の習慣:夜食を頻繁に食べる。
中医学解説
白髪や倦怠感は「腎虚証」を示唆。詳細はこちらの症例をご覧ください:
白髪が黒髪に戻った!鍼治療で腎虚改善
中医学の診断:詳細な問診と処方
問診内容
- 寒熱:手足は温かく、寒さは感じない。
- 汗:昼間に多汗、夜間の寝汗なし。
- 睡眠:夜11~12時就寝、3~4時に尿意で覚醒。朝5時に目覚めることもあり、時に抑うつ感。
- 食欲:正常だが辛いものは苦手。朝の口の苦味が特徴。
- 便通:1日1回、正常。
- 尿:4~5時間ごとに排尿。
- 口渇:正常。
- 生理:周期21~35日で不規則。生理時に足や関節の痛み。
中医学解説
朝の口の苦味は中医学で特定の臓腑の不調を示します。詳細はこちら:
朝の口の苦味の原因と鍼1回で改善した例
脈診・舌診・眼診
- 脈:細小で深く、触れにくい。
- 舌:白い舌苔、乾燥、舌自体が大きく腫れている。
- 眼:肝臓の反射区が大きく、腎臓の反射区は反応弱。
処方箋
- 漢方薬の処方:生半夏、生姜、厚朴、茯苓、蘇葉、麻黄、杏仁、炙甘草、柴胡、玉金、黄芩、酸棗仁、川芎、知母、白朮
- 鍼灸ツボ:大衝、公孫、内関、太淵
治療経過1:5日で血糖値150~170、咳が消失
日付:2014年1月7日
患者報告
- 血糖値:150~170まで低下。
- 咳:ほぼ消失(ただし喉の詰まり感が残る)。
- その他:頭がぼんやりする感覚。
診察
- 脈:尺脈が触れにくく、細小でやや無力。
- 舌:白い舌苔、厚めで舌は依然として腫大。
処方
- 漢方薬の処方:前回と同じ。
- 鍼灸ツボ:三陰交、地機、陰陵泉、太白。
関連症例
コロナによる咳を鍼で改善
治療経過2:2週間で血糖値130~150、喉の痰感が軽減
日付:2014年1月17日
患者報告
- 血糖値:130~150に低下。
- 喉:咳は治ったが、痰が絡む感覚が残る。
- 副作用:漢方薬で軽いめまいを感じ、自己判断で服用量を半分に減らすと消失。
関連症例:痰が絡む症状が1回で治った鍼治療例
診察
- 脈:細小で沈む。
- 舌:白い舌苔、厚めで腫大。
処方
- 漢方薬の処方:前回と同じ。
- 鍼灸ツボ:列缺、照海、豊隆、太白。
中医学解説
列缺・照海は喉の不調に効果的な「八会穴」。詳細はこちら:
治療経過3:1ヶ月で血糖値110~130、薬なしで安定
日付:2014年2月3日
患者報告
- 血糖値:血糖降下薬を1週間中止したが、110~130で安定。
- 喉:漢方服用時は痰感なし、中止すると再発。
- 食欲:漢方非服用時に過剰な食欲が出現。
中医学解説
過剰な食欲は「胃火盛」が原因。解決策はこちら:
診察
- 脈:右脈が左より大きく、全体的に弱い。
- 舌:白い厚い舌苔、舌は腫大。
処方
- 漢方薬:前回と同じ。
- 鍼灸ツボ:前回と同じ。
まとめ:漢方と鍼灸で糖尿病を根本から改善
この症例では、血糖値300超の2型糖尿病患者が、漢方薬と鍼灸治療により1ヶ月で110~130まで安定。慢性の乾いた咳もほぼ解消し、血糖降下薬なしで健康状態を維持できました。
中医学の強みは、症状の根本原因(腎虚、胃火盛など)を特定し、個別対応すること。インスリンや薬に頼らず、自然治癒力を引き出す漢方・鍼灸をぜひ検討してください。
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
↩︎
コメント