脳腫瘍で右目を失い、危篤の頭痛と1週間の便秘に苦しむ90歳のおばあちゃん。
西洋医学では「脳を開けて検査」と言われた彼女が、中医学の治療で頭痛・嘔吐・便秘が改善し、食欲と気力まで戻っていく──。
その劇的な変化の裏にあったのは、大承気湯を使うべき“正しいタイミング”でした。
※中医学の第一人者、アメリカの著名な中医学先生、倪海厦(ニハイシャ)先生1の治療例、腦瘤案例を翻訳しました。
脳腫瘍で右目失明と危篤の頭痛──90歳女性の初診時の状態
90歳のおばあちゃん。ベトナム系華僑。今日再診察に来ました。5日前の初診時、右の脳腫瘍が右目を圧迫して右目は失明し、強烈な頭痛もあります。

初診時、おばあちゃんの脈診では一息8以上、すでに危篤状態の脈、便は1周間も出てない。体型は小柄で痩せ型。車椅子で娘さんが同伴で来ました。
娘さんの話によると、西洋医学の先生が言うのは「お母さんの脳を開けて、また右鼻から内視鏡を入れて検査したいです」
彼女は断固拒否しました。
生検して病状が変わりますか?
おばあちゃんは、もうかなりの歳です。
暴力的な検査方法には耐えられない。ひょっとしたら、検査するだけで死ぬかも知れません。
そして、家族の案内でこちらに来たのです。
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検査を終えて私は思いました。すべての症状を見ると、おばあちゃんに不利なものばかり。唯一に嬉しいのは、おばあちゃんの声がデカくて病状を陳述するとき、条理的に話してる。
これは歳をとって体は弱っているけど、「神」だけは残っているのを証明して、まだチャンスはあります。
大承気湯を選択した理由|危篤でも便秘を放置できない中医学の判断
1週間も出ない便秘は、大承気湯に間違いない。すぐ便を出さないと、おばあちゃんはきっとお腹が腫れて食べられなくて死ぬでしょう。
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しかし、こんな強烈な下剤で患者さんの体力がなくなったら、死ぬ可能性もある。だから、大便も出せて体力も保つ、複合型の生薬を組み合わせないといけない。この一撃がもし間違っていたら、再び治すチャンスがありません。
よく考えてから、私は大承気湯を主力にした処方箋を出しました。5日分。飲んでからまた様子を見るつもりです。
大承気湯は脳性麻痺の子供を治したときにも使っていました。以下の記事、どうぞご参考に。
→脳性麻痺の子供、大承気湯で便がたくさん出て、けいれんが軽減した症例
頭痛・嘔吐・便秘が改善し、食欲と気力が戻るまでの経過
08/13/2008。
おばあちゃんは漢方薬を飲んでから、毎日1回は便通があるようになりました。3日目までは頭痛があったけど、4日目からは便が出たあと、明らかに頭痛が減るのが分かる。7約時間後に頭痛がまた戻る感じ。
頭痛が消えている間に、患者さんは寝られるようになりました。そして、食べられるようになり、嘔吐も治りました。
5日目はもっと良くなり、頭痛が消えている時間が長くなり、体力が戻ってきている。おばあちゃんが言うのは、「漢方薬を飲んでから気持ちまで落ち着く」と喜んでました。
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私が検査したのは、脈診はまだ一息8回。まだ危険から逃れてないです。大便の後に頭痛が消えるので、よく考えて大黄の量を多めにしました。ほかは変更無し。1週間分をあげて、来週来た時、また考えようと思います。
大承気湯は“硬い便”に唯一効く処方|傷寒論に基づく治療の重要性
この治療例で検討したいのは、危篤状態で大承気湯の症状が出た時、『傷寒雑病論』に書いたのと全く同じ。
硬すぎて出ない大便を出せるのは、大承気湯1択のみです。先生がもし大承気湯が使えなかったら、患者さんはきっと治すタイミングを失います。
🔎合わせて読みたい:病気治療で大事なのは正しい医療と、治療のタイミングを逃さないこと
大承気湯を出しても、下痢で体力を失わないように、補う面も考えないといけない。でも、補うのが多いと便が出なくなる。これが難しい所なのです。
もし温病派の治療だったら?──経方が命を救う理由
一つ確信できるのは、この患者さんもし温病派の先生たちに会ったら、死ぬ道しかない。何故かと言うと、温病派の先生は大黄、芒硝など見ただけでビビるから。
経方の運用技は、この治療例から分かりますがとても大事です。
1回しか処方できない時、温病派の処方箋は無効です。『傷寒雑病論』の処方箋こそ、一発逆転で患者さんを救える。
🔎合わせて読みたい:漢方が効かない理由は「温病派」?経方派との違いを解説
まとめ|危篤でも治療のタイミングを逃さなければ回復できる
この治療例の処方箋はすでに研修医たちがメモして、研修に来れなかった人紀クラス生徒さんも、ダウンロードできるようになります。
皆さん経方をよく使って、たくさんの患者さんを救って下さい。これが功徳無量です。
医師は実力で病気を治すべき。こうすると自然に患者さんも増えます。風水で患者さんを増やすなんて夢話。医師の良し悪しは患者が決めることで、自分が言うものじゃない。
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倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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