1回目の鍼で冷え症、肩こり、むくみは楽になった :膝痛、30年以上の花粉症(1/6)

「生理が1年以上来ない」「左膝が痛くて凹んだ肉が戻らない」「30年以上続く花粉症と足の冷え」――40代女性が抱えていた複数のつらい症状が、鍼灸治療でどのように変化したか。

中医学では、これらの症状は「冷え」「瘀血(血の滞り)」「脾臓・心臓の弱り」が深く関係しています。1回目の治療後から肩こりが楽になり、むくみが取れ、体がポカポカと温かくなるなど、嬉しい変化が次々と。冷え症や婦人科系の不調でお悩みの方に、ぜひ読んでほしい実例です。

目次

膝痛・足冷え・30年花粉症の40代女性|鍼灸治療開始前の症状

こんにちは、李哲です。
今日は私の鍼灸治療例。

2016年9月。
患者は40代の女性。 彼女がカルテに書いた自覚症状は、以下の通り。(症状がたくさんあります)

  • 肩こり
  • 股関節痛い
  • やる気がでない

  • 腹部の冷えとコリ
  • 右の足の開きが悪い
  • 歯ぎしりを長年している

  • 右の足が昔から曲がらない
  • 両ひざの周りに血管が見える
  • 耳鳴りとめまいがすることがある

  • 打撲痕に毛細血管が浮き出ている
  • 能率がわるくなり、記憶力が低下している
  • 20代で腎盂腎炎、痔の手術

  • 40代で急性腹膜炎の手術
    (急性もう腸炎がひどくなって、腹膜炎になった)
  • 転倒と転落事故の怪我で、両足とも少し後遺症がある

足つぼ整体は由香先生の施術で、便通.肩こり.鼻通りなど改善しました。尿の量が増えて、体重も下り。腕全体の湿疹も良くなったけど、再発する時がある。

関連記事:貨幣状湿疹が鍼治療で浸出液激減・唇の腫れ引いた症例(上)

鍼治療する前の主訴:月経困難症、膝痛、花粉症

鍼治療になってから、またいろいろ話を聞きました。

一番大きな問題は月経困難症、生理が来てないのです。去年の5月に1回来て、その後は来てない。去年の5月の前は、半年に1回来たり来なかったり不規則。この症状はすでに5年くらい続いている。

2番目は、事故後の後遺症で、左の膝が痛い。

右のすねの内側が、ボコっと盛り上がっている。左の大腿部、事故で一部分の肉がなくなり凹んでいる。(以下の右足図で、だいたいの場所を○で囲んでいます)

車事故後の左大腿部。肉が一部なくなって凹んでいる部分を赤丸で示したツボ人形の模型。
車事故で左大腿部の一部肉が失われ、凹んでいる場所(赤丸)。脾経・胃経の治療で少し盛り上がってきた。

ほかにある症状は、

  • 下半身のむくみ
  • 両ひざ下が冷える
    特に左の足がすごく冷えて痛い
  • 30年以上の花粉症、鼻炎。特に右の鼻が詰まりやすい
  • 鼻がつまったせいなのか、他の人よりにおいが良く分からない

関連記事:鍼を刺した瞬間、鼻がスーッと通る!花粉症が数回でほぼ完治した43歳男性の実例

1回目の鍼で冷え症、肩こり、むくみは楽になった 

最初の針を受けた時、彼女が話したのはお腹がすごい冷えます。」

私が腹診してみたら、へその周りには円盤形の硬いしこりがありました。

腰と膝には古い傷があって、右膝は曲がらないから正座ができない。そして、左膝の周辺にボコっと出ている、毛細血管網(青い紫色)が見えました。

これは次回、なぜできたかを説明します。

当時の刺したツボは、陰谷、委中(補法)、腎兪、志室、脾兪、心兪、大杼穴(たいじょけつ)、風池。

仰向け時、刺したツボは陰陵泉穴から陽陵泉穴をつなぐ。絶骨(懸鐘)と三陰交をつなぐ、地機、関元、中脘、天枢、巨闕、後谿、申脈、火主穴、霊骨穴(最後の2つは董氏奇穴)。

左足の甲に示した火硬穴と火主穴の位置。赤丸で印をつけ、両穴の間隔が1寸であることを表記したイラスト。
左足の甲に施術した董氏奇穴「火硬穴」と「火主穴」。
赤丸で位置を示し、両穴の間が1寸(約3.3cm)であることを表しています。
冷えや膝痛、生理不順の治療でよく用いる重要なツボです。

2回目に来た時の報告。

更年期のホットフラッシュなのか、鍼の効果なのか分からないけど、前より熱い熱い!歩くと汗をかくようになった。以前は、歩いても汗をかかなったそうです。

体感温度が前より熱い!
歩いて汗をかくのは、心臓が良くなっていることを示します。これは良い変化。

以下の症例で書いた患者さんは、もっと面白かったです。その場で、めちゃくちゃ熱くなったのです。ここで分かりますが、鍼は本当に即効性があります。

ほかにある変化は、 

肩はだいぶ楽になった。
左腰に何かあったコリが消えた。
大腿部の筋肉がなくなって凹んだところが、少し盛り上がってきた。
両足はまだ冷える。でも、昔みたいに冷えて痛くて、強く揉みたい程度まではいかない。

お腹のしこりを触ってみたら、まだまだ硬い。この日のツボは、少しだけ調整しました。

2回目の鍼で、体の大量の水分が抜けた

3回目に来た時の報告。

前回の施術で、「体の水分が抜けた感じで、しわしわになったよ!」と、彼女は笑ってました。

針をしたあと、いつも足つぼ整体した3日後に出た湿疹が、1日で出てきた。そして、2日後には消えた。へそ周りの硬いしこりは、まだある。右足の三陰交から下が冷えて、なんかつまっている感じがするそうです。

むくみがすぐ取れるのは、臨床でもよく聞く話。以下の一つの鍼治療例、参考になると幸いです。

へそ周りのしこりは小さくなった 

4回目に来た時の報告。

へそ周りの硬いしこりは、だいぶ柔なくなり、小さくなった感じがする。
梅雨期に入ってから、顔と腕などが痒くなってきた。

針をしたあと、体が熱くて汗をかくそうです。

いろんな自覚症状を分析

以下では、なぜこんな症状があるのか?どんな内臓と関係があるのか?を説明をしたいと思います。

なぜ鍼後に体が熱くなる?ホットフラッシュとの違い

鍼をした後に、体がホットフラッシュみたいに熱くなるのは、更年期障害ではありません。

体内の気が回っているので、暖かくなる。西洋医学の言葉でいうと、血の巡りが早くなるから体全体が熱くなる。

ホットフラッシュは、体全体が熱くなるのではなく、上半身だけ熱くなります。嫌な熱気が首から頭に衝突する感じ。鍼したあとの暖かさと違います。

常識的ですが、運動したり早足で歩いたりした時は汗をかく。真夏でも汗をかかないのは異常。主に心臓が弱いので、汗をかかないのです。

更年期障害には、顔だけ汗をかく症状以外に、背中がほてる患者さんもいます。現れる症状は様々でも、原因は一つだけ。

ちなみに、背中がほてる患者さんは、鍼治療ではなくて足つぼ整体だけで治しました。

体に湿気が多いと、梅雨に皮膚がかゆくなる

梅雨期に入ってから体が痒くなるのは、体内の湿気が多いからです。湿気が多い時の典型的な自覚症状は、体が重い。

解決するためには、脾臓を強化。
中医学の理論では、湿気を管理してるのが脾臓だから。(中医学でいう脾臓は、西洋医学でいう脾臓とすい臓、両方入っています)

漢方薬には

など、たくさんの脾臓を強化する処方があります。

鍼灸では、三陰交、地機、陰陵泉穴は脾臓を強化するツボ。背中の脾兪も良いです。

筋萎縮性の病気、肉の陥没は脾経・胃経の強化で治す

彼女の左大腿部の肉がなくなって陥没したところ。

ここは胃経と脾経、2つが重なっている。
治療は脾経と胃経の2つ、両方やったほうがいいけど、とりあえず脾経だけでも効果が見えるようになりました。

脾臓は湿気のコントロール以外に、全身の筋肉もコントロールしている。脾臓が強ければ、筋肉も多くなり筋肉が強くなります。逆に言えば、運動.筋トレなどは脾臓の強化ができます。

筋肉は脾臓と胃と関係が大きいので、筋萎縮性の病気、小児麻痺などは全部同じ脾経と胃経のツボで治します。

小児マヒに関しては、ニハイシャ先生1の治療記事があるので、どうぞご覧ください。

🔗ワクチンの副作用で小児麻痺になった子供、足が動けるようになり顔色もよくなった例。

生理が来ない・生理不順は、心臓が弱っているから

生理が来ない。
これは体内の冷え、つまり『君主』の心臓が弱っているのが一番の原因です。

ヒザ下が全部冷えて痛い感じ。
これは相当の冷えです。

心臓が弱っている以外に、事故で腰と骨盤、下半身にも打撲しているので、詰まっている(いわゆる瘀血)のも多い。

彼女は相当の冷えと瘀血、両方重なっているので、治療にも時間がかかるでしょう。

関連記事:鍼で腰が燃えるように熱くなった!鍼した日は良く眠れて腰痛も緩和。

瘀血(おけつ)は目に見えるもの

瘀血があるかないかは、中医学は表の現象で判断します。(愚かな医学は、お腹を開けて中を確かめる)

彼女のは明らかに表に出ています。

以下は膝裏の写真。治療したあとなので、最初よりだいぶ色が薄くなっていますが。

蜘蛛の巣みたいに、細い青紫色の血管がある。
これが瘀血の集中しているところ。

左太もも裏と横の瘀血。膝裏周辺の冷えが強い部分に青紫色の血管が浮き出ている(刺絡療法後)。
冷えが最もひどい左足の太もも裏と横に現れた瘀血。黒い丸(または赤丸)で異常な血管を囲んでいる。


↑冷えが最もひどい左足の膝裏の画像。

右太もも側面の瘀血。刺絡療法後に青紫色の異常血管を赤丸で囲んだ画像。
患者さんの右太もも側面に現れた瘀血(青紫色の血管)。刺絡療法後の様子を赤丸で強調。


↑左足よりは冷えないけど、瘀血の範囲が広い右足の膝裏の上外側。

瘀血(おけつ)は、漢方医・鍼灸医に治してもらうべき

長年の病を抱えた方は、このような瘀血が多いです。特に腰痛持ちの方。瘀血(おけつ)がある方は、近くの鍼灸師に診てもらえば良くなります。

瘀血を溶かして外に出すのは、有名なのは「下瘀血湯」

「下瘀血湯」は様々な病気を治すだけではなくて、狂犬病が発作して危険な状態でも治せる漢方薬です。詳しいのは以下の記事をご覧ください。

彼女のおへそ周りの円盤形のしこりは、冷え+手術後の傷口(結合組織の塊)+瘀血+便秘から来る毒素の集まり。4つも重なっているので、回復に時間がかかります。

便秘.冷え.瘀血はまだ良いけど、手術後の傷口(癒着)は本当に厄介なもの。

自然に存在しない人為的な損傷なので、時間がかかるのです。でも、何回か鍼をしてから、しこりが減っている感じなので、続けてやればいいでしょう。

彼女のような事故で体を痛め、後になって様々な症状が現れる方をたくさん見てきました。事故に遭ったあと、すぐ鍼灸師若しくは整体師などに診てもらえば、瘀血が貯まることもなく後々になって大変なことにならないと思います。

麻痺感.痛い.重い.しびれるなどの自覚症状がある場合、それを解決してくれる所を探して下さい。

持病治療のついでに、シミも消えた 

彼女の感想文には、頬骨あたりの薄いシミが消えたと書いてました。

全体的に瘀血を取って、血の巡りを良くしただけなのに、こんな『副効能』が出て良かったです。

内臓が元気になれば、自然に顔の艶ができたり、シワが減ったり、たるみが消えます。あと、黒髪にもなれる。

鍼の一つ良いところは、体調不良を治す以外に、美容という「副効能」がある事です

なぜ鍼は美容・美肌効果があるのか?
以下の記事でも討論しました。

鍼治療の方向は、脾臓・心臓・胃腸の強化

彼女の治療としては、

①脾臓を強化して水の代謝をよくさせて、むくみを取る。水の代謝が良くなれば、湿疹も出なくなります。

②心臓を強化して、体全体を温めて生理を来させる。
体が暖ければ、瘀血も自然に溶けて減ります。

③胃腸の調子を整えて、毎日便通があるようにする。
おへその周りのシコリを消すためにも、体内の毒素を減らすためにも、毎日便通が必要です。

手術の傷口で硬くなった結合組織が、鍼灸治療の邪魔になっていますが、コツコツと治療効果を高めたいと思います。

↓次回へ続く↓

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

    ↩︎
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