腰痛、坐骨が痛い、咳と血痰が出るのが鍼と漢方薬で治った例

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こんにちは、李哲です。
印象深い症例があったので公表します。

主に腰痛、坐骨(お尻)が痛い、長年続く血痰・咳が止まらないのを治した例です。各症状と刺したツボを詳しく説明しているので長文になりますが、参考になると幸いです。

腰痛、お尻が痛い、血痰と咳がたくさん出るおじいちゃん

2022ー4ー31

患者さんは73歳の男性。
常連の息子が連れて来ました。

主訴は以下の通りです。

  • 腰痛、お尻の痛み
  • 胸周りの不具合(咳と痰がたくさん出る)
  • 足回りの不具合

咳と痰に関して話を聞きました。
おじいちゃんは昔、ヘビースモーカーで今は1日3本吸っている。咳と痰が出るようになったのは、ある日おむすびを食べながら車運転しているとき、目の前に急に子供が現れビックリして急ブレーキをかけ、おむすびをそのまま飲み込んでしまった。その後から咳が増えて、血痰が出るようになった。ちなみに、急ブレーキかけたのは2回もあったそうです。

腰痛は昔からあったけど、2年前コロナで仕事が激減したときから腰痛がひどくなった。お酒は毎日飲んでいるけど、大量ではないそうです。

最初の鍼でお尻の痛みは変化なし

私はおじいちゃんに話しました。
「腰が痛いところを指で指して下さい」

おじいちゃんが指したのは、左のお尻と腰の外側
これは坐骨神経痛だと思い、環跳穴を刺して補法を行いました。しかし、寝返りして仰向けになるとき、おじいちゃんはまだ「痛い痛い」と言ってました。

当時、私が思ったのは、「効果がないことは、坐骨神経痛ではない」
なぜなら、環跳穴は1回だけでも著しく改善できるはず。私の経験では、1回も外れたことがありません。だから、こう断言するのです。以下は一つの症例、参考になると幸いです。

ツボを変えたら、刺した瞬間から坐骨の痛みが激減

もう一度確認してみたら、なんと痛いのはお尻の外側ではなくて、坐骨のほうでした。ツボでいうと承扶穴あたり。以下の図面で赤い丸をした所です。

診た感じでは膀胱経の範囲なので、膀胱経のツボで足りると判断しました。ところで、仰向けになって鍼を刺してみたら全然はずれ!幸いにも正解を見つけたこと。詳細は以下の図をご覧ください。

右の金門、束骨、申脈


効果は微妙、痛みが減らない…
↓お尻の筋がつりそうに痛いと言うので、ツボを変更

両側の陽陵泉


痛みが減らない…
↓頭を抱えて悩んでいるとき、突然ひらめき

右の●●穴で瀉法

効果は絶大アップ
お尻の痛みは、秒速で大幅改善

なぜ、私が何度もツボを変えているのか?
鍼には即効性があるからです。
もし刺しても変化がない場合、ツボの選択が間違ったことを証明します。

以下は偏頭痛治療のとき、ツボを変えてから効果がアップした例。参考になると幸いです。

鍼を置いている30分の間、3回回しました。毎回、回すときおじいちゃんは悲鳴あげ。全身から冷や汗が吹き出ました。

鍼が終わったあと、おじいちゃんは笑いながら話してました。
「鍼がこんなに痛いの?!」

隣で待っていた息子さんも笑いながら話してました。
「俺はもっと叫んでいるよ!」

鍼の響きで叫ぶ人は大勢います

お尻(坐骨)が痛いのは治り、咳と痰は減りつつある

2022-4-2

おじいちゃんの報告:
左のお尻の後ろ(坐骨)が痛いのは治った。
咳と痰が出るのは減っているけど、まだある。

今日は仰向けになると腰と尾てい骨の所が痛い。痛い場所を指してもらったら大腸兪・上髎のあたり。

先にうつ伏せで大腸兪、上髎、京骨(瀉法)を刺しました。
仰向けで刺したのは天突、尺沢、魚際、足三里、内関、公孫。

お尻が痛いのは、坐骨神経痛でよく見かけます。鍼は坐骨神経痛に対して即効性に優れている。一つの症例があるので、参考になると幸いです。

咳と痰は半分以下になり、仰向けになったとき腰・尾てい骨が痛いのもだいぶマシ

2022-4-5

おじいちゃんの報告:
咳と痰が出るのは半分以下になった。以前は黒くて色がついた痰が出たけど、今は普通の痰が出るようになった。仰向けになると腰と尾てい骨が痛いのはだいぶマシ。

今日刺したのは前回とほぼ同じ。

腰、お尻、尾てい骨の痛みはほぼ治り、咳は鍼を刺した瞬間に止まった

2022-4-10

おじいちゃんの報告:
仰向けになったとき、腰と尾てい骨が痛いのはほぼ治った。左のお尻は、長い間歩くと辛くなるけど、普段は全然問題ない。

咳と痰が出るのはだいぶマシになったと言うけど、今日の置鍼中に咳が連発したので、尺沢を追加して回したら、咳がピタッと止まりました。

咳と似ているようなくしゃみですが、臨床で見ると正しいツボを刺した瞬間からピタッと止まっていました。ツボって本当にすごいと感銘しました。以下の記事、参考になると幸いです。

2022-4-15

おじいちゃんの報告:
腰、お尻(坐骨)、尾てい骨、大腿部の痛みはほぼ無い。今日来るとき、ガソリンスタンドに寄ったけど、往復で走れてすごい嬉しかった。以前は歩くのも大変だったから。

咳と痰が出るのは続けて改善しているところ。今日は鍼治療に来てから、咳したのは数回のみでした。

腰、お尻の痛みは治り、夜の咳と痰はほとんどなくなった

2022-4-19

おじいちゃんの報告:
重い荷物を運ぶ仕事をしたけど、腰と尾てい骨・お尻の痛みは出てない。以前は夜になると咳と痰が出るのが多かったけど、今はほとんどない。昼はいくらか咳が出る。

あと2回で回数券が終わるので、漢方薬を併用することをすすめました。今日刺したのはほとんど同じ。

夜の咳と痰は完全に治り、昼間の咳・痰もすごい減った

2022-4-22

おじいちゃんの報告:
漢方薬を飲み始めてから、夜になると咳と痰が出るのは完全に治った。昼間の咳と痰が出るのもすごい減った。前回の右束骨に鍼したのが今だにも痛くて、足に力が入らないそうです。

足に力が入らないと困るので、先に左足骨に刺して軽く瀉法を行いました。

おじいちゃんの悲鳴あげたとき、「右足を動かしてみて下さい」と話しました。おじいちゃんは回してから笑って話したのは、「もう大丈夫」。前回の鍼の響きが残ったのは、一瞬で治り。

鍼は即効性に優れているので、たくさんの辛い症状は一瞬で改善もしくは治ります。以下は一つの症例、参考になると幸いです。

今日刺したのは尺沢、列缺、内関、公孫、中脘、巨闕、関元、足三里、豊隆。関元を刺したのは頻尿気味があるからです。あと1回で鍼治療が終了だけど、少しでも腎臓・膀胱を強化するために刺しました。

帰りにおじいちゃんが笑いながら言ったのは、「よくこんな痛い鍼を頑張って通っていますね」

中国鍼が響くのは当たり前です。皆さんは良く痛いと表現していますが、実は響きと痛みは違います。また、響きがないと鍼の効果もうすい、もしくはありません。以前の記事で説明しているので、どうぞ参考にしてください。

昼間の咳と痰が出るのはなくなった

2022-4-26

おじいちゃんの報告:
昼間の咳と痰が出るのは、ナシに等しい。

今日来院してから帰るときまで1回軽い咳をしただけで、あとは咳が出ていません。

おじいちゃんの感想

施術後、漢方薬を飲みながらおじいちゃんは感慨深く話しました。

最初は鍼がこんなに効くとは思わなかった。しかし、数回の鍼でいろんな所が良くなってきた。すごい!仕事の仲間がいるけど、年中肩の痛みで2回も手術したのに、まだ痛いと言っている。見ているとかわいそうで仕方ないんだよ。ここの鍼も紹介したけど、本人が動かないとね…」

私「そうですね。本人が信じてくれないと。今の人たちは、病院の先生が言うことなら、何でも信じますけどね。少し前の江戸時代は、漢方薬・鍼灸が医療の半分を占めていたのに、今はほぼ西洋医学のみです」

おじいちゃん「自分は今まで病院の薬を飲んだことないし、病院も行かないから、周りの人たちがビックリしていたよ」

なるほど。
なぜおじいちゃんの回復スピードが早いのか、私は原因が分かりました。

化学薬品の汚染が無いからです。

もし、世の中の人たちが病院の薬を飲まなければ、みんなこのおじいちゃんみたいに、80歳になってもバリバリ働けます。どこか辛い自覚症状があったら数回で治り、また仕事に復帰できる。

おじいちゃんは帰りに話しました。
「もし、今度腰を痛めたらすぐ来ますね」

その後、たまに来るおじいちゃんの子供たちから話を聞きました。
おじいちゃんは元気に働いて飲みにも行っている。仕事と不摂生で多少の不調があって、子供たちは鍼治療を薦めているそうですが、「鍼は嫌だ!」と拒否(笑)

自力で改善できるなら何よりです。
どうしても治らなかったら、また鍼治療に来るでしょう。
でも、ずっと元気で鍼治療に来ないことを願います。

(おわり)


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