鮮血が出るのに痛くない血便、漢方薬で治った例(下)

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こんにちは。 李哲です。

アメリカの中医師、鄭智城先生1の治療例、两个月大便出血奇迹治好【续完】_郑智城(2012-6-14発表)を翻訳しました。前回の治療内容は、鮮血が出るのに痛くない血便、漢方薬で治った例(上)

試行錯誤の結果、不妊症・生理痛などを治す漢方薬で男性の血便が治ったのです。不思議に思われるかも知れませんが、漢方薬は男専用、女性専用なんかありません。詳細は以下をご覧ください。

「ただでは治らない」のは本当?

昨日、かなりの決め心で友人に烏梅丸うばいがんを処方して、十中八九は効果があると妄信したけど、やはりダメでした。

本当に恥ずかしくなりました。
その後、もう1日飲ませたけどダメだったのです!

友人も今回は落ち込みました。身体も弱くなっているような感じです。友人を見て、私も申し訳ない気持ちでいっぱい。すごく信頼してくれたのに。もしほかの自腹の患者さんだったら、てっきり他の漢方医にしたでしょう。

もしかして、「ただ治療は治らない」と言う俗語は正しいですかね?アッハッハ。

少し効果があったけど、房事(性行為)で水泡になり 

私は打つ手がなくて本当に困りました。頭を絞って考えても方法がないから、とりあえず五臓六腑を安定させてから見ることにしました。

がん治療にも例えますが、がん治療は特別な特効薬がありません。

中医学の治療では、気血を補給し免疫力を上げるくらいです。特に脾臓と腎臓を養う。がん細胞が免疫力の低下で強くならないように。とりあえず全体的に安定させて、あとで状況を見ながら反撃しても間に合います。

李哲の説明:
中医学が癌を治す機序は、ニハイシャ先生2が以下の症例で詳しく説明しました。長文ですが参考になると幸いです。

全身癌を7ヶ月で治した例で、中医学が癌を治せる理由を説明します。

今度、私は脾臓と腎臓を養う処方箋を出しました。黄耆、党参、白朮、甘草、淫羊霍、山萸肉、枸杞の実、莵絲子、補骨脂。しかも大量で、友人に毎日飲ませました。

この治療方針は効果が出ました。
友人が言うのは、「出血は少し良くなった。色は薄くなり、2割くらい良くなった感じ。」

でも、2日後友人は泣きそうな顔で私に言いました。
「昨日、奥さんと房事(性行為)したら、今朝の血便はまた増えたよ!」

あい!
房事(性行為)は、しばらくダメであることを言い忘れた!

止血剤の雲南白薬もダメ!

ある日、私は急にアイデアを思い出しました。

雲南白薬はどうだろう?そして、友人に雲南白薬のカプセルを送って、前回の処方と一緒に飲むことを勧め、その後は良いニュースが来るだけ待ってました。

結果はやっぱりダメ。ちっとも変わらないので、前回の煎じ薬を飲むしかなかったです。

お父さんの婦人科用の漢方薬で、アイデアを思い出した

私は昼も考えて、寝てる時も考え。

ある日、ウトウトしている時にアイデアが出ました。私のお父さんはいつも自分で丸薬を作って、不妊症の女性患者さんに飲ませています。効能は生理痛を治し、おりものを減らして、気血を補い食欲をよくするなど。

李哲の説明:
不妊症を治す漢方薬はいろいろあります。特に不妊症=この漢方薬というのはないので、間違わないでください。以下はもう一人の中医師の症例、参考になると幸いです。

長年の不妊症が治り、胎児発育不全・妊娠糖尿病なども漢方薬で治って、無事出産した女性

私は頭の中でその組み合わせを考え、「友人に使っても良いのでは?」と考え始めました。友人は女性ではないけど、世の中には女性専用という漢方薬がありません。治らないなら、何でも試すべき!

この考えはどんどん強くなり、その日には友人に飲ませる事を決めました。

アイデアの漢方薬で血便は完全に治った

翌日の朝、私は友人に1週間分の丸薬を渡して話しました。

私「この丸薬を試して、役に立つかもよ。」
友人「丸薬は煎じなくて良いね、良かった。」

1日経って、友人から急に電話が入りました。大声で言うのが、「おい!今度の丸薬は何物?すごいな~今朝の血便は明らかに減ったよ。3割くらいしか残ってない。

私はとてもビックリした反面、嬉しさもありました。
「本当に?良かった良かった!続けて飲んでみ。」

 もう1日経って、友人から電話が入りました。
「本当に良かったよ。血便は完全に治った。トイレットペーパーで拭くときに、少しだけ血が付いているのが見えるくらいだよ。」

やっと肩の重みがなくなりました。
本当に大変な治療でした。
私のこのメンツも、なんとか保ちましたね。 

李哲の感想:湿気を治すのがキーワード

病気治療中に性行為(房事)を減らす理由は、過去記事をご覧ください。

上記の翻訳文、鄭先生の処方の内容がないから、想像するしかないです。

不妊治療の丸薬を渡してパッチリだったのは、陰の生薬(血を補う生薬)が入っているのが分かります。そして、瘀血を溶かすのと、湿気を取るのが入っているでしょう。

「キーワードは湿気じゃない?」

前回の記事で、舌診の表現を見て私はそう思いました。主な根拠は舌診。鄭先生の処方箋には、湿気を取り除く生薬が入ってないのです。火竜点睛の生薬がないと、九仞の功を一簣に欠く。 

最後のお父さんを処方を真似したのをみると、「おりものを減らす」 内容がありました。おりものは中医学で湿気に属しています。お父さんの処方には湿気をとる生薬が入っているはず。

だから、今度は効いたでしょう。
漢方薬はこんな所が難しいですね…

鍼治療の場合は、比較的に分析が簡単なので、ここまでは間違ったりしないです。ただし、湿気をとるのには、どの内臓が湿気に関わるかを知らないといけません。

中医学の理論では、脾臓が湿気を司ると言います。

中医学の言葉でいうと、「脾主湿」。言い換えると、脾臓が弱くなると湿気がたまる。脾臓が強ければ湿気はたまりません。だから、湿気がたまってむくんだ場合、脾臓を強化すれば解決できる

鍼灸では脾臓の経絡のツボで解消します。以下は、その一つの鍼治療例。

あなたのむくみが足であろうとお腹であろうと、脾臓の経絡のツボはみんな解決できます。

(おわり)

  1. 鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。

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  2. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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