こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、著名な李宗恩中医師1の症例を翻訳しました。
(2022-8-2発表)
漢方はアジア人に有効なのは理解できるけど、欧米人にはどうなのか?また、欧米人は漢方に対してどんな態度なのか?漢方薬治療で難しいのは何なのか?様々な論点が書かれた症例です。参考になると幸いです。
長年胃の不調で気持ち悪い、胃酸が逆流する、活気がない患者
何人かオーストリア(Austria)の白人たちが診療所に来ました。代表者は60代の男性、ギャンブル場のボス。若い妻と2人の友人を連れて、ヨーロッパからカリフォルニアまで飛んできて、治療するついでにラスベガスのギャンブル場を考察しに来ました。
ヨーロッパは著名な歴史故地です。たくさんのヨーロッパ人は薬草に馴染んでいるというか、排他的ではありません。西洋薬を販売する薬局でも、薬草の商品を一緒に販売しています。
このボスは事業で大成功した印象ですが、長年胃の不調、気持ち悪い、胃酸が逆流する、活気がない症状で悩んでいました。オーストリアの西洋医学の先生たちは、何年も治療したけど治ってない。そして、ボスは地元の中医師に診てもらい、また中医師の推薦で「病人団」を連れて治療に来たのです。
このボスの健康問題は、特に複雑なものもないです。
典型的な肝胆が脾胃に影響したやつ。前の主治医は胃腸ばかり見て、肝胆を治してなかったから治ってない。
外国人の漢方薬治療で現れる2つの難点
実際に治療するとき、2つの難点がありました。
一つ目。
ボスは漢方薬の煎じ薬を飲んだことがない。しかも、肝胆の毒を出す煎じ薬は、とても苦くてまずいです。脅迫してボスに飲ませるかどうか、私も迷ってました。
2つ目。
人種が違うことで、漢方薬に対する反応が違います。アメリカ州のラテン系の人たちは1番反応が早い、シベリアから来るロシア人は反応が遅い。
ボスにはロシア人の血が流れているので、反応が遅い可能性が高い。もし、あまり軽い漢方薬を出すと、無効かも知れません。わざわざヨーロッパから飛行機で来たのに、もったいないのです。
私はボスに細かく説明しました。
意外とボスは非常に意志が強い方で、「ここまで来たんだから、どんなに不味い漢方薬でも、どんなに辛い治療でも受け入れます」と話しました。
漢方薬の処方箋内容
ボスはラスベガスに行ってからすぐオーストリアに戻るので、すぐは再診察ができない。だから、1ヶ月の漢方薬が欲しいそうです。「どんなにまずくても、どんなに強烈な好転反応が出ても、最後まで飲み切ります!」とボスは誓ってました。
OK!患者がこんなに誠意があるなら、私も迷わず処方箋を出しました。患者の口にあうか合わないか、考えてもいません。
柴胡、玉金、黄芩、竜胆草、炙べっ甲、茜草、五倍子、海金沙、鶏内金、金銭草、金鈴子、炙黄耆、白芍、厚朴、枳実などなど。
ボスが漢方薬を飲んだ後の反応をチェックしたいし、本当に約束事を守るかどうかもチェックしたかったです。

胃痛、気持ち悪い、胃酸逆流、静脈瘤などすべて治り、体力的・精神的にもパワーアップした
1ヶ月後、ボスはオンラインで再診察をしました。画面がついた瞬間、顔色がとてもいいのが見えました。ボスは漢方薬がまずいとか、一切文句がなくて直接言いました。「胃痛、気持ち悪い、胃酸が逆流する感じは全部治りました。体力的・精神的にもパワーアップして、静脈瘤まで治りました。自分は今とても調子が良いと思います」
ボスの話を聞いて私はビックリしました。オーストリアの白人が漢方薬へに対する反応が、こんなに順調だとは。
私はボスに話しました。
「すべての症状が治ったら、漢方薬を止めて良いです」
しかし、ボスは「もっと健康になって10歳以上若返りしたいので、後1ヶ月分の漢方薬をオーストリアに送って欲しいです」と言ってました。

治療で努力しないといけないのは患者本人
ボスはまた教えてくれました。「以前、毎日6~7杯のコーヒーを飲んだけど、前回診察のときに言われてから、オーストリアに帰った後は数日に1杯のコーヒーまで減らしています」
患者の意志と先生の指示を守るレベルは、たくさんの中国人患者が学ぶべきです。
お医者さんはスポーツ選手の監督、患者はスポーツ選手に似ています。お医者さんは患者にどうすれば健康になれるか、アドバイスができる。監督はどうすれば成績が上がるかの指導ができます。しかし、努力しないといけないのは患者本人。
もし患者が漢方薬がまずい、煎じるのが大変だとかでちゃんと飲まない、毎日スマホを何時間も遊び、夜ふかししてゴミ食品を食べまくる場合、監督の話を聞かない選手と同じです。試合に出て優勝すると思いますか?
医師の指示を聞かないで、数年後に緊急手術した金持ち患者
数年前、私はこんな金持ち患者を治療した事があります。毎日コーヒーを飲む、タバコは1~2箱、付き合いで夜中までお酒を飲む金持ち患者は私に言いました。「全部人生の楽しみなので手放せませんね。患者にどんな悪い生活習慣があっても、素晴らしい先生なら全部治せるはずでしょう?」
本当にそうですか?
2~3年前、金持ち患者から連絡が来ました。腹部大動脈瘤で命を落としそうになったそうです。当時患者は上海にいたので、当院までは来れず、そのまま手術を受けました。手術後、一気にやつれて10歳も老けました。主治医が患者に警告したのは、「今後はゴルフがダメ。タバコ・お酒などもダメ!そうじゃなかったら、今度は入院ではなくてお墓!」

当時、私は金持ち患者に言いたかったです。
「何年か前、すでに注意したでしょう?」
でも、私は口に出さないで、「幸運を祈る」としか言えなかったです。
金持ち患者はきっと変わらないでしょう。
体調が落ち着いたら、また以前の生活習慣に戻ります。
私が話してなんの効果があるでしょうか?
(おわり)
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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