アレルギー性紫斑病の漢方薬治療例:紫斑、腹痛、食欲不振、関節痛は3週間で治ったけど、疑い深くて漢方を止めたバカ親

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こんにちは、李哲です。

アメリカ漢方医、スタンフォード大学の李宗恩博士1の治療例、過敏性紫癜(Henoch-Schonlein Purpura, HSP) – 當張仲景遇上史丹佛(2015-1-30発表)を翻訳しました。

IgA血管炎とも言われるアレルギー性紫斑病。西洋医学ではステロイド剤をたくさん使うだけで、特に治療方法がありません。しかし、中医学はわずか2週間で紫斑をなくし、腹痛・食欲不振なども治せます。

残念ながら、患者さんは効果を認めず、すべての不調を漢方薬のせいにして、治療を止めたこと。愚か者だとしか言えません。どんな症例なのかは、以下をご覧ください。

西洋医学で良くならなくて、漢方薬治療に来たアレルギー性紫斑病患者


(画像は本人のではありません。ただし、とても似ているので掲載しました。)

患者さんは10歳未満の女の子。
手と足、体にはたくさんの赤紫色のあざ(紫斑)が出て、状況は酷かったです。西洋医学の診断では、アレルギー性紫斑(Henoch-Schonlein Purpura, HSP)。

赤紫色の斑点は血管の炎症.破裂.出血の現象で、西洋医学では良い治療法もありません。一般的に、大量のステロイド剤で症状を抑え込むだけです。

この患者さんは2年前に1回発作し、2~3週間後には自力で良くなり、1年前にまた発作ししたのは何週間経って良くなったそうです。

今度のは去年の8月に発作。
途中で良くなったり、ひどくなったりしました。

ほかにある症状は、

  • 腹痛
  • 食欲がない
  • 倦怠感
  • 関節痛
  • 手足のしびれ
  • 目が乾く…など

典型的な混合性紫斑です。
混ざっているのは、腹型紫斑(Henoch)、関節型紫斑(Schonlein)などの症状。

西洋医学の治療で良くならないので、こちらの診療所に来ました。

中医学の診断は「脾不統血」

去年の11月20日が初診でした。
患者さんの総合的な症状を見て、私の判断は「脾不統血」。(李哲説明:中医学の理論では、脾は血の流れをコントロールすると言います。つまり、脾が弱くなると、出血しやすい。)

眼診と脈診からだと、肝腎の機能が良くなくて、解毒作業ができなくて毒素が全身に広がっているのが分かります。

私は小建中湯を主力にして、五苓散には解毒の黄芩(オウゴン).黄連などを入れて、あとは肝臓の作業を助ける生薬と、血を補う生薬を入れました。

漢方薬3週間で関節痛と全身の紫斑が消えて、食欲不振が治った

12月2日。
再診察のとき、紫斑と関節痛は減って、腹痛は半分減り、食欲は良くなって、目が乾くのはまだありました。

前回の処方と同じにして、酸棗仁.枸杞.菊花を少し入れました。

12月9日、患者さんが再診察に来るはずなのに、12月28日にやっと来ました。体中の青あざ(紫斑)が全部消えて、関節痛もほぼなくなり、目が乾く・手足のしびれも少し残っているけど、前より良い。

目が乾く症状、西洋医学ではドライアイだと言いますが、鍼治療の場合はとても早く改善ができます。以下は一つの鍼治療例、参考になると幸いです。

尿潜血を漢方薬のせいにする無知なお母さん

私はもともと中医学の治療で、西洋医学でも治療できなかった病気を緩和して、患者さんのお母さんは喜ぶと思いました。しかし、お母さんが言うのは、西洋医学の顕微鏡検査で尿潜血がある。

患者さんのお母さんは、「尿潜血は漢方薬のせいだ」と言ってました。

私は話を聞いてとても不快でした。混合性紫斑は、もともと腎型紫斑を含んでいる可能性があって、腎炎みたいな現象があります。

以前使った大量のステロイド剤は、腎臓を傷つけるので、顕微鏡で尿潜血が見えるのは不思議ではない!

私は不快を抑えて、お母さんに説明しました。
「尿潜血は漢方薬の副作用ではないです。患者さんが混合性紫斑なので、もともとからあった症状です。中医学では尿潜血を治すのも簡単です。

私は臨床で、たくさんの西洋医学の治療で良くならない人を助けた事があります。あまり心配しないで、続けて漢方薬を飲んでみてください」

しかし、患者さんのお母さんは、「漢方薬で腎臓が傷つき、尿潜血が出たでしょう。そして、紫斑が良くなったのも漢方薬のおかげではなくて、たまたま良くなったかも知れない。1ヶ月発作しなければ漢方薬のおかげだと判断できるけど。」と主張しました。

このお母さんはいい人だと思います。
ただし、少し緊張しやすく、判断能力が優れてないだけ。

ニハイシャ先生みたいに患者さんを追い出したかったけど、私は優しい笑顔を作って患者さんのお母さんに説明しました。「そんなふうに考えても良いです。1ヶ月待ってみましょう」

全身の紫斑が治ったけど、漢方薬が怖くて治療を止めた

今年の1月28日、患者さんはまだ再診察に来てません。

診療所のスタッフが例の追跡調査をしたら、患者さんのお母さんが言うのは、前回の治療で紫斑が消えてから発作はしてない。ただし、西洋医学の検査では、まだ尿蛋白があって、腎機能が低下している。尿潜血の話はしてないそうです。

スタッフさんが私に教えてくれたのは、患者さんのお母さんは漢方薬で腎機能がダメになるのが怖いから、漢方薬を続くのを止めた

スタッフの話を聞いて、私は言葉を失いました。
もし患者さんが2ヶ月前に漢方薬治療をしないで、西洋医学の治療だけにした場合、紫斑はもっとひどくなったと思います。

西洋医学の理論だと、混合性紫斑の腎型紫斑は急性腎炎症候群の症状があり、部分的の症例は慢性的なものになり、腎不全とひどい腎臓病になる人もいます。

中医学は2週間で患者さんの紫斑を全部なくして、私はまだ患者さんの肝腎の治療をしてないです。患者さんは尿蛋白と腎機能が少し弱いだけの問題です。なのに、患者さんのお母さんは本末転倒で、中医学の効果を認めない、すべての問題を中医学のせいにしています。

私は本当にボロクソ言いたかったです。
でも、止めました。

西洋医学が主流で、中医学を知らない残念な世間

今の健康教育とメディアは、ほとんど西洋医学が主流です。中医学に触れても、せいぜい【養生】とか【何を食べれば何々病気に良い】くらい。

中医学の真髄を討論するのは、とても少ないです。 だから、一般人が中医学に対する認識は、「聞いたうわさ話」と「自分勝手な思い込み」の程度。

私たちも患者さんと家族が、中医学に対する誤解を批判する必要がありません。

(おわり)

  1. 李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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