重症筋無力症の原因は「陽明」にある。15回で治した鍼灸症例をもとに説明します。

こんにちは、李哲です。

重症筋無力症は「不治の病」ではありません。
中医学では原因を“陽明=脾胃”に求め、筋力を回復させる明確な理論があります。

この記事では、歩けない状態から15回で改善した症例と、古典に基づく治療原理を解説します。

※50年前の陳応龍先生1、重症筋無力症の鍼灸治療例を李哲が完全翻訳しました。『陳応龍鍼灸医案』という著作に書かれている症例です。

目次

重症筋無力症は脾胃(陽明)が原因という中医学の考え方

中医学では、筋力低下の根本原因を「陽明=脾胃の弱り」と捉え、ここを補うことで改善を目指します。

古典『黄帝内経』に記された筋無力の根拠

黄帝内経』には、筋無力(西洋医学の病名だと重症筋無力症)・萎縮(西洋医学の病名だと小児マヒ)の原因が陽明の虚にあると明確に記され、治療原則も示されています。

以下、古文の引用です。

胃不実則諸脈虚、諸脈虚則筋脈懈惰、筋脈懈惰則行陰用力、气不能复。

引用先:『霊柩・口問』

▲「諸脈虚則筋脈懈惰」の意味は、筋肉と脈が怠け者になり、無気力になる。この形容は、現代の小児麻痺・重症筋無力症との似ています。

痱之为病也、身无痛者、四肢不收、智乱不甚、其言微知、可治、甚则不能言、不可治也。

引用先:『霊柩・熱病篇』

▲私が理解している言葉で翻訳します。

「痱病」というのは、体は痛くないけど手足に力が入らない。知能が乱れてない、話すのが理解できる人は治せる。言葉も話せない人は治せない。

なぜ筋無力・筋萎縮は陽明(脾胃)を調整して治せるのか?

陽明は全身の筋肉(宗筋)を養う経脈であり、ここが弱ると筋力が落ちるため、治療の中心になります。

帝曰:如夫子言可矣。論言治痿者,独取陽明何也?

岐伯曰:陽明者五脏六腑之海,主润宗筋,宗筋主束骨而利机关也。冲脉者,经脉之海也,主渗灌溪谷,与陽明合于宗筋,阴阳○宗筋之会,合于气街,而陽明为之长,皆属于带脉,而络于督脉。故陽明虚,则宗筋纵,带脉不引,故足痿不用也。

帝曰:治之奈何?

岐伯曰:各补其荥而通其俞,调其虚实,和其逆顺,筋脉骨肉,各以其时受月,则病已矣。

帝曰:善。

引用先:『黄帝内経・萎論篇第四十四』

▲長いので、一番大事な太文字のところを翻訳します。

黄帝の質問:なぜ筋肉萎縮・無力の時は、陽明だけ治すのか?
岐伯の答え:陽明は五臓六腑のエネルギーを集める「海」で、主な作用は「宗筋」(筋と筋肉)を養う。「宗筋」は骨・関節の動きをコントロール。陽明が弱くなると、「宗筋」の無力で垂れて、足が使えなくなる。

黄帝の質問:治療はどうすれば良いのか?
岐伯の答え:栄穴を補って兪穴のつまりをなくし、虚実を調整すること。

陽明と言うのは、経絡でいうと「足陽明胃経」・「手陽明大腸経」。臓器からいうと、消化系の脾胃です。

脾胃は「土」に属して、土は筋肉を作ります。
筋肉が萎縮、もしくは筋肉の力がない時は、脾胃を強化するのが中医学の治療方向。

以下の症例のツボを見ても分かりますが、脾経・胃経・大腸経のツボと滋養強壮剤効果がある関元などがメインです。関元の詳細は、滋養強壮の要穴『関元』の効果と臨床例をご覧下さい。

重症筋無力症の患者背景と症状

歩行不能・眼瞼下垂・倦怠感など典型的な重症筋無力症の症状が見られた症例です。

患者さんの背景

男性、32歳、マレーシア籍の中国人。
初診は1974年8月15日。

主訴:手足の倦怠感、力が入らない。歩けなくなったのは2年も経っている。

症状:1972年の頭、手足が重く感じて全身に力が入らなくなり、寝たきりになりました。ほかの症状は、こめかみ辺りは腫れて痛い、眼瞼下垂。意識はハッキリしているけど、声が出ない。

🔎合わせて読みたい:眼瞼下垂を鍼3回で完治!複視併発例も6回で回復

患者さんはマレーシアとシンガポールの病院に行って検査・治療しました。西洋医学の診断は、みんな「重症筋無力症」。2年間治療したけど、効果がありません。

1974年、中国に戻って治療をしました。最初は広州の病院で1ヶ月くらい治療したけど効果がない。1974年8月、夏門市中医学医院に来て治療をしました。

診察時の症状

所見:

  • 顔色悪くて両目には力がない
  • 話す気力がなくて、動きも少ない
  • 皮膚は腫れてむくんでいる。
  • 脈診では浮・弱、強く押すと無力、関脈は細数。
  • 舌苔は白で乾燥している、べろは薄い・むくんでいる・色は薄い赤。

中医学の弁証

命門の火が衰えて、脾臓の陽気が足りない。胃が弱くて、陽明は湿気が溢れている。経絡の気血の不足で、筋肉に潤いが足りなくて、体に力が入らない。

治療法:命門の火を補う。
脾胃を重点的に、五臓六腑を強化。
補気・養血をメインにして、経絡のつまりをなくすのを補助にする。

🔎合わせて読みたい:コロナワクチン副反応 体ふわふわ・足重いだるさを鍼1回で改善した例

鍼灸治療の方法と使用したツボ

脾胃を補い、全身の気血を巡らせるツボを中心に、3組のローテーションで治療が行われました。

治療方法

鍼灸のツボは以下の通り。

●1組:百会、風池、命門、肺兪、肝兪、胃兪、三焦兪、関元兪。
●2組:中脘、気海、肩髃、曲池、合谷、地機、三陰交、公孫。
●3組:脾兪、腎兪、関元、足三里。

上記の3組をローテーションで使いました。
2日に1回の鍼治療、お灸は毎日1~2箇所を選んでやる。

手技:先に瀉法、後で補法。

15回で完治

15回の鍼灸治療で、重症筋無力症が完治

継続的な鍼灸治療により、寝たきり状態から15回で日常生活が可能なレベルまで回復しました。

李哲の解釈と感想

15回で重症筋無力症を治した腕には感服しました。
一つ注意してほしいのは、陳応龍先生の症例はあくまでも個人の例、誰でも15回で重症筋無力症が治るとは限りません。

ワクチン・薬と陽明の関係(中医学的視点)

脾胃を弱らせる要因として、薬剤・ワクチン・生活環境などが中医学では重視されています。

「陽明」の脾胃に問題が出た原因は、生まれつきの先天不足がごく一部で、もっとも多いのは生まれたばかりに使った薬・ワクチンが関係しています。

大昔、このような筋肉の萎縮する病気があったのは、食べ物がない・寒さ・雨を十分に避ける住居もなかったからです。脾胃が弱いと抵抗力も低いので、外部からの湿気・寒気にやられやすくて、余計に筋肉が萎縮して力がなくなる。

今は違います。
生まれたばかりの赤ちゃんに、B型肝炎ワクチンから始め、数十種類のワクチンを順番待ちで打ちます。あなたの赤ちゃんを病人にさせないと、気がすまないのが製薬会社。

ちなみに、B型ワクチンはまったく必要がない。むしろ肝炎を作り出し、ほかの重病も作り出すので拒否していいです。鄭先生がB型肝炎ワクチンは必要がないと、以下の記事で説明しました。

現在の小児マヒは、ほとんどワクチンが原因

一つ説明しますが、あなたの子供がワクチン接種しなければ、小児麻痺にならない。今の小児麻痺は、ほとんどワクチンが原因です。

不幸にも小児麻痺になったら、有能な漢方医もしくは鍼灸医に治してもらってください。時間はかかるかも知れないけど、自力で歩けるようにはなります。

以下の症例をご覧ください。ニハイシャ先生2はワクチン後遺症の小児麻痺を治すとき、脾胃を強化する治療方法でした。

ワクチンの副作用で小児麻痺になった子供、足が動けるようになり顔色もよくなった例。

ALSなど重度の筋力低下にも応用できる理由

ALSのような重度の筋萎縮にも、脾胃を中心に全身を温め補う治療が応用されています。

指定難病の「筋萎縮性側索硬化症」も、全身の筋肉の力がなくなるのが共通点。ただし、こちらのほうが重症筋無力症よりもひどいので、最強の温めるトリカブトなどを使わないと治せません。

関連記事はニハイシャ先生の治療例をご覧ください。

まとめ:重症筋無力症は中医学で治療可能

原因が分からない病でも、中医学では理論に基づいた治療が可能で、改善例も多数あります。

「筋萎縮性側索硬化症」は西洋医学にとって、完全に治療不可能な病気です。なぜなら、原因がサッパリ分からないからです。重症筋無力症も同じ。

西洋医学に原因不明・不治の病だと言われても、落ち込まないでください。中医学は治せないと言ってないです。

漢方医・鍼灸医たちの症例があり、上記のように原因と治療法も説明しました。漢方薬・鍼灸に自信を持って下さい。

特に鍼灸は筋肉の病気に関して、即効性が見られやすいです。4~5回治療してみれば、効果があるかないかかが分かります。

筋力低下、筋肉萎縮に関するほかの症例

ALSの両肩が動けて、足指の屈伸運動ができるようになり、体も暖かくなってきた例

ALSの冷えが治って力が入るようになり、筋肉の痙攣も著しく改善した例

横紋筋融解症のひどい倦怠感、むくみが治った女性の例

倦怠感がひどくて歩けない、食事もできない女の子を治した例

よくある質問(FAQ)

Q1. 重症筋無力症は鍼灸で本当に改善しますか?

A. すべての人に同じ結果が出るわけではありませんが、筋力低下の原因を脾胃の弱りと捉える中医学では、改善例が多数あります。

Q2. 何回くらい治療すれば効果が分かりますか?

A. 多くの場合、4〜5回で変化が出るかどうかの判断ができます。

Q3. なぜ脾胃(陽明)が筋力に関係するのですか?

A. 『黄帝内経』では、陽明が全身の筋肉(宗筋)を養うと説明されており、ここが弱ると筋力が落ちるとされています。

Q4. 西洋医学の治療と併用しても大丈夫ですか?

A.西洋医学の治療で効果を感じたら、併用しても良いです。効果がなかった場合、どうするかはご自身で選んでください。

  1. 陳応龍先生の簡単な紹介:1902~1993。福建省夏門市中医院の院長を務め、香港・シンガポールなどの海外で鍼灸の普及講義をしました。著作としては、『陳応龍鍼灸医案』と『霊子術修練法』があります。 ↩︎
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • Haewoong Park
    有能な鍼灸医であれば、重症筋無力症は治せるはずです。

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