こんにちは、李哲です。
重症筋無力症は指定難病の一つで、西洋医学は未だに良い治療法がありません。中医学の理論で解釈すると、重症筋無力症は「陽明」(土)が原因で、脾胃を強化する方法で治せます。
50年前の陳応龍先生*1は、一つの鍼灸治療例を残してくれました。『陳応龍鍼灸医案』という著作に書かれています。
今回はその治療例を翻訳して、古典の古文を引用しながら、鍼灸で治せる仕組み・原理を説明します。重症筋無力症は「不治の病」ではない事を知ってもらえると嬉しいです。
陳応龍先生の症例はもう一つあるので、こちらもどうぞご覧ください。あなたが知っている西洋医学の世界と、まるっきり違う内容です。
15回で重症筋無力症を治した鍼灸症例
男性、32歳、マレーシア籍の中国人。
初診は1974年8月15日。
主訴:手足の倦怠感、力が入らない。歩けなくなったのは2年も経っている。
症状:1972年の頭、手足が重く感じて全身に力が入らなくなり、寝たきりになりました。ほかの症状は、こめかみ辺りは腫れて痛い、眼瞼下垂。意識はハッキリしているけど、声が出ない。
患者さんはマレーシアとシンガポールの病院に行って検査・治療しました。西洋医学の診断は、みんな「重症筋無力症」。2年間治療したけど、効果がありません。
1974年、中国に戻って治療をしました。最初は広州の病院で1ヶ月くらい治療したけど効果がない。1974年8月、夏門市中医学医院に来て治療をしました。
所見:
- 顔色悪くて両目には力がない
- 話す気力がなくて、動きも少ない
- 皮膚は腫れてむくんでいる。
- 脈診では浮・弱、強く押すと無力、関脈は細数。
- 舌苔は白で乾燥している、べろは薄い・むくんでいる・色は薄い赤。
弁証:命門の火が衰えて、脾臓の陽気が足りない。胃が弱くて、陽明は湿気が溢れている。経絡の気血の不足で、筋肉に潤いが足りなくて、体に力が入らない。
治療法:命門の火を補う。
脾胃を重点的に、五臓六腑を強化。
補気・養血をメインにして、経絡のつまりをなくすのを補助にする。
鍼灸のツボは以下の通り。
●1組:百会、風池、命門、肺兪、肝兪、胃兪、三焦兪、関元兪。
●2組:中脘、気海、肩髃、曲池、合谷、地機、三陰交、公孫。
●3組:脾兪、腎兪、関元、足三里。
上記の3組をローテーションで使いました。
2日に1回の鍼治療、お灸は毎日1~2箇所を選んでやる。
手技:先に瀉法、後で補法。
15回の鍼灸治療で、重症筋無力症を完治しました。
李哲の解釈と感想
15回で重症筋無力症を治した腕には感服しました。
一つ注意してほしいのは、陳応龍先生の症例はあくまでも個人の例、誰でも15回で重症筋無力症が治るとは限りません。
以下からは、なぜ鍼灸で重症筋無力症を治せるか?治療法の根拠になるのはあるのか?を説明します。
重症筋無力症の原因は「陽明」にある
中国古代には、すでに重症筋無力症・小児麻痺に近い症状が書かれています。一番古いのは『黄帝内経』の記録。以下、古文の引用です。
胃不実則諸脈虚、諸脈虚則筋脈懈惰、筋脈懈惰則行陰用力、气不能复。
引用先:『霊柩・口問』
▲「諸脈虚則筋脈懈惰」の意味は、筋肉と脈が怠け者になり、無気力になる。この形容は、現代の小児麻痺・重症筋無力症との似ています。
痱之为病也、身无痛者、四肢不收、智乱不甚、其言微知、可治、甚则不能言、不可治也。
引用先:『霊柩・熱病篇』
▲私が理解している言葉で翻訳します。
「痱病」というのは、体は痛くないけど手足に力が入らない。知能が乱れてない、話すのが理解できる人は治せる。言葉も話せない人は治せない。
帝曰:如夫子言可矣。論言治痿者,独取陽明何也?
岐伯曰:陽明者五脏六腑之海,主润宗筋,宗筋主束骨而利机关也。冲脉者,经脉之海也,主渗灌溪谷,与阳明合于宗筋,阴阳○宗筋之会,合于气街,而阳明为之长,皆属于带脉,而络于督脉。故阳明虚,则宗筋纵,带脉不引,故足痿不用也。
帝曰:治之奈何?
岐伯曰:各补其荥而通其俞,调其虚实,和其逆顺,筋脉骨肉,各以其时受月,则病已矣。
帝曰:善。
引用先:『黄帝内経・萎論篇第四十四』
▲長いので、一番大事な太文字のところを翻訳します。
黄帝の質問:なぜ筋肉萎縮・無力の時は、陽明だけ治すのか?
岐伯の答え:陽明は五臓六腑のエネルギーを集める「海」で、主な作用は「宗筋」(筋と筋肉)を養う。「宗筋」は骨・関節の動きをコントロール。陽明が弱くなると、「宗筋」の無力で垂れて、足が使えなくなる。
黄帝の質問:治療はどうすれば良いのか?
岐伯の答え:栄穴を補って兪穴のつまりをなくし、虚実を調整すること。
陽明と言うのは、経絡でいうと「足陽明胃経」・「手陽明大腸経」。臓器からいうと、消化系の脾胃です。
脾胃は「土」に属して、土は筋肉を作ります。
筋肉が萎縮、もしくは筋肉の力がない時は、脾胃を強化するのが中医学の治療方向。
上記のツボを見ても分かりますが、脾経・胃経・大腸経のツボと滋養強壮剤効果がある関元などがメインです。
「陽明」を傷つけるのは西洋薬・ワクチン
「陽明」の脾胃に問題が出た原因は、生まれつきの先天不足がごく一部で、もっとも多いのは生まれたばかりに使った薬・ワクチンが関係しています。
大昔、このような筋肉の萎縮する病気があったのは、食べ物がない・寒さ・雨を十分に避ける住居もなかったからです。脾胃が弱いと抵抗力も低いので、外部からの湿気・寒気にやられやすくて、余計に筋肉が萎縮して力がなくなる。
今は違います。
生まれたばかりの赤ちゃんに、B型肝炎ワクチンから始め、数十種類のワクチンを順番待ちで打ちます。あなたの赤ちゃんを病人にさせないと、気がすまないのが製薬会社。
ちなみに、B型ワクチンはまったく必要がない。むしろ肝炎を作り出し、ほかの重病も作り出すので拒否していいです。鄭先生がB型肝炎ワクチンは必要がないと、以下の記事で説明しました。
一つ説明しますが、あなたの子供がワクチン接種しなければ、小児麻痺にならない。今の小児麻痺は、全部ワクチンと関係しています。
不幸にも小児麻痺になったら、有能な漢方医もしくは鍼灸医に治してもらってください。時間はかかるかも知れないけど、自力で歩けるようにはなります。
以下の症例をご覧ください。ニハイシャ先生1はワクチン後遺症の小児麻痺を治すとき、脾胃を強化する治療方法でした。
重症筋無力症よりひどい、「筋萎縮性側索硬化症」も治す方法がある
指定難病の「筋萎縮性側索硬化症」も、全身の筋肉の力がなくなるのが共通点。ただし、こちらのほうが重症筋無力症よりもひどいので、最強の温めるトリカブトなどを使わないと治せません。関連記事はニハイシャ先生の治療例をご覧ください。
重症筋無力症は不治の病ではない
「筋萎縮性側索硬化症」は西洋医学にとって、完全に治療不可能な病気です。なぜなら、原因がサッパリ分からないからです。重症筋無力症も同じ。
西洋医学に原因不明・不治の病だと言われても、落ち込まないでください。中医学は治せないと言ってないです。
漢方医・鍼灸医たちの症例があり、上記のように原因と治療法も説明しました。漢方薬・鍼灸に自信を持って下さい。特に鍼灸は筋肉の病気に関して、即効性が見られやすいです。4~5回治療してみれば、効果があるかないかかが分かります。
*1:陳応龍先生の簡単な紹介:1902~1993。福建省夏門市中医院の院長を務め、香港・シンガポールなどの海外で鍼灸の普及講義をしました。著作としては、『陳応龍鍼灸医案』と『霊子術修練法』があります。
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
コメント
日本で重症筋無力症の治療が可能か
Haewoong Park
有能な鍼灸医であれば、重症筋無力症は治せるはずです。