こんにちは、李哲です。
北京中医薬大学の教授、郝万山先生1の漢方治療例、郝万山经方36首故事1 – 好大夫在线を翻訳しました。
悪寒、発熱、全身の関節痛などインフルエンザの諸症状には、麻黄湯がすごい効くことを知ってもらえると嬉しいです。もちろん、麻黄湯はインフルエンザ専用の処方箋ではないので、使う時に弁証論治するのも大事です。詳細は以下の翻訳文をご覧ください。
悪寒・発熱・全身が痛い・鼻水が出るインフルエンザで、半分以上の人が仕事できなくなった
ある年、江西省の炭鉱地域でインフルエンザが非常に流行って、半分以上の労働者が仕事できなくなりました。
江西中医学大学の卒業生二人がその地域にいて、最初は西洋薬を使ったけど効果がなし。その後は銀翹散、桑菊飲を処方したら効果があるところか、逆にひどくなりました。そして、この2人は思いました。
「あいや!どう見ても麻黄湯の症状っぽいですね。悪寒、発熱、全身が痛い、鼻水が垂れる。しかしここは熱い南方だし、麻黄湯を使って大丈夫かな?」
2人とも大学に通ったとき、学校の先生が麻黄湯を使うのを見たことがないからです。
同じインフルエンザの奥さん、麻黄湯を飲んで翌日には治った
2人のうち一人が麻黄湯を処方したけど、他の人に飲ませるのは躊躇してました。ちょうど自分の奥さんも発熱しているから、奥さんに飲ませてみようとしたのです。万が一何があっても…
その時に処方したのは麻黄10g、桂枝10g、甘草5g、杏仁9g。
奥さんは1日目の漢方薬を飲んで、汗が出て熱が下がり全身の痛みが消え、彼はとても喜んでました。
麻黄湯を飲ませるだけで、広範囲のインフルエンザはすぐ消えた
炭鉱地域のインフルエンザは非常に多かったので、全部麻黄湯を飲ませました。二人は診察室で大量に漢方薬を煎じて、一人1瓶ずつ渡し。そして、インフルエンザはすぐ消えました。
二人の学生さんは、観察報告を江西中医学病院に送ったけど、ちょうど文化大革命の時期で雑誌は全部停止している状態。幸いに大学の内部雑誌には載せてました。
李哲の解釈と感想
すごい治せる漢方薬ORまったく治せない漢方薬
銀翹散、桑菊飲は日本でも発売されているみたいです。この処方箋は温病派がよく使うもので、正統派の漢方医は使いません。風邪を治せないからです。
ちなみに、温病派と正統派(経方派)の区別は大きい。簡単にいうと、温病派の処方箋は弱いものが多くて小さな病気には効くかも知れないけど、重症・難病・急病人にはちっとも効かない。正統派(経方派)の処方箋は真逆です。得意とするのがちょうど重症・難病・急病人。もっと詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
以前、上海に住んでいる妹の子供の風邪が治らなくて、「漢方薬を教えて!」と頼まれました。妹が処方箋を持って漢方薬局に買いに行ったら、薬局の先生が言うのは「麻黄が10g?!ダメだよ!危ないから量を減らすね!」と勝手に減らしたそうです。
結局、妹の子供は麻黄の量が足りなくて、飲んだ後に汗が出なくて風邪も治らないまま。煎じ薬が無効な苦い汁だけになりました。こういう善意だけどバカな中医師がいるから、漢方薬は効かないという人が多いわけ。
以下、ニハイシャ先生2の症例を見れば分かりますが、中途半端な中医師は患者の病気を治せないだけではなくて、自分の命まで台無しにします。
漢方薬は私もよくテストする
上記の二人の先生は、勇気がある方ですね。
自分の奥さんに「テスト」するなんて(笑)
漢方薬は間違って飲んでも大した害はないです。万が一、悪くなっても補う処方箋がまたあるから。ところで、抗がん剤・鎮痛剤・抗うつ薬などを、自分の奥さんにテストする先生はいますか?感想を聞きたいです。
私はよく自分で「治験」します。
以下は漢方薬と鍼それぞれの症例、参考にしてください。
「インフルエンザには麻黄湯」は間違い!
上記の翻訳文を見て、「インフルエンザ=麻黄湯」だと勘違いしないでください。インフルエンザは西洋医学の病名で、中医学の病名ではありません。
麻黄湯には厳密な使用基準があります。
簡単に言うと汗が出ない、全身の関節痛、悪寒、発熱などの症状がある。
風邪・インフルエンザを治すとき、漢方薬には最低でも6種類の処方箋があります。この6つの処方箋をもとに、さらにアレンジして作られるので、何でもかんでも麻黄湯ではない。麻黄湯の適応症状は以下の記事をご覧ください。
漢方薬以外、鍼もインフルエンザの諸症状を治せる
周りに良い漢方医がいなかったら、私の鍼灸院に来てください。発熱、咳、喉の痛みなどに関して、鍼の即効性は目からウロコのはず。
「鍼で風邪、インフルエンザ治るわけがない」と思う人が多いようですが、それはあなたが治せる鍼灸師に出会ってないからです。鍼は風邪・インフルエンザだけではなくて、たくさんの病気を治せる治療法です。
(おわり)
- 郝万山先生は中国の名門、北京中医薬大学の教授です。詳しい紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
コメント
id:imakokowoikiru
読むだけ元気お届け人
ブコメありがとうございます。
葛根湯は症状が合っていれば、インフルエンザでも治せます。問題は、自覚症状があっているかどうかです。
葛根湯以外の漢方薬の使い分けは、以下の記事が参考になると思います。
https://li-hari.hatenablog.com/entry/kazenokannpou