置鍼中、いびきがなくなって、ぐっすり寝た女性
こんにちは、李哲です。
一人の患者さんの治療例で、いびきに関する中医学の考え方を述べました。参考になると幸いです。
2020年3月、50代の女性、当院の常連です。
置き鍼している時、彼女はいつもよく寝てたけど、今回は面白い感想がありました。
彼女が言うのは、「いつも鍼刺して寝てるとき、自分のいびきでハァツと目が覚めるけど、今回はいびきもなくてずっと寝てました」
なぜいびきがなくなったのか?
彼女の鼻から喉までの痰が減り、気道の流れが良くなったからです。
いびきの原因に対して、西洋医学の解釈はあやふや
いびきの原因、西洋医学では鼻・喉が狭くなって空気が通るときに音がするからだと言います。
なぜ気道が狭くなったのか?
西洋医学では特に説明がありません。ただし、肥満症、飲酒、睡眠薬の副作用でいびきが悪化するとは書いてあります。
もともと日本人は、顎(あご)が小さい人が多く、肥満や飲酒や睡眠薬によっていびきが出現しやすくなります。
日本呼吸器学会のHPより
2017/07/11
上記の説明には、日本人の顎が小さいせいにしているけど、スルーして下さい。いびきは、人種のせい?顎を大きく整形すればいびきが治りますね?本当に笑うしかない理論です。
一つ覚えて下さい。ストレスのせい、遺伝子のせい、人種のせいにする医学は、病気の原因を分かっていません。分かってないから、もちろん治療もできません。
中医学理論:いびきの原因は2つある
中医学の考え方を述べます。
喉、鼻腔などの気道が狭くなるのは、2つの原因があります。
- 気道が寒気(冷え)にやられ、縮まって狭まっている。たとえば気道周辺の癌が代表的な病気。このような患者さんは少数です。
- 寒気はないけど、痰と湿気が詰まって気道が狭まっている。このパタンの患者さんが一番多く見られます。
痰と湿気はどこから来たのか?
中医学理論でいうと、『脾為生痰之源、肺為貯痰之器』。
直訳すると、痰と湿気は胃腸が生み出して、肺の中に貯蔵されます。そして、外部の寒気などに直撃されると眠っていた痰が動き出して、咳もしくはむせる、いびき、睡眠時無呼吸症候群などの症状として現れます。
痰、湿気を治すツボがたくさんあるので、いびきの改善ができる
治療方法としては、脾胃と肺の機能を強化して、痰がこれ以上溜まらないように遮断すること。あとは、体と協力しあって、痰を削減することです。
鍼灸には痰と湿気を治すツボがたくさんあります。例えば天突、豊隆、中脘、脾兪、胃兪、肺兪、尺沢、列缺、太淵…どのツボを選ぶかは、鍼灸師の裁量によります。以下は尺沢穴1つで痰が消えた症例。主訴がいびきではないですが、痰を治せるのは確実です。
痰と湿気を増やす食べ物
上記で痰が増える臓器:脾胃と肺を話しました。言い換えると、痰を増やす物は脾胃と肺に負担をかけるもので、いびきを悪化させる要素。以下はリスト一覧。(よく見かけるものだけ書いているので、抜けがありましたらご了承下さい)
- お酒
お酒を飲んだあと、いびきがひどくなりやすいです。 - タバコ
タバコは肺がんと因果関係ないけど、痰を作り出します。 - 牛乳、乳製品
喘息・気管支炎など痰が原因の病気、乳製品を食べるとひどくなるのが一つの証 - 過労
疲れすぎて寝込んだとき、いびきをかく人は多いです。 - 肉、魚ばかり食べて野菜を取らない
肉と魚ばかり食べると熱がこもりやすくなり、痰などの老廃物も出やすいです。 - 運動不足で筋力低下
運動不足は万病につながります。 - 考え過ぎ・悩みすぎ
考えは脾臓のエネルギーを使います。考えすぎると脾臓が弱くなるので、湿気・痰の処理が落ちる→痰がたまります。
原因が分かれば予防と治療も簡単です。
たとえ有効な治療法を見つからなくても、上記の要素を避ければいびきは緩和できます。
いびきを改善したいなら、漢方薬・鍼灸の治療を受けるべき
もともと、上記の患者さんは花粉症治療のために来ました。花粉症はもちろんそのうち良くなり、偶然にいびきをかく悩みも改善できて何よりでした。
本ブログではよく言いますが、
中医学はトータルケア。
良くなる時は、いろんな症状が一緒に良くなります。
いびき以外、睡眠時無呼吸症候群も原因は同じです。
体内の痰・湿気を減らせば、自然に治る。
西洋医学の気道を広げる手術・薬、これは一時的に改善できるけど、根本を治す治療方法ではありません。最良の方法は体質改善して、痰・湿気が貯まりすぎないように予防すること。
体質改善は1~2回で終わりません。いびきも1~2回で治る症状ではない。しばらく鍼治療してから改善・完治ができるので、少しの辛抱が必要です。
(おわり)
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