5年も治らない右下腹痛、鍼一回だけで緩和した例

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こんにちは、李哲です。
最近面白い症例があったので紹介します。

2024/8/24
患者さんは57歳の男性。

主な症状は右下腹部の慢性的な痛み。この痛みは5~6年前からあって、だんだん悪化してきた。5~6年前は月1〜2回お腹が痛くなったんだけど、今はほぼ毎日痛い。

問診票で気になったところは寒がり、冬は手足が冷たい。他は食欲も便通も尿も普通でした。

患者さんが言うのは、「たくさんの病院でいろんな検査をしたけど、正常だと言われました。いろんな薬、いろんな注射をしても効果なし。来週は病院に行って、神経をブロックする脊椎注射をするつもりです」

鍼治療する前、「痛いところを指で指して下さい」と話したら、患者さんが指したのは盲腸(虫垂)あたりでした。押してみたら圧痛はないけど、奥深く痛いのがあるそうです。

私の判断は、西洋医学の言葉でいうと慢性虫垂炎。中医学の言葉でいうと、中焦寒(下腹部の冷えからくる痛み)。

なぜ西洋医学の先生すら分からないのに、慢性虫垂炎だと判断するのか?先に説明しますが、私は診断する権利がない。皆さんが西洋医学の言葉に慣れているので、西洋医学の言葉を拾ってきただけです。

男性が痛い場所はちょうど虫垂のところ。そして、奥深いところが痛いので、慢性虫垂炎だと判断しました。西洋医学が診断できないのは、炎症が内臓と内臓の間にある三焦にあるからでしょう。西洋医学の内視鏡、各検査は内臓の中は見れるけど、内臓と内臓の間は見れない。以上は私の憶測、皆さんは笑い話だと思ってみて下さい。

慢性虫垂炎であろうと、ほかの癌であろうと、鍼灸の治療方法は同じです。痛い場所をどの経絡が通るかを見て、補法にするか瀉法にするかを決める。

当時刺したのは中脘、下脘、関元、気穴、足三里、胆嚢点(奇穴)、三陰交、公孫、内廷(瀉法)、太衝、内関、合谷。

鍼を抜いたあと、患者さんが言うのは「お腹が暖かくなってきました。いつもの痛みはありません。

漢方茶を飲む時、患者さんは教えてくれました。
「寝ている時はほぼ痛くないです。朝ご飯食べて会社まで歩くとき、徐々に痛くなってきます。仕事中は痛くない。外でお昼ご飯食べて会社に戻るとき、また痛くなります。座っていれば痛くならない。夜帰宅する時また痛くなり始め、ぞうきんが絞られるように腸がねじられて痛い。人がいないところではアーアーアー!と叫びたくなります。」

動くと痛い、動かなければ痛くない。
本当に不思議な症状です。

2024/8/27
以下は患者さんの報告です。
前回鍼してから翌日は痛みがあったけど少しだけ。翌々日は痛くなかった。痛くない日があるなんて5〜6年ぶり。あんなにいろんな病院に通って、10なん種類の薬、あらゆる薬を飲んだのに効き目がなかったです。残った薬は、もうモルヒネしかない!鍼は一回だけ受けたのに、効果が出てるのがわかります。コーヒーとヨーグルトなどは全部止めて、食生活を見直してみます。」

喜んでる彼をみて、私も仕事した甲斐があって嬉しかったです。

続けて鍼治療すれば治ると思いますが、残念ながら患者さんは奈良県に住んでいるので、続けて治療ができない。今日の2回目で終了。運が良ければこの2回で治るけど、5年も患ったのでそうそう簡単に治らないでしょう。

私はお腹にお灸をすえることを薦めました。お腹の冷えが少なくなれば、痛みも減るはず。コーヒーと乳製品(ヨーグルト含め)は胃腸が冷えるので止めさせたのです。

西洋医学の診断がどんな病気であろうと、痛みであれば鍼灸は治せます。原因不明だと言われ、困っている方は、ぜひ鍼灸を試してください。

(おわり)

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