足に力が入らない・膝が上がらない72歳女性が、鍼10回で改善した症例(ALSを疑った重症例)

朝、布団を蹴る力がない。
膝が上がらない。
足が重くて前に出ない。

そんな「足に力が入らない」症状で不安を抱えていた72歳の女性が、鍼灸治療で少しずつ動ける体を取り戻していきました。

本記事では、下半身の重だるさ・痛み・冷えがどのように改善していったのか、実際の治療経過を紹介します。


この記事でわかること
  • 足に力が入らない・膝が上がらない原因として考えられる中医学的な要因
  • 鍼灸治療で下半身の重さ・痛み・冷えが改善していった具体的な経過
  • 72歳女性が10回の鍼治療で日常動作を取り戻した実際の症例

目次

足に力が入らない・膝が上がらない原因は?72歳女性の初診時の状態

こんにちは、李哲です。
5年前に書いたけど、最近になってやっと修正が終わり、今日公開することにしました。

2021ー10ー26

患者さんは72歳の女性。
カルテに書いた1番気になる症状は、

  • 下半身が硬くて重い、膝が上がらない
  • 肩腕も重い
  • 体温が低い、36.5度くらい

彼女の話を聞いて、私が1番先に疑ったのはALSでした。

彼女が現在飲んでいる薬は1種類。甲状腺機能亢進症の治療薬、メルカゾール1錠。この薬は27歳から飲み続けているそうです。つまり、45年間飲んでいる

私が思うのは、この何十年の薬はきっと彼女の筋力低下と関連性があります。

手のひらに黄色い1錠の薬が置かれているイメージ。メルカゾールを表す。
45年間飲み続けたメルカゾール1錠。長期服用が筋力低下に関連か?

9月22日から1ヶ月間、週1のペースで整形外科にリハビリに通っている。

10個の問診票を見て良かったと思ったのは、彼女は食欲が良い・しっかり7時間寝ている、この2点でした。なぜこの2点が重要なのか、彼女の病状は何が原因なのかは、後ほど説明します。

食欲の大事さは記事:お腹が空かないのは脾胃の病気をご覧ください。

病状を説明する彼女の声は大きくて明るい。
中医学には聞診があります。意味通り、声を聞くだけで診断ができる。声だけで分かりますが、彼女はきっと回復が早い。気というか、生命力が強いタイプであるからです。

以下からは鍼治療の過程。

鍼1回で体温が0.3℃上昇し、下半身の重さが劇的に改善した理由

2021-10-29
彼女の報告:
「体温が0.3度上がり、体が暖かくなってきて、下半身が重いのはすごい良くなってきました」

前回刺したツボは、足三里、三陰交、太衝などごく普通のツボでした。なのに、こんなに効果があるなんて。

足の内くるぶしから指4本分上の三陰交ツボ位置を示すイラスト。眼瞼下垂治療に有効な鍼灸ポイント
三陰交ツボの位置:内くるぶしから指4本分上。孫培栄先生の眼瞼下垂症例で使用、肝・脾・腎を調和し自然回復を促進。鍼治療の基本ポイントとして活用を

「昔から鍼治療したことがあって、自分は鍼との相性が良い。だから今度も鍼治療を探して来た」と彼女は言ってました。もしかして、彼女は本当に鍼に向いているかも知れません。今日刺したツボはほぼ同じ。

下半身が重い主訴は、臨床でよく見かけます。一番不可解だったのは、コロナワクチンを打ってから現れた副作用。幸いにも鍼で著しく改善しました。以下の症例、どうぞご覧ください。

🔗コロナワクチン後、両足の重だるさを改善した症例はこちら

食欲低下・倦怠感・下半身の重さが同時に改善したメカニズム

2021ー11ー3
彼女の報告:
昔から食いしん坊で食べるのが大好きだったけど、少し前までは元気がなくて、作る気力もなかったし、食べたくもなかった。今は食欲全開!

1番気にしている下半身の重さに関して、彼女は話しました。
朝起きたとき、足が重くて布団をける力もない、寝返りをうつのも辛かったけど、今は半分くらい良くなりました。前回の鍼が終わって帰るとき、小さく飛べるような感じで、すごい嬉しかったです

今日刺したツボは、強化バージョン。
陽陵泉透陰陵泉、絶骨透三陰交、条口透承山、足三里、太衝、関元、内関など。

下半身が重だるいのを治した例は、他にもあります。以下は違うツボで治した症例、参考にしてください。

🔗下半身の重だるさが改善した別の症例

足の重さが8割改善、患者さんも驚きの変化

2021-11-5
彼女の報告:
足の重いのは前ではなくて後ろ側。ふとももの後ろ側が重くて、膝が上げられない。座位から立ち上がるときも苦しい。

今日刺したツボは少しアレンジ。
京骨(補法)、太陽、足三里、関元、内関など。

女性の横顔イラストで、こめかみ付近の太陽穴に赤丸と「太陽穴」の標記。
視力低下の改善にも使用した太陽穴

太陽を刺したのは、目が見づらい症状があるからです。

彼女は「本を見すぎたのが原因かも」と言ったけど、ほかの原因があります。それは西洋薬。肝臓に負担がかかり、徐々に視力が悪くなってくるのです。

薬の被害者は、ニハイシャ先生1の症例:プロゲステロンの副作用で失明した患者が参考になります。

2021-11-9
彼女の報告:
足の後ろ側は、ひどい筋肉痛みたいに重い、痛い。
鎖骨の下がこっているというか、違和感がある。

今日刺したツボは少しアレンジ。
京骨から束骨に変更。ほかには三間を追加、これも目にいいツボです。

女性の左手の親指側にLI2(二間)、LI3(三間)、LI4(合谷)と赤丸で表示されたイラスト。
目の症状と手指のこわばり改善に役立った手のツボ

2021-11-12
彼女の報告:
「足が重いのは8割治りました。
以前、自分が筋委縮性側索症ではないかと、すごい怖かったです」

私は彼女を慰めました。
「効果がある感じだったら、続けて治療すれば最後治ります。怖い病名は気にしないで」

足の重みと痛みがほぼ消失、上腕の痛みも著しく軽減

2021-11-17
彼女の報告:
鍼したあとは調子いいけど、なぜか数日後には痛みが再発する。キッカケは特にない。

下半身の後ろ側が重い以外、痛みもあるので今日は金門を追加しました。

2021-11-19
彼女の報告:
下半身の重みと痛みがなくて、上腕部の後ろ側が痛いのもほぼ治った。

今日、手に鍼をしようとしたとき、彼女の手がこわばって握れないことに気づきました。聞いてみたら、彼女が言うのは50代から指関節が固くて握れない。彼女は自分がリウマチだと思って、当時病院の検査も受けたけど確定はしてないそうです。

指関節が固くて握れないのは、西洋医学でいう「リウマチ」です。ただし、一般的なリウマチと違って、彼女は関節の痛みがない、可動範囲が非常に狭いだけです。

指関節の可動範囲を広げるため、今日追加したツボは大白(董氏奇穴)と外関。

ニハイシャ先生の症例:関節リウマチの痛みは1週間でだいぶ良くなり、頑固な便秘も改善も参考になるので、どうぞご覧ください。

50代から続いた手指のこわばりも改善

2021-11-24
彼女の報告:
前回の鍼をした数日後に、痛みがまた再発しました。仰向けで膝を抱えると、ふとももの前が痛い。ふとももの後ろ側は痛み以外に重い感じもあります。左上腕の後ろ側も重くて痛い。

今日刺したツボは京骨(補法)、金門、足三里、条口透承山、関元、水道、合谷透後渓、外関、太陽、光明。

鍼治療が終わって漢方茶を飲むとき、彼女は話しました。
いつのまにか、指の間を通して両手で握る事ができるようになりました。以前は指が曲がらなくて、握れなかったです。病院に行くと、これは不治の病、そしてステロイド剤の点滴しかないと言われると思います。でも、自分は病院ではなくて、鍼を続けてみたいです。すでに1回治ったように楽になったことがあるから。」

両手が指の間を通してしっかり握り合っているクローズアップ写真。
「いつのまにか握れるようになりました!」50代からのこわばりが改善

私は彼女をは励みました。
「良くなったことがあるから、続けてやれば治ります。心配しないで!」

手が握れないのはリウマチの一部症状。私のおじさんも数年前に同じ症状がありました。幸いにもその時は鍼で改善されました。同時の治療内容は以下をご覧ください。

🔗手がこわばる、朝起きたとき握れないのは、鍼1回で1週間も楽になる

布団を蹴る力が戻り、膝を抱えても痛くないレベルまで回復

2021-12-2
彼女の報告:
朝は布団をけることができました。膝を抱える動作もOKです。まだ完治ではないけど、ずいぶん楽になってきました。視力は特に変化はないです。」

晴明穴は視力回復に最強なツボ。今日刺してみてダメだったら、次回は使うつもりです。以前、ドライアイ(目が乾く)の女性を治療したことがあるけど、1回だけでドライアイが治りました。晴明穴がどれだけ強烈なのかが分かるでしょう。当時の治療内容は以下をご覧ください。

🔗ドライアイは鍼治療1回で改善!目の潤いが戻り、肩こり・夜間頻尿も同時に解消した実例

~後編へ続く~

手足に力が入らないほかの関連症例

両足に力が入らない症状が鍼1回で改善した例

静脈瘤で左足激痛・力が入らないのが1週間で完治した症例

重症筋無力症で足に力が入らない症例(鍼で改善)

薬の副作用で足が重い・痛い症例

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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