こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生1の症例、阳和汤:少妇腹股沟处硬块_郑智城_新浪博客(2014-2-25発表)を翻訳しました。
生理の1週間前から非常に疲れて夜間頻尿があるのに、病院の検査では原因不明の女性、漢方薬で簡単に鼠径部のしこりも消えて夜間頻尿なども治った内容。参考になると幸いです。
そけいぶのしこりは1週間で消え、夜間頻尿・生理前に疲れる症状も同時に治った
土曜日、コロンビア人女性が友だちを連れて来ました。コロンビア人女性は以前から時々治療に来た人です。私がパット見たら、彼女はお腹が大きくなっていたので笑いながら聞きました。「妊娠しました?」
彼女も笑いました。
「そうですよ。全部先生のせいですね(it’s all your fault)」
私のせい?
ビックリしましたが、よく考えたら前回の漢方薬を出すとき、「この漢方薬で妊娠しやすくなる」と話したかも。でも、妊娠したのは漢方薬のせいではないですね。
彼女の友だちは不眠症で治療に来たけど、不眠症は今度また話します。彼女の友だちを覚えているのは、前回来たときの症状が特別だったからです。
私は彼女の友だちに聞きました。
「前回の問題は解決しました?」
彼女の友だち「大丈夫です。もう治りました」
前回の症状は、そけいぶにしこり(出来物)がありました。
当時の脈診は微、舌診で舌は薄い舌苔がある。ほかの症状は、以下のとおり。
- 水を飲むとすぐ尿として出る
- 夜間頻尿は2回
- 普段から喉は渇かない
- 生理になる1週間前から非常に疲れる
西洋医学にいろいろ診てもらったけど、原因不明で放置のまま。
私は陰証だと判断し、「陽和湯」を処方しました。麻黄、白芥子、桂枝、炙甘草、熟地黄、乾姜、附子(トリカブト)、補骨脂。6日分を飲んで完治。
李哲の解釈と説明
処方箋の説明
「陽和湯」の本来の構成は以下のとおり。
麻黄、白芥子、肉桂、甘草、姜炭、熟地黄、鹿角胶。計7種類の生薬です。
鄭智城先生がアレンジしたのは、
- 甘草→炙甘草。
- 姜炭→乾姜。
(上記の2つは主に陽気を強化するため) - 肉桂→桂枝
(これは意図が分かりません)
鹿角膠を削除して、附子(トリカブト)、補骨脂を追加して腎臓の陽気を強化。シンプルな処方だけど、効果バツグンでした。
鹿角膠は鹿の角を煎じて、ゼラチン状態にしたもので、高価な生薬部類です。鹿は角以外に、しっぽも漢方薬として使います。頑固な腰痛治療で効果が良いそうです。以下の漢方薬症例で説明しているので、どうぞご覧ください。
鼠径部のしこりは、陽気を強化することで自然に消える
鼠径部のしこりは、おそらくリンパ節の腫れだと思われます。病名はどうでもいいですが、中医学の考え方では陽気が十分回れば、しこり(陰の塊)も消えます。陽気は内臓のパワー、エネルギー。内臓がちゃんと動けば、老廃物の塊もできないわけです。
上記の患者さんの症状を見ると、明らかに陽気が少ないです。
- 生理前に非常に疲れる。
- 夜間頻尿。
- 脈は微。
この3点だけでも、十分な証拠になりますね。
処方箋を見ると、陽が明らかにメインになっています。処方箋の名前も「陽和湯」で、「陰和湯」を使ってないでしょう?冗談です、「陰和湯」という処方箋はありません。
生理前の疲労感、鼠径部のしこりは足つぼ整体・鍼灸でも治せる
生理前になると非常にだるい、疲れる症状は足つぼでも治せます。過去記事があるので、参考にして下さい。

鼠径部のしこりではないですが、腫れて痛いのを数回の鍼で治した例がありました。以下の記事、参考になると幸いです。
原因不明の場合は、中医学治療を受けるべき
上記の患者さん、西洋医学が原因不明だと言って、治療してないのが幸いだったかも知れません。下手な治療より放置したほうが、後々の漢方医が治すのが楽ですから。
いろんな薬を飲んで、何回も手術をした後だと、なかなか治りが悪いです。内臓が毒まみれになり解毒作業が必要だし、経絡がメスで切られ、つなげるのが病気治療よりも大変。
原因不明だと言われた時は、先に中医学の治療を受けるべきです。
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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