こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の文章を翻訳しました。
精神的不安が原因で、生理が4ヶ月来ないのを漢方薬4日で治した例をもとに、生理が来ない原因2つを説明しました。参考になると幸いです。
中国語本文のリンク先は、
(2012-11-21 04:38 発表)
海外生活の不安で、4ヶ月も止まった生理を4日の漢方薬で治した
夏休みのある日、一人女の子と彼氏が一緒に治療に来ました。
女の子は可愛い顔で、スタイルが良い、話し方も女の子らしくて礼儀正しい人でした。
女の子が言うのは、「生理が4ヶ月も来てない!」
ちなみに、4年前も同じ事が起きたそうです。
「なにがきっかけで、生理が止まったと思いますか?」
「たぶんアメリカに来たばかりなので、精神的に不安だからだと思います。」
お~~こんな状況はよくありますね。
精神的に不安になるのは、生理周期が乱れる最も多い原因です。
脈診してみたら、弦長。
舌診では薄い赤、舌苔は白で腻。
見た感じでは柴胡症ですね。
「睡眠はどうですか?」
「よく寝れません。」
「咽は渇きますか?」
「あまり渇かないです。」
「食欲はどうですか?」
「まあまあります。」
「口の中が苦く感じますか?」
「うん~~~あります。」
「気持ち悪い時がありますか?」
「たまにあります。」
【李哲の説明】
食欲、喉の渇き、睡眠など聞くのは、中医学の問診項目。
なぜ自覚症状を聞くのかは、中医学の健康基準に食欲・睡眠などの標準があるからです。
詳しく説明したのは、以下をご覧ください。
簡単健康チェック6項目で、毎日自分の健康状態が分かる【中医学の理論】
どんどん柴胡症に見えてきました。
確認のために、腹診をして見ました。
みぞおちあたりを押したら、女の子はすごい辛い表情。
これは典型的な柴胡症ではない。少なくも体質は柴胡症ではないです。
しかし、症状から見ると柴胡症である。
私は何回も考えてから、体質の事を無視して症状を根拠にして、大柴胡湯を処方しました。
柴胡,黄芩,半夏,生姜,なつめ,芍薬,枳実,大黄,益母草,澤兰,当帰。5日分。そして、飲んでから下痢になると先に伝えました。
大柴胡湯の応用例は以下の記事もあるので、参考になると幸いです。
数日後、女の子の彼氏から電話が入りました。
「鄭先生、この漢方薬すごいですよ!」
私はすごいと聞いて大喜び、てっきり治ったと思いました。
ところが、彼氏が言うのは「下痢がすごいです。。。」
私の気持ちは180度変わり、彼氏に聞きました。
「生理は来ましたか?」
「まだ来てないです。」
私の心の中では、いろいろ不安が生じました。
当時は大柴胡湯の体質ではないのに、処方した時も躊躇したけど、やはり下痢がすごかった。
そして、私は教えました。
「残りは飲まないで、もう一度来てください。処方を変えます。」
女の子はまだ2日分が残っているそうです。
数日後、彼氏からまた電話が入りました。
「彼女がもう1日飲んで生理は来ましたよ。残りの漢方薬はどうしましょうか?」
たくさんの患者さんは、お医者さんの指示を守らないですね。もったいないから最後まで飲んじゃう。もしくは、2日の漢方薬を1日で飲んじゃう。
私は彼氏に話しました。
「飲まないでください。彼女を連れてきたら、処方を変えます。」
数日後、女の子が来た時、3日の四物湯+香附子+烏薬+益母草+延胡索。ほかには、3日の黄耆桂枝五物湯を処方しました。
黄耆桂枝五物湯は、下肢静脈瘤の治療でも、著しい効果があると書かれています。以下の記事、参考になると幸いです。
昨日、女の子と彼氏がまた来たので、女の子の生理問題だと思って、脈診しようと思い彼女を呼びました。
そしたら、彼女はニコニコ笑いながら、「今日の患者さんは私ではなくて、彼氏ですよ。」
「え?生理は大丈夫ですか?」
「もうすでに治っています。ありがとうございます。」
李哲の解釈:生理が来ないのは、2つの原因がある
上記の女の子、症状を見る限り大柴胡湯は合わないと思います。
大柴胡湯の主な症状は、必ず便秘があるから。
処方の組み立ては、とても難しいです。
判断する方向性が間違えると、効果があるところか激しい下痢になったり、気力を失うから。
生理が来ない理由は、おおむね2つあります。
①血虚証(血が足りない)。
生理は血液をもとにしているので、血が足りないともちろん生理も来ません。
血虚証の女性は、一般的に痩せ型が多いですが、太っても血虚証の方がいるので、臨床ではほかの自覚症状で区別する必要があります。
治療としては、胃腸・肝臓・心臓などの臓器を強化して、血液がたくさん作れるようにするのが肝。
②血が足りるけど、どこかで詰まっている。
(瘀血もしくは気の渋滞で、つまりが生じている)
資源はあるけど、子宮までのルートにつまりが生じた場合、血液が届かないので、もちろん生理が来ません。
気持ちが不安に落ちると、気の流れが乱れたり、気のつまりが起きます。鄭先生が話したように、生理不順の大きな原因です。
治療としては、瘀血を溶かして気の渋滞をなくし、血液が通常のルートに沿って子宮まで行けるようにすること。
上記の女の子、①の原因だと思います。
だから、血を養う四物湯で効果があったでしょう。
四物湯は氷食症治療にも有効でした。
以下の記事、どうぞご参考に。
鍼治療の場合は、医食同源の漢方薬と違うので補うのは、漢方薬ほど強くないです。
鍼灸でできるのは、消化系を強化することで、自ら食べ物をもっと吸収して血を作ること。漢方薬より一歩遅いイメージですが、それでも臨床で見ると効果は強い。
特に若い人に鍼した時、即効性は著しいです。
以下は一つの鍼治療例、参考にしてください。
生理が来ない原因が血虚証であろうと、気のつまりであろうと、漢方薬・鍼灸はみんな解決できます。副作用なしで。
生理不順、生理痛などの不調がありましたら、近くの鍼灸医・漢方医に治してもらってください。
◆がん性皮膚潰瘍が治り、新しい肉が再生された乳がん患者【画像あり】
◆3ヶ月も続く不正出血と咳(初期の肺がん)を、漢方薬3ヶ月で治した例
◆生理の量が多いのは6回で半分以下になり、首こり・肩こりも昔の5分の1になった
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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