こんにちは、李哲です。
膝痛と椎間板ヘルニアで、手術を受ける方がいるかも知れません。
「手術はしたくない!外の方法はないのか?」
そんな方のために、半年も治らない膝痛、椎間板ヘルニアからくる腰痛を改善した鍼治療例を書きました。8千文字の長文ですが、参考になると幸いです。
腰と膝が痛くて、まともに歩けない患者さん
女性、60代。
彼女の主訴は、去年の12月から腰と膝の痛みがつらくて、ちゃんと歩けない。
彼女が書いた10個の質問表。気になるところを引用します。
- 夢はいつも見ている。
- 夜中トイレに1~2回は行く。
- 最近あまり食べ物がすごく美味しく感じない。(運動ができないからかも知れません)
- 冬は特に寒く感じる。足が特に冷たい。
他の気になる症状は以下のとおり。
- 5年前に右の腰が痛み、骨盤に神経が触っていると言われました。
- 2015年12月に椎間板ヘルニアだと診断され、右の腰の4と5の間。右膝が痛くて歩くのにきついです。寝ているときも膝が痛くてあまり眠れない。
- 以前、背骨が曲がっていると言われ、背中が痛むときがあり姿勢が悪い。
- 胃があまり丈夫ではない。
- 風邪も引きやすい。
- 甲状腺にのう胞ができていて、1年に1回の検査を受けている。
- 季節の変わり目に顔にほてりが出て、血圧も少し高め。
私はほかの症状も尋ねました。
彼女が言うのは、「昔、産後に冷えて膀胱炎になったことがある。冷え症は若い頃からあった。首肩のコリが気になる。2年前に胃が重い、胃の不快感で検査したら、ピロリ菌が見つかり薬で除菌。除菌のあとは、たくさん食べても胃の不快感は出なくなった」(ピロリ菌の詐欺話は、後で暴露します)
膝痛のために彼女はシップ薬.漢方薬…色々試したけど、半年経っても良くならない。当院に来たときは、右足を引きずりながら入って来ました。痛む場所は右膝の中。
私が指で押すと骨まで響いて痛がるので、ただの筋肉損傷ではなくて、骨までダメになっていると判断しました。つまり、初期の骨粗しょう症とも言える。
臨床でたくさん見られるのは、病院の薬に騙された女性。彼女たちは数十年も飲んだから、最後は病気になっているのです。以下は一つの症例、参考になると幸いです。
原因不明の膝痛、お尻の骨が痛いのは、初期の「骨粗しょう症」
初期の骨粗しょう症は、病院の骨密度を測る機械では分かりません。しかし、数値に出たときは、すでに遅いです。
体に何かしらささいな異常があっても、患者さんは必ず自分で分かるはず。中医学が判断の根拠にしているのが、患者さんの自覚症状です。
ニハイシャ先生1は話しましたが、骨の密度が下がった(初期の骨粗鬆症)時は、お尻の痛みが生じる。正確に言うと、大転子周辺が痛くなります。あとは、ケガもしてないのに膝が痛くなる。右膝から始まるのが多い。
骨粗しょう症が良くなった判断基準
中医学では先進な検査機械もないのに、どうやって骨粗しょう症が良くなったと判断するのか?
上に書いてあります。
①膝痛が良くなる
②おしり(大転子周辺)の痛みがなくなる
この2つの症状が良くなればいいです。ほかにまた関連する自覚症状があるけど、とりあえず分かりやすい痛みから説明しました。
骨に響いて痛いのは、回復するのにとても時間がかかります。一般的な筋肉損傷と違うので。もし彼女が痛めてすぐ来れば、もっと早く治るかも知れないけど、すでに半年の無駄な治療をしていたので、回復には時間がかかるのです。彼女にも伝えましたが、最低2~3ヶ月くらいはかかる。
骨の密度が上がったのは、痛みの軽減から判断できるし、腎臓.膀胱の役割からも判断できる。例えば尿の色、勢い、回数、全体的の体力。
彼女は夜トイレに行く症状があります。
夜間頻尿がゼロになったら、腎臓と膀胱の機能が良くなっている事を証明します。
西洋医学の先生は、「女性ホルモン剤は骨粗しょう症の予防になる」と言いますが、騙されないでください。女性ホルモン剤を長年飲むと、あなたの骨はボロボロになります。詳しくは以下の記事に書いてあるので、ぜひご覧ください。
鍼治療してからの変化
以下は彼女が鍼を受けたあとの記録と、私の説明です。
膝痛が少し緩和し、大量の尿がスッキリ出た
最初に刺したツボは以下のとおり。
肺兪、心兪、脾兪、胃兪、腎兪、京門、陰谷、委中(補法)、後渓、申脈、たいちゅう、風池、天枢、関元、巨闕、中脘、神門、内関穴、膝五鍼。膝五鍼の説明は、以前の記事をご覧下さい。
鍼をするとき、「響きは我慢できますか?」と聞いたら、彼女の答えは「膝が良くなるなら我慢する!」
鍼が終わったら、引きずる右膝は少し良くなって、大量の尿がスッキリ出ました。いつもの尿はチョロチョロ。
施術が終わってお茶を飲む時、彼女は涙きながら話しました。
「自分の膝は、永遠に治らないと思いました。親は死ぬ前に膝が悪くて、四つん這いで行動。自分も死ぬまで四つん這いになるかな?と心配していました」
私は「必ず良くなるからやってみて」と話すしかなかったです。
2日後、2回目の鍼に来ました。
彼女の報告は以下のとおり。
- 仰向けで寝るとき、前は右膝が地面につかなかったけど、今は地面に着く。
- 右膝の内側面の痛い範囲が減った
- 頻尿の回数が減った。
- 夢はまだみる。
- 食べるのは普通。
刺したツボは、1回目のを少しアレンジ。
2日後、3回目の鍼に来ました。
彼女の報告は以下のとおり。
- 膝痛はまだある(右膝の痛み>左膝の痛み)。今日は膝より腰の痛みが気になる。
- トイレに行く回数は減った。
- 夢はまだみる。
刺したツボは、ほぼ同じ。
大腸兪穴など追加。
膝痛は3割減って、腰痛はほとんど消えた
3日後、4回目の鍼。
彼女の報告は以下のとおり。
- 膝痛はまだあるけど、3割くらい減った感じ。
- 腰痛はほとんど消えて、たまに気づくくらい。
- トイレに行く回数は増えてない。昨日は夜中に1回もトイレに行ってない。
膝痛は施術後、1日経ってから楽になる感じがする。
昨日は家にいたとき、全然痛くなかったそうです。
1日後、5回目の鍼。
彼女が言うのは、「昨日は夜中にトイレに1回」
なぜか、鍼した後に右の偏頭痛が起きるというので、今回は予防のために百会、太衝を刺しました。まれな例かも知れませんが、1回で偏頭痛が改善するケースもあります。以下の症例、どうぞご覧ください。
膝の中がうずくて寝られないのは治った
4日後、6回目の鍼。彼女が言うのは、膝痛、腰痛(特に左側)はまだある。でも、膝の中がうずくて寝れないのはなくなった。夜中にトイレに行くのは1回。
前回、右の偏頭痛の予防として刺したツボ。その日は起きてないけど、翌日に起きたら偏頭痛が起きて、ツムラの3番を飲んで治ったそうです。
2日後、7回目の鍼。
彼女が言うのは、夜寝る前にお茶を飲む習慣を止めたら、夜中にトイレに行かなくなりました。この2日は夜中にトイレに行ってない。昨日は夜9時から朝3時半までよく寝れた。夢はまだみたかも知れないけど覚えてない。
右膝痛の範囲は更に縮まり、内膝眼から陰陵泉穴少し上になりました。歩くのは前よりだいぶ良いけど、膝痛はまだある。
昨日、右の偏頭痛が再発して、ツムラ漢方薬3番を飲んだら30分で治ったそうです。
針をしたあとに、偏頭痛が出るのは肝臓が解毒して、胆嚢の経絡に影響が出るからだと教えました。彼女はいろんな西洋薬を飲んできたから、肝臓には隠れた毒素がたくさんあります。
内臓が元気になるとともに、解毒作業が始まるので、針をしたあとに右の偏頭痛が起きます。何回か偏頭痛が出て、肝臓の解毒作業が落ち着けば、偏頭痛も出ないと思います。
逆流性食道炎の諸症状は治った
彼女が気にしていた逆流性食道炎の症状も最近は治ったみたいです。だから、逆流性食道炎のための西洋薬も飲んでない。
彼女は始めに来たとき、漢方薬以外に逆流性食道炎のための西洋薬も飲んでました。
私は西洋薬を断固拒否。
鍼で胃は良くなるので、病院の薬は要りません。
今まで1番ひどい胃痛患者さんがいましたが、それでも鍼ですぐ収まりました。詳細は以下をご覧ください。
彼女は昔、ピロリ菌の除菌をした事があります。その時は、ピロリ菌で胃がムカムカすると言われた。除菌してきれいになったはずなのに、胃は治ってないです。今でも逆流性食道炎はあるので胃がムカムカします。これで分かりますが、「ピロリ菌で胃がダメになる説」は間違いです。
逆流性食道炎がある人は、先に食べ物を変えないといけません。
特に人工的な甘いもの.コーヒー.清涼飲料水などはダメ。
膝下が重いのは治り、歩きがすごい楽になった
8~10回目は特に変わったことがないので、記載しない。
11回目の報告:
10回目のとき、違う思考のツボを刺したら、「今までと違って歩きがすごい楽です」と言ってました。鍼した後に、右の偏頭痛にはなってないけど、ぼんやり重い感じがする。ツムラ漢方薬3番は飲んでない。「右膝下の重い感じがなくなって、とても良かった」と言ってました。
膝痛は当院の患者さんに多い症状です。
以下はもう一人の治療例なので、参考にしてください。
ただし、彼女の尿色がまだ透明。
朝一番の小便は黄色。
これはまだ下腹部が冷えている事を証明します。
腎臓.膀胱などの機能が良くなった時、小便は薄い黄色になります。
歩くとき、足が進めるようになって、夜間頻尿は治った
12回目、彼女の報告。
- 右膝の内側の痛みはだいぶ良い、今日は膝より腰の痛みが気になる。
- 乾いた咳が続く。
- 歩く時に足が進めるようになった。
- 夜中にトイレに行くのは治った。昼間にトイレが近いのも回数が減った。
- 最近は腸がよく動いているせいか、おならがよく出る。
膝痛は5割減った
13回目の鍼。
彼女が言うのは、昨日は天気が悪かったせいか右膝痛は増加。でも、膝痛は以前の5割まで減っている。夜はトイレに行ってない。5時間くらいはよく寝れる。
腰痛は左側>右側。
右足は曲げると、大腿部の外側が腫れている感じがする。
詳しい場所は、風市穴のあたり。
膝痛は鍼治療の効果は著しいです。
以下は一人の治療例、参考にしてください。
14回目の鍼。
彼女の報告:
夜中にトイレに行くのはなくなった。
昼間のトイレも回数が減ってる。
夜、膝がうずくて痛くて寝れないのは完全に消えた。
昨日は膝の調子がとても良かった。
最近の小便の色は薄い黄色。
色が薄い黄色になったのは、腎臓と膀胱の機能が回復した事を証明するので一安心です。
痛くて曲がれなかった右膝、真っ直ぐに伸ばせるようになった
15回目の報告:
右膝痛はまだあるけど、立っているとき、右膝は左膝と同じように真っ直ぐになった。以前は、痛くて右膝は曲がったまま。右膝の力が弱くて、片膝で立ち上がる時は何か掴まないとダメ。腰痛は少しあるくらい。
先週の土日は全然痛くなかったので、もう治ったと喜んでたら昨日の夕方から痛くなり始めました。腰は座位から立ち上がる時、つらいそうです。2日前に寝違えたのか、首肩が痛い。
彼女は施術後によく軽く咳をするので、聞いてみたら「喉に痰が絡む感じがする」と言ってました。
治療には、いつものツボと董氏奇穴の組み合わせ。刺絡も入れて。帰りに彼女は、「首肩が楽、この1週間は鍼した後に偏頭痛は出てないです」と言ってました。
これで、肝臓の中の毒素の処理が一段落つきたと思います。
将来、また偏頭痛が発作するかどうかは分かりませんが。
17回目の報告:
寝違えたのは前回の施術後の翌日に治ったそうです。
一般的に寝違えは、1回の鍼で効果が現れます。多くても2~3回で治る。以下は私自身の治療例、参考になると幸いです。
膝痛はまだあるけど、今日は駅から本院まで歩いて来るのは痛くなかった。
今日、刺した董氏奇穴の三叉三。
鼻通りがよくなり、痰が絡むのも減った感じがするというので、ほかの迎香穴などは刺してない。
8千歩まで歩けるようになった
2日前、8千歩歩いても膝痛がなかったので治ったと喜んでたら、1日前から痛くなった。以前は4千歩が限界だったそうです。今日はゆっくり歩いて来たら膝痛はない。
軽い咳とまだある。
小便の色は薄い黄色。
胃の不快感も出てない。
腰痛は起立する時に少しあるくらい。
右膝のズキンズキンする痛みは、ほぼ治った
22回目。
彼女の報告:
右膝は歩く分には大丈夫。
歩く時にズキンズキンと骨に響く痛みは、ほぼなくなった。
指で強めに押すと圧痛はまだある。
右膝の外上部、まだ腫れている感じがする。
右足は上げるとき、右膝の外上部に違和感(痛み?)があるので、いつも左膝を先に上げるそうです。
小便はもうOK。
夜中もトイレに行かない。
咳と痰は多い。
季節の変わり目にはよく鼻水.痰が絡む。
五行堂の漢方薬をけっこう飲んでいるみたいです。
前回の針をしたあとに、鼻水と痰が絡むのはなくなったけど、翌日からまた再発。今日は右膝痛が少し気になるけど、それより右膝の外上部が気になる。(右腰から右大腿部まで)
鼻水、くしゃみなどの症状に鍼治療の効果はとても良いです。以下は一人の治療例、参考になると幸いです。
25回目の報告
右膝の外上部の腫れる感じはなくなった。
痰が絡むのと、軽い咳は変わらない。
右膝痛は少し気になる。
彼女の変化を見ると、最初の膝痛の主訴が徐々に薄くなり、ほかの症状が主訴に変わりつつあります。これは良いことです。
右膝は曲がって、正座ができるようになった
28回目、彼女の報告:
右膝痛はまだ少しある。
階段を降りる時に少し骨に響くけど、昔よりだいぶ良い。昔は右膝を曲げると痛くて、正座もできなかったけど、今はある程度できる。痰が絡むのと軽い咳は変わらない。
29回目の報告:
昨日は6~7時間くらいよく寝れた。でも、寝るとき右膝を圧迫して寝たのか、今朝起きたら右膝痛があって、自分で痛いところにお灸したら治ったそうです。
鍼で不眠症を治し、睡眠の質を変える効果は言うまでもないです。以下は一つの治療例、参考にしてください。
ストレスで「喉に痰がからむ」特別な症状
30回目、彼女の報告:
4000歩以上歩くと、お尻の後ろから大腿部の後ろ側.外側にかけて少し痛い。足が重だるくなる。右膝の内側は痛みより、響く感じがする。痰が絡むのと軽い咳はまだあり。
話を聞いたら、彼女は悩み事があるそうです。他の人にはあまり言えないもの。だから彼女は、この特別な症状があります。
『傷寒雑病論』には書いてますが、これは「半夏厚朴湯」 の症状。
喉に痰が絡む、喉が詰まる感じがする原因は、悩み事があるのに言えなくて気が詰まるからです。本当の見える痰ではなくて、気持ちの「気」です。だから、痰を取り除く薬では治せない。
一番の治し方は、胸に詰まっている内容を全部話してスッキリすれば治りますが、うまくできないのが現状。
困りました。
私の鍼レベルで完全に治すのは難しいけど、できる限り頑張ります。
気持ち.感情の変化が内臓に与える影響は、軽く見るとダメです。場合によっては、猛毒の抗がん剤よりも強い。だから、私は患者さんに不安と恐怖を与える西洋医学の診察.治療が相応しくないと思います。
「あなたの余命は半年です」
「あなたの病気は永遠に治りません!」
「死ぬまで薬と、うまく付き合いましょう」
… …
自分が治せないなら、ほかの治療法を試すことを勧めて、このような発言もしないでほしい。ニハイシャ先生は、もっと強烈な言葉で叱りました。詳しいのは以下の記事をご覧ください。
おわりに
彼女の治療を振り返って見ると、30回までは3ヶ月かかりました。毎週2回以上の鍼をして。私の鍼がもっとうまかったら、患者さんの苦痛も早めになくなったですが…
- 最初の鍼治療では、右膝痛が徐々に楽になり、右足を引きずるのはなくなりました。
- 夜間頻尿治り、昼間の頻尿症状が消えました。
- 尿の色は透明から、正常な薄い黄色に変わり。
- 腰痛はたまに気づくくらいまで改善。
その代わり、以前気にしてないものが気づき、今の主訴に変わっています。右膝痛以外に、痰が絡むのと軽い咳。
主な痛みがなくなったら、2番めに痛いところが分かるようになる。痛みがなくなったら、今度はほかのところが気づくようになる。
これが治療していく上に、逆戻りという段階です。
完全に痛みと不調が消えるまでは、もう少し時間がかかりそうです。今日はとりあえずここで一段落つき。またなにか変化がありましたら、記事にします。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
(おわり)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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