慢性白血病とは?症状と漢方治療の可能性
こんにちは、李哲です。
慢性白血病は、血液中の白血球が異常に増える疾患で、低熱、全身の倦怠感、体内寒気が主な症状です。西洋医学では抗がん剤や骨髄移植が一般的ですが、体への負担が大きく、副作用に悩む患者も少なくありません。
一方、漢方薬は五臓六腑のバランスを整え、症状を自然に改善する選択肢として注目されています。中医学では、慢性白血病の症状は「気血不足」や「陰陽の不調和」が原因と考えられ、個々の体質に合わせた処方で根本改善を目指します。
この記事では、スタンフォード大学博士の李宗恩先生1が治療した44歳男性の症例(中国語原文はこちら)を紹介。慢性白血病 症状や白血球多い 疲れやすいといった悩みに対する漢方薬の効果、漢方薬と西洋薬の比較、そして漢方治療のメカニズムを詳しく解説します。
症例:慢性白血病の男性(44歳)の症状と経過
患者プロフィール
- 年齢:44歳、男性、中国人
- 診断:数年前に慢性白血病と診断
- 主な症状:
- 白血病 発熱(午後3~4時から低熱、全身倦怠感)
- 体内が寒く、体外は熱くイライラ
- 運動後の呼吸困難、咳(白い痰)、顔面・唇の蒼白
- 30代からの白髪、右眉毛の白化、耳鳴り
- 夜間頻尿(5~6回)、下痢、口渇(冷水を飲むとむせる)

初診日:2013年1月4日
患者は1年前から症状が悪化し、漢方治療を希望。西洋薬でのコントロールが不十分だったため、自然派の治療法を求めて李宗恩中医師を訪れました。
問診内容と漢方処方箋
問診のポイント
- 寒熱:手足の冷え、体が寒がり
- 汗:汗かき、過去に寝汗あり
- 睡眠:低熱・倦怠感の発作時は寝付けず、夜間頻尿(4~5回)
- 食欲:ベジタリアン、発作時は消化不良
- 便・尿:発作時は下痢(1日2~3回)、尿に泡、発作時は尿量減少
- 脈診:洪大有力、浮
- 舌診:白い舌苔、少し乾燥、痰あり
処方箋
生トリカブト(附子)、乾姜、加工トリカブト、石膏、炙甘草、梗米、細辛、烏薬、なつめ、党参、補骨脂、澤瀉
特徴:温める生薬(トリカブト)と冷ます生薬(石膏)を組み合わせ、体内バランスを調整。トリカブトは猛毒を持つ一方、適切な加工と専門医の管理下で使用すれば、気血を補い、体を温める強力な効果を発揮します。この処方は、患者の「体内寒気」と「低熱」の両方を同時に改善する中医学の高度な技術を示しています。

治療の経過:低熱・咳・倦怠感の劇的改善
2013年1月14日(再診)
成果:漢方薬服用後、体内寒気と咳が大幅改善、低熱も消失。患者は「体が軽くなった」と報告。夜間頻尿は継続、足のむくみは残る。
処方継続:同じ生薬で調整。
2013年1月21日(再診)
成果:低熱発作が完全消失、寒がり解消、夜間頻尿が3回→2回に減少。心臓の動悸も改善し、患者は「以前のように運動を楽しめるようになった」と喜びの声を上げた。
新たな処方:炙甘草、生姜、桂枝、人参、生地、麦門冬、麻子仁、なつめ、瓜簍実、薤白、枳実、アキョウ。
2013年1月28日(再診)
成果:3週間発作なし。夜間頻尿・便通改善、ガスのたまりも減少。朝の心臓鼓動感や手足の冷えは軽減。患者は「夜ぐっすり眠れるようになり、日常生活が楽になった」と報告。
処方:桂枝、炙甘草、枳実、薤白、瓜簍実、生トリカブト、白朮、乾姜、茯苓、防已、黄耆、牡丹皮、川芎。
漢方薬と西洋薬の比較
慢性白血病の治療における漢方薬と西洋薬の違いを以下にまとめました。
項目 | 漢方薬 | 西洋薬 |
---|---|---|
治療アプローチ | 五臓六腑を強化し、体質改善を目指す。症状の根本原因を調整。 | 異常な白血球を抑制(抗がん剤)や骨髄を置換(骨髄移植)。 |
主な治療法 | 生薬の組み合わせ(例:トリカブト、石膏)。個々の体質に合わせた処方。 | 抗がん剤(化学療法)、骨髄移植、免疫療法。 |
効果の特徴 | 低熱、倦怠感、咳などの症状を緩和。全身のバランスを整えQOL向上。 | 白血病細胞の増殖抑制や根絶を目指す。効果は強いが副作用も顕著。 |
副作用 | 体への負担が少なく、副作用は最小限。 | 吐き気、脱毛、免疫力低下、感染症リスクなど。 |
治療期間 | 体質に応じ、数週間~数ヶ月で効果が現れる場合も。 | 数ヶ月~数年にわたる治療が必要。骨髄移植は準備期間も長い。 |
課題 | 専門知識を持つ中医師が必要。効果には個人差あり。 | 適合する骨髄ドナーが見つからない場合や、抗がん剤が効かない場合のリスク。 |
例 | 本症例:2週間で低熱・咳・倦怠感が改善。 | 抗がん剤で白血球数をコントロールするが、倦怠感や発熱が残る場合も。 |
漢方薬のメリット:体への負担が少なく、症状の緩和と共に生活の質が向上。たとえば、本症例では患者が運動や睡眠の質の改善を実感。
西洋薬のメリット:白血病細胞を直接攻撃し、進行を抑える効果が強い。ただし、副作用による生活への影響が課題となる場合も。
李哲の解説:漢方薬の強み
慢性白血病の主な症状
- 長期的な低熱(高熱ではない)
- 全身倦怠感
- 体内寒気
この患者は、上記に加え咳や夜間頻尿など多様な症状を抱えていましたが、わずか2週間で劇的改善。中医学では、慢性白血病の症状は「脾腎の虚弱」や「気血の停滞」が原因と考えます。漢方薬は、脾臓や腎臓の機能を高め、気血の流れを改善することで、低熱や倦怠感を根本から解消します。この症例では、患者の体質に合わせた生薬の組み合わせが、短期間での効果をもたらしました。
処方箋の特徴
李宗恩博士の処方箋は、生トリカブトと石膏という相反する生薬を組み合わせた高度なもの。一般的な中医師では難しいこの技術は、患者の「寒熱錯雑」(体内が寒く体外が熱い状態)に精密に対応。トリカブトは毒性を持つため専門医の管理が不可欠ですが、適切に使用すれば強力な温補効果を発揮します。
漢方薬の安全性と専門医の重要性
漢方薬は副作用が少ないとされますが、生トリカブトのような強力な生薬を使用する場合、専門知識を持つ中医師による管理が必須です。李宗恩博士のような経験豊富な医師は、脈診や舌診を通じて体質を正確に把握し、適切な生薬の量と組み合わせを決定。自己判断での漢方薬使用は危険を伴うため、信頼できる中医師に相談しましょう。本症例では、専門的な処方により副作用なく低熱や咳が改善しました。
漢方薬と西洋医学の選択肢:あなたに合うのは?
西洋医学
- 適する場合:白血病の進行が速い場合や、明確な白血球異常を抑える必要がある場合。
- 課題:副作用(吐き気、脱毛、感染症リスク)や骨髄ドナーの問題。
漢方薬
- 適する場合:低熱、倦怠感、咳などの症状を緩和し、体質改善を目指したい場合。
- メリット:副作用が少なく、QOL向上。運動や睡眠の質が改善し、日常生活が楽に。
- 例:脾臓の腫れや倦怠感を改善した症例(詳細はこちら)
まとめ:慢性白血病の新たな選択肢
慢性白血病の低熱、倦怠感、咳などの症状に悩む方へ。漢方薬は、西洋医学以外の有効な選択肢です。李宗恩博士の症例では、短期間で多様な症状が改善し、患者は「運動や睡眠が楽になり、人生が明るくなった」と語りました。漢方薬は体への負担が少なく、生活の質を向上させる可能性を秘めています。
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慢性白血病 治療を検討中の方は、ぜひ漢方薬の可能性をチェック。信頼できる中医師に相談し、最適な治療法を見つけてください。
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
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