こんにちは。李哲です。
北京中医薬大学の教授:郝万山先生の治療例を翻訳しました。 有毒ガスで中毒症状が起きた時、漢方ではどう治療したか?記事を読めば分かると思います。
たとえば消防署が救助活動を行うとき、漢方薬を常備薬として扱うようになれば、ガス中毒で死ぬ人も減るでしょう。単なる私の思い込みですが、有識者が導入することを願います。
最初は簡単に、本文に出てる二人の先生を紹介します。
劉渡舟(1917—2001)
現代中医学領域で有名な学者.漢方医.教育家。
元北京中医薬大学の教授。近代中医学の業界で、有名な漢方医です。
郝万山(1944年11月出生)
名門の北京中医薬大学を卒業。現在は北京中医薬大学教授。博士課程を指導する先生。
ガス漏れ事故に遭った患者たち、高熱、嘔吐、昏睡、呼吸が苦しい症状が現れた
1970年代、学校の先生たちは河北省のある小さな都市で、西洋医学の先生のために中医学講義をやってました。
ある日、その地区の化学工場で火災が起きて、同時にたくさんの有毒ガスが漏れ、消火に参加した60人くらいが中毒になりました。
この有毒ガスは、かなり強かったです。呼吸道に入って、肺に水がたまって、粘膜が腫れている人もいれば、食道粘膜と胃粘膜が腫れている人もいました。ひどい患者は高熱、昏睡、呼吸が苦しい、胸痛などの症状がありました。
当時の北京協和医院.天津の大きな医院.唐山地区医院の先生たちは、みんな工場に集まって緊急救命を始めました。
どんな毒物で中毒になったか、西洋医学の先生たちは知っていました。しかし、その時は特効薬がなかったです。だから、対症療法しかできませんでした。
呼吸が苦しい患者は、酸素を与える。
嘔吐でご飯が食べれない患者は、点滴をする。
2~3日治療しても、患者たちの高熱.呼吸が苦しい.胸が痛いのは改善できませんでした。
中医学治療を探しに来た西洋医学の先生たち
西洋医学の先生たちの1人が、北京中医薬大学の先生がここで講義をやってることを聞いて、車で探しに来たのです。一緒に工場へ向かっている途中、西洋医学の先生は話しました。「今度の工場失火で、○○○○毒ガスが漏れています」
毒物の名前は長過ぎて、覚えられないくらい。そして、「○○○○中毒。あなた達の中医学歴史では、なにか解毒法はありますか?」と聞かれました。
聞いたこともない毒ガスの名前で、私は慌ててました。どうしよう…しかし、隣の劉渡舟先生は何も言わず座っているだけでした。
工場現場に着いてみたら、患者たちはみんな簡易テントで寝てました。当時、この化学工場は機密現場だったので、患者たちを遠い病院には運べなかったです。
小柴胡湯+小陥胸湯で、ガス漏れ事故に遭った患者ら60人が全員治った
劉渡舟先生は私達を連れて、患者を何人か診たけどみんな同じ症状。そして、劉渡舟先生は私の耳元で小さな声で言いました。
「嘔而発熱者,小柴胡湯主之」。
「正在心下,按之則痛,小陥胸湯主之」。
私はすぐ分かりました。
これは、小柴胡湯 と小陥胸湯 の組み合わせで治療する意味。そして処方箋に書いたのは、柴胡2000g、黄芩1000g……
皆さん驚かないでください。
中毒した患者さんは60人ですよ。だから、2000gの量は全然多くないです。
煮るための鍋は、工場で使っている大きな炊飯用の釜。煮出した後、起きてる患者にはそのまま飲ませ。昏睡状態の患者には、注射器で胃に注入。軽い症状の人はその日に嘔吐が止まり、高熱も下がりました。
私の印象に残ってるのは、昏睡が一番ひどい患者、4日後に目が覚めました。彼は火災中心部で活動したので、中毒が一番ひどかったわけです。
中医学は呪文で病気を治すのか?
60人の患者を簡単に救ったあと、西洋医学の先生は私に質問がありました。
「中医学は呪文で病気を治すのですか?」
その先生の意地悪、私はすぐ察知しました。
「なんの意味ですか?」
西洋医学の先生は、「その日、劉先生があなたの耳元で何か読んだでしょう?読んだ後、何も相談しないですぐ処方箋を書いて。劉先生は一体なんの呪文を言ったのですか?」
お~~
私は彼に教えました。
「劉先生が読んだのは、『傷寒雑病論』の条文です」
彼「もう1回読んでもいいですか?」
私「OK。
嘔而发热者,小柴胡湯主之。
正在心下,按之則痛,小陥胸湯主之」
処方まで書いてあげたら、彼の両目が点になりました。
「この2つの処方で、ひどいガス中毒が治りますか?!」
私「中医学は症状によって処方するから、ガス中毒かどうかは気にしません!」
毎年の正月、挨拶に来ている患者
この事件は何年も経っているけど、火災中心部で倒れた中毒が一番ひどくて、昏睡時間が一番長かった若者。彼は毎年の旧正月、北京に来て劉先生に挨拶をしてました。
彼が言うのは、「劉渡舟先生は命を助けてくれた恩人、私の二人目の親です」
(おわり)
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