大量性不正出血が治らないのは黄耆が原因。膠姜湯加減で止血できた症例。

突然の大量出血、動悸、息苦しさ。輸血しても止まらなかった原因は、まさかの「漢方薬」でした。

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大量性不正出血で動悸・息苦しさ|月経量が急増した女性の症例

2025年6月30日、患者が「今回の月経量が異常で、少し多すぎるから、漢方薬で治療したい」と言いました。その後、私は膠姜湯に東阿阿膠10gを加えたのを処方しました。

東阿阿膠の黒い箱パッケージの写真
東阿阿膠(とうああきょう)は出血を止める代表的な生薬。

7月3日、患者から「先生の漢方薬をまだ服用していない」と連絡がありました。理由は、別の医師から処方された漢方薬がまだ残って、それを先に飲み終えてから私の処方を飲みたいということ。「どう組み合わせたらいいかわからない」と話しました。

7月7日、突然月経量が大幅に増加し、彼女はめまいと脱力感を感じ、私の中薬を飲み始めました。病院で検査したところ、血色素(ヘモグロビン)が49g/L。(成人女性の血紅蛋白正常範囲は一般的に110-150g/L。)

自分の2人の子供にミルクを準備するのも起き上がれず、数歩歩くと心臓のドキドキ・息苦しい症状が起こり、ずっとベッドに横になるしかない。

重度の貧血で横になっている女性のイメージ写真
大量出血による貧血で動けなくなった状態のイメージ。

重度の貧血は、輸血しても全部流された感じ

毎日出血が止まらず、とても怖かったため、病院で一度輸血を受けた。輸血後、医師から「血色素(ヘモグロビン)が少し上がる程度で、おおよそ60-70」と告げられました。

結果、出血量がさらに増え、2日も経たないうちに「輸血した血が全部流れ出た」ような感覚になった。

膠姜湯加減した処方を2日飲んで、出血はほぼ止まった

私は阿膠を毎回10gに増量し、さらに処方に補陽の薬として炮附子、白術、呉茱萸などを加え、「最多2日で明らかに減少するはず」と伝えました。

ところで、彼女は「子宮内容除去術(しきゅうないようじょきょじゅつ)」をするか迷っていました。

白い皿に盛られたスライスされた白朮の生薬
白朮(びゃくじゅつ)は脾を補い、体力を支える重要な生薬。

誰も子供の世話を手伝ってくれる人がいないので、彼女は2日間頑張って飲みました。1日飲んだところで出血量が減り、さらに2日経つと非常に少なく、ほぼ止まりました。

大量性不正出血が止まらない原因|黄耆(黄芪)が悪化させる理由

私はとても不思議に思いました。
なぜ出血が止まらなかったのか?
最初からそんなに重い緊急用の薬を加えるべきだったのか?

話し合っているうちに、彼女が「ずっと補気補血の薬を飲んでいて、習慣で忘れて伝えていなかった」と明かしました。

私は彼女が飲んでいた補気血の成分を調べました。その中に黄芪が入っていたのです。

青い皿に盛られたスライス黄耆と古本・緑の葉の写真
黄耆(おうぎ)は補気薬だが、不正出血時には禁忌となる。

生理出血量が異常に多い場合、黄芪は絶対に使ってはいけません!

使えば大量出血が止まらなくなる。
これが彼女の病気の原因だったのです。

※中国河北省石家荘市の有能な女医、張静先生1の症例:崩漏急症一则(2025-7-18発表)を李哲が完全翻訳しました。

李哲の感想と解釈

同時に二人の中医師の治療を受けるのは危険

本症例で分かりますが、二人の先生の処方を同時に使うとトラブルが起きやすいです。なぜかというと、先生によって治療する方向が違いますから。

たとえ話をすると、戦争した時に総司令官が2人いる。誰の指示を聞いたらいいのか分からなくて、部下たちはパニックが起きます。

中医学の治療は、邪気(じゃき)との戦争です。総司令官が2人以上いると駄目、戦争で負ける可能性が非常に高い。

だから、張静先生はほかの先生の漢方薬もしくは鍼治療を受けながら、ここの治療も受けたい欲張り患者さんは拒否していたのです。いかが一つの症例、

🔗60代女性の右側頭痛症例:針灸拒否から中薬併用で完治 | 中医学実践事例

不正出血で黄耆(黄芪)が禁忌となる理由|中医学の3つの根拠

漢方薬だと皆さんは当帰、黄耆などよく知ってますけど、その禁忌は知らなかったでしょう。

黄耆は気を補う生薬で確かに体にすごくいいです。長寿不老薬でもあります。でも、一つだけ禁ずるときがある。これは上記の症例でも話したように、不正出血の時です。

黄耆が不正出血を悪化させる理由は、中医学的には次の3点に集約されます。

理由内容
① 升陽作用血を上に動かし、出血を助長する
② 補気による循環促進出血中に循環が強まると止血しにくい
③ 治療原則と逆方向不正出血は「固める」べきなのに、黄耆は「持ち上げて動かす」

漢方薬は体にいいからといって、誰でもどんな時でも飲んでいいものではありません。必ず、漢方医のアドバイスを聞いた方がいいです。

不正出血を止めた過去の症例紹介

不正出血に関して。私もいろいろ治療したことがあります。以下は不正出血を治した過去症例。どうぞご参考に。

出血量が少ない場合は鍼でも対応できます。ただし、大量出血の場合は漢方薬が主力にならないといけない。つまり、漢方薬が主力+鍼治療が補助。

鍼は素晴らしい効果があるけど、神様ではありません。だから、治せないのは治せないとはっきり言います。

おわりに

不正出血は必ず最初は少量の出血から始まります。もしくは生理不順、生理痛など。

未病を治すとは?でも話したましたが、些細な症状がある時から治療すれば、後々の止まらない大量出血も起きません。日本語でも言いいますが、「小さなほころびが大きな破綻を招く」

だから、様々な辛い症状をほっとかないで、早めに鍼灸師もしくは漢方医に診てもらってください。初期の段階では、なんでもさっさとすぐ治ります。

この記事のまとめ

  • 不正出血が止まらない原因の一つに 黄耆の誤用 がある
  • 出血時は「補う薬」ではなく「固める薬」が必要
  • 複数の漢方医の処方を併用すると危険
  • 大量出血は命に関わるため、早期の医療介入が必須
  • 初期症状の段階で治療すれば重症化を防げる

注意書き
※本記事は一症例の紹介であり、すべての不正出血に当てはまるものではありません。大量出血や貧血が疑われる場合は、必ず医療機関で診察を受けてください。

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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