「台北漢唐中医診療所」の許先生に会うのは久しぶり
こんにちは、李哲です。
3月14~18日は台北の『漢唐中医経方診療所』に研修に行ってきました。私が尊敬しているニハイシャ先生の弟子たちが集まって運営いている中医学診療所です。今日は台北での研修会.見聞録を書こうと思います。
3月14日の到着した夜、許先生の家族と一緒に台湾の地元名料理を食べながら、いろいろお話しました。
診療所の現状。
臨床での解決できてない難問。
中医学の発展に必要なもの。
何よりも一番楽しいのは、ニハイシャ先生1の生前の逸話。
鍼を1年勉強しただけで有名人になり、自宅はうわさを聞いて治療に来た人たちで大混雑。座って鍼をする人もいるし、床で鍼をしたまま寝ている人もいる。夜市みたいに混んでいたそうです。
漢方薬も鍼灸も占いも面相術も精通して、更に新しい考え方.理論を出したニハイシャ先生。聞けば聞くほど、本当に1000年に1回出る天才だとしか思わないです。
私たちは、ニハイシャ先生の伝授を勉強するだけで、精いっぱいですね。ニハイシャ先生は、中医学の漢方薬・鍼灸を極限まで研究した人で、様々ながん治療症例を残してくれて、警鐘を鳴らす文章をたくさん書きました。以下はその一つのまとめ。あなたが知っている医学知識を転覆する内容が多々あります。
食事が終わった後、許先生の自宅に歓待されて、オリジナルのウーロン茶を飲みながら、またニハイシャ先生の遺留品をいろいろ見せてもらいました。
占い専用の竹で作った円筒。メモ書きがたくさん書かれてある書籍。ニハイシャ先生は本当にすごい勉強したな…と思わせる書籍ばかりでした。話が弾んで夜遅くなったので、最後は仕方なく宿泊先に戻り休憩。
ニハイシャ先生のお墓参り
翌日の3月15日。
ニハイシャ先生のお墓参りに行ってきました。
今まで見たことがないニハイシャ先生の笑顔の写真を眺めて、いろんな思いで胸いっぱいでした。何年か前、もう少し貯金して、鍼灸の専門学校を卒業したらアメリカに行こうと思ったけど、急にニハイシャ先生がいなくなり。今はここで先生と会うしかない。
許先生が言うのは、ここを知っている人はわずかの人。私はただニハイシャ先生の文章を日本語に翻訳しただけなのに、こんな思いがけなく身に余る待遇を得て嬉しかったです。
ニハイシャ先生に挨拶し、昼は午後から一緒に診察する陳先生と一緒にご飯を食べました。最初は緊張したけど、いろいろ話しているうちに緊張感がほぐれました。臨床での抱えている課題と、台湾の日本の鍼灸院などの情報を交流しながら、美味しい麺をいただきました。
陳先生の診療は「すごい!」としか言えない
午後は陳先生について診察を見学。
感想を一言でいうと、すごい!
2時から7時まで、休み無しで17人。
今の私には無理ですね。
だいたい15分に一人の患者さん。
みんな予約した人で、いろんな患者さんがいました。
子宮筋腫、いろんな皮膚病、生理痛、不眠症、五十肩、風邪…なんでもあり。癌の患者さんも何人か診察しました。
一番感動したのは、陳先生の優しさ。
本当に患者さんの事をいろいろ聞いてあげて、いろいろ解決してあげようと努力する姿。患者さんとのジョークもすごかったので、私は隣で笑っちゃいました。
シャンプーなどの経皮毒も、子宮筋腫を悪化させる
記憶に残っているのは、一人の女のお坊さん。漢方薬を1年くらい飲んだけど、子宮筋腫が逆に大きくなったのです。陳先生が言うのは、「一つの可能性として、シャンプーなどの経皮毒があるのではないですか?」
女のお坊さんが言うのは、「いつも貰い物のシャンプーで洗っているので、今度調べてみます」
化学薬品で作られたもの。
やはり人体に影響が大きいから、気をつけないといけないですね…
シャンプー以外に、顔に使う化粧品も石油系の原料を使っているので、化粧品が合わないときは顔の皮膚がかぶれます。以下は、その一つの治療例、参考になると幸いです。
五十肩、鍼治療20分後には肩が上がるようになった
もう一人は40代の痩せ型の女性。以前は看護師をしたそうです。今日は持病以外に、途中で「五十肩がつらくて、髪を結ぶ事ができません!」と言ってました。
陳先生は、「五十肩には鍼が早いよ!」と紹介したら、その女性は「え?鍼は効くんですか?鍼はすごい痛いでしょう?」と半信半疑でした。
陳先生は「鍼は即効性があるので、試してみて!あなたは看護師でしょう?なんで鍼を怖がるんだ?鍼灸はそんなに痛くないよ!」と説得し、すぐ鍼をすることにしました。
右肩が痛かったので、左の手に鍼を3本刺して、その後は「右肩をゆっくり回してください。」と指示し、隣の部屋でほかの患者さんの診察を始めました。
20分くらい経ってから、鍼を取りに行ったけど、女性の肩はだいぶ上がるようになっていました。その女性は笑いながら言うのは、「鍼は本当に効きますね!もっと早く来れば良かったー!」
陳先生も笑ってました。
「そうですよ~中医学はなんでも治療できます。今後なにか不調があったら、先に中医学治療をしてみて」
鍼の即効性はいろんな症状を治すときに現れます。以下は私の鍼治療例、どうぞご参考に。
あとで暇の時どのツボに刺したかを聞いたら、陳先生が言うのは「董氏奇穴の三肩穴。五十肩には特効ツボだよ!」
普通のツボを刺してないから私の顔が変だったでしょうか。陳先生はまた解釈しました。「臨床で効果があるツボであれば、奇穴であろう何系であろう、効果があれば使わせてもらいます。臨床効果が一番の判断基準」
そう言えば、ニハイシャ先生も似てる話をしてましたね。
西洋医学であろうと中医学であろうと、患者さんのためになるなら普及すべき。
過去記事ですが、整体1回で五十肩の痛みを治したのがあります。残念ながら、患者さんは整体が痛いから止めたこと。以下の記事、参考になると幸いです。
はやばやと陳先生とのお別れ
休み無しで5時間フル回転。隣で見てるだけの私すら疲れました。問診と脈診を続け、たまには鍼を刺してお灸もしながら動き回る陳先生は、本当にすごいと思いました。
すべての予約した患者さんが終わって帰る頃、陳先生に止められて一緒に写真撮影しました。
陳先生が言うのは、「土曜日には私がいないから。せっかく東京から来たのに、会うのは今日だけよ。だから写真撮らなきゃ(笑)」
やった馴染んだのに、もう別れか。
今後また陳先生に会うのが楽しみです。
陳先生の治療例は、当ブログでもいろいろ翻訳して紹介しました。以下はその一つ、西洋医学で不治の病と言われる筋萎縮性側索硬化症(ALS)を改善した例です。漢方薬の治療効果がどれだけ強いのか、見てみれば分かると思います。
許先生の講習会で会った面白いおじいさん
次の研修.参観に出たのは17日の土曜日。
午前中は『傷寒雑病論』の講習会。講師は許先生。10人くらいのいろんな年代の方がいました。みんな『傷寒雑病論』を勉強する生徒さん。
笑っちゃったのは、エレベーターで上がるとき、ちょうどおじいちゃんが一人一緒に乗って同じ4階で降りたから、おじいちゃんは私を見てニヤッとしてました。
席に座って待っている間、そのおじいちゃんがまた現れて話しかけられました。
「中国語しゃべれますか?」
「え…はい」
「あなた中国人ですよね?でも、あなたの顔、台湾人っぽくない。どこから来たのですか?」
「日本です」
「中国のどこの出身ですか?」
「吉林省です」
「へえ~~勉強の為に来たんですか?すごいですね!」とニコニコ笑いながら、おじいちゃんは前の席に戻り、その後はすぐ許先生の講義が始まりました。もっと話したら友達になったかも知れません(笑)
ニハイシャ先生の『傷寒雑病論』講義はDVDで何回も見ましたが、ニハイシャ先生の弟子の講義は初めてでした。すべてニハイシャ先生の観点から出発し、更に広げた圧巻の内容で聞くのがとても勉強になりました。さすがニハイシャ先生の弟子!
10時から12時の講義はあっという間に終わり、許先生に聞いたら午後は2時からまた鍼灸の講義があるらしいです。「でも、李先生は鍼の講義を聞く必要がない。むしろ台に上がって演説する人ですよ」と褒めてくれて恥ずかしかったです。
鍼灸講義で大勢の学生さんたちがお互いに鍼練習
昼ごはんを済まして、午後4時からの診察の研修に出ようと診療所に入ったらビックリ。なんと生徒さんたちが30人くらい座っていて、まだ興奮状態でお互いに鍼を刺してました。あとで話を聞いたら、許先生の助手が皆さんの鍼実践を見ながら教えるそうです。
あの風景は、中国の長春中医薬大学を思い出しました。
その時も鍼を少し勉強しただけで、みんな実践したがってましたね。お互いに練習というか治療。運が良ければ持病まで治る、運が悪かったら内出血して青アザ(笑)
ちなみに、私が中医学の勉強をしてきた道は波乱万丈というか、絶望・失念の段階から完璧な擁護者になりました。過去のことを記事にしたのがあるので、良かったらご覧ください。
台北の面白かった街風景と診療所
以下は町中で撮った写真。
ちょっとした観光ですが、いろいろ見れて楽しかったです。 診療所に向かう時に撮影したもの。
15日は曇っていて、101タワーの上は見えなかったです。歩いている二人の左側の方、とても面白いリュックサックを背負っていたのでカシャカシャ。
診療所下の看板。
夜暗くてうまく撮れてません。
診療所のドア。
4Fでエレベーター降りたら、目の前にすぐドアが見えます。先生たちの診察日など貼ってあります。
気になっていた料理屋、看板名を訳すると『豆乳お兄ちゃん』。
豆乳と揚げパン、揚げ饅頭は中国の東北でよく食べてたから。
後日食べて見ましたが、やはりうまかった!しかもすごく安い!130元で2人お腹いっぱい!
許先生が教えてくれた不思議な現象。
「台北の喫煙所には灰皿がない!」
地面には吸い殻がたくさん捨てられてました。
灰皿があったほうが、綺麗な街になるのに…逆効果ですね。
~続き~
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
コメント
いつもブログ読んでいます。李先生がこうやって日本語のブログを書いてくれるので、中医学のことを理解することができて感謝しています。また診療所に伺いますので、よろしくお願いします。
なかがわさん:
コメントありがとうございます。
中医学を理解するのに、為になる記事になって嬉しいです。また引き続き中医学の記事を書こうと思います。
時間がありましたら、また鍼しに来て下さい。
ご来店お待ちしております。