こんにちは、李哲です。
患者さんから頂いた果物、イチゴ・ブドウを説明しました。
薬草の著作に記録されてるのを見ると、梨の記録が一番多かった印象。言い換えると、梨はもっと薬物に近い効能がある。イチゴとブドウは、どちらかというと、滋養強壮のイメージです。
梨はどんな薬物的な効能があるのか、陰陽五行説から分析してみました。参考になると幸いです。
梨の表面は黄色いので、脾胃に良い
梨の皮は、色から見ると黄色が目立ちます。
黄色は陰陽五行説で「土」に属して、脾胃と関連しています。
つまり、黄色い食べ物は脾胃に良いと言うことです。
残念ですが、梨の皮は食べませんね。
梨の中身を分析:肺と脾胃に大変良い!
梨の中身は白い実です。
白いのは陰陽五行説で肺の色。
つまり、白い食べ物は肺に良い意味です。
次に味を分析します。
一言で表現すると、甘い!
梨の種類によって、酸っぱさ・苦さなど混ざるかも知れませんが、私が頂いたのはとても甘かったです。
甘いのは陰陽五行説で「脾胃」に属します。
梨の味は甘くて「脾胃」に良いとされる。実は白くて「肺」に良いとされる。この2つは矛盾な事がないです。
①陰陽五行説で、肺は金。
②脾胃は土に属する。
③土は金の母で、「土生金」の関係。
梨の味は甘くて汁たっぷりで、脾胃に良いですが、「土生金」なので、最終的には「金(肺)」にまとまるようなイメージです。つまり、梨は肺を潤う(肺の津液を補充する)作用が大きい。歴代の名医たちの記述を見ても、肺の諸症状を治すことがメインです。
梨は肺の「熱証」を治すことで有名
梨は肺を潤う(肺の津液を補充する)作用が大きい と論じました。それでは、津液が足りないときにどんな症状が現れるのか?一言でいうと、肺の熱証です。
熱証のときに現れる症状は、
- 乾いた咳・喘息
- 黄色い痰が出る
- 鼻・喉が乾燥して痛い
- 落ち着きがなくて、ザワザワしている
- 喉が渇く・乾く
- 熱証の便秘…などなど。
上記の症状があるとき、梨を食べると改善が見られます。
一つ注意して頂きたいのは、梨はあくまでも果物で薬ではありません。改善が見られないときは、すぐ漢方薬なり鍼灸なり本物の治療を受けてください。
歴代の薬物誌に記録された梨の効能
以下、歴代の名医たちの記述を引用します。
除客熱気、止心煩
『備急千金要方·食治』より
削贴汤火疮,不烂、止痛、易差。又主熱嗽,止渇
唐本草(別名は新修本草)より
ほかの『本草綱目』など、有名な本草書に記載されている内容は省略させていただきます。
薬膳「川贝炖雪梨」は、乾いた咳に効果的
最後には、中国の民間薬膳料理「川贝炖雪梨」を紹介します。
臨床でよく使うのは、乾いた咳・黄色い痰があるときです。
風邪、インフルエンザ、肺炎、新型コロナ…病名は関係ありません。とにかく上記の熱証が出た時は、老若男女問わず効果が見られます。
以下は素材と作り方の紹介です。
薬膳に必要な素材
- 雪梨1個(雪梨は梨の一種類です。一般的の梨は秋が旬だけど、雪梨は冬。関連の紹介は、以下の外部サイトをご覧ください。冬が旬の梨?新雪梨の味の特徴とは?)
- 川貝(四川産の貝母)5g
- 氷砂糖 適量
雪梨が見つからない場合、普通の梨でも良い。
なぜなら、咳止め・去痰作用があるのは貝母だからです。
子供は苦くてまずい漢方薬を飲んでくれないですが、甘く蒸した梨だったら食べます。薬嫌いで飲んでくれない子供がいたら、試してください。
注意点は上記の通り。
すべての咳・発熱に有効なわけではないので、要注意!!
ちょっとした体調不良のとき、薬膳料理は役に立ちます。ただし、薬膳料理はあくまでも食べ物なので、試してみてダメの場合、素早く漢方医・鍼灸師に治してもらって下さい。
コメント