葡萄の効能を陰陽五行説で徹底解説|脾・肝・心に効く理由と歴代名医の評価

こんばんは、李哲です。

葡萄はただの甘い果物ではありません。
中医学で分析すると、脾胃を補い、血を養い、肝臓と心臓まで強化する“薬効の高い果物”です。 味・色・形のすべてが五行に合致しており、歴代の名医も高く評価してきました。

今回は、葡萄が体にどんな恩恵をもたらすのかを、陰陽五行論で詳しく解説します。

前回、イチゴを陰陽五行論から分析しました。詳細は以下をご覧ください。

📌 この記事で分かること

1.葡萄の味・色・形が示す中医学的効能
2.脾胃・肝臓・心臓に良い理由
3.葡萄が「血を補う果物」とされる根拠
4.乳腺炎・乳がんに役立つとされる形態学的理由
5.清朝の名医・徐霊胎による葡萄の評価
6.食用と薬用の違い、食べ方の注意点

目次

葡萄の味からわかる効能:脾胃・肝臓・心臓に良い理由

実は甘い、酸っぱい。甘味がもっとも主張されています。甘味は脾胃(土)に属する。酸っぱいのは肝臓(木)に属する。

皮は苦味が強い。苦味は心臓に入るので、心臓に良いと判断できます。

五味と五臓の対応表

味と五臓との関連性は以下の表を参考にしてください。

     五臓       味     
     肝臓   酸味
     心臓   苦味
     脾臓   甘味
     肺   辛味
     腎臓   鹹味かんみ

実の栄養素を分析すると、脾胃に大に有利。肝臓への恩恵は二の次の感じですね。著名な薬物志でも、脾胃に良いと書かれていました。詳細は後ほど話します。

酸辣湯に含まれた陰陽五行の解説

葡萄の色が示す「血を補う」作用

葡萄の皮を剥くと、濃い色の実が見えます。

気血・陰陽と色の関係

中医学では「気血」「陰陽」をよく言いますが、「気」と「陽」は薄い色を指します。つまり、濃い色は「陰」と「血」に属する。単純な分類だと、葡萄は 「陰」と「血」 に良いです。

左手のひらに乗せた3粒の葡萄が光を受けて輝いているクロースアップ写真
患者さんからいただいた葡萄。光沢が美しく、脾胃を補う果物の象徴。

葡萄の味覚篇で話したように、葡萄は肝臓と脾臓に良い。また、肝臓は中医学で「肝蔵血」、脾臓は「脾統血」だといいます。両方とも血液と密接な関連性がある臓器。

以上の関連性から判断すると葡萄は血液に大に良いです。簡単にいうと、葡萄は血液を補う作用がある。面白いのは、西洋医学では点滴するときもブドウ糖を配合したものです。

葡萄は血液を補うと書いてますが、漢方薬には果物よりも強力な血を補うのがあります。たとえば当帰、アキョウ。食用と薬用のパワーは違うので、使い道を間違えてはいけません。

🔎合わせて読みたい:阿膠(アキョウ)が補血に優れる理由と価格高騰の背景

皮の色から読み解く肝臓・心臓へのメリット

私が頂いたブドウの皮は、赤みが少し混じった濃い青色(黒?)でした。青色は肝臓に属し、赤みは心臓に属します。外観の色辛判断すると、ブドウの皮は肝臓・心臓に良い。

皮を食べるべき理由

皆さん食べるのは皮より実の方が多いです。つまり、脾胃を補うのが一番多い。二番目に多いのは、肝臓と心臓。皮を剥いて捨てる方もいますが、心臓に良い栄養素を捨てる事です。もったいないですね…食べるなら、皮も一緒に食べましょう。

オススメは皮ごと食べることですが、今は農薬が心配でもありますね。私はあまり気にしないで、洗ったあと普通に食べてますが(笑)

緑の葉が付いたままの葡萄の一房。新鮮な果実が密に連なっている
葡萄は皮ごと食べるのが理想。農薬が気になる方は、しっかり洗えば安心です。

葡萄の形態が示す乳房疾患への有用性

乳腺炎・乳がんとの形態学的類似

葡萄の外観は、乳房に似ています。

もっとも似ているのは、乳腺炎もしくは乳がん。
触診で分かりますが、葡萄が連結したみたいに長いツブツブがつながっている。だから、乳腺炎・乳がんの方は、葡萄を食べると病状の回復に役に立ちます。

注意点:葡萄だけでは乳腺炎、乳がんが治らない

一つ注意してほしいのは、葡萄は役に立つけど、葡萄一つで乳腺炎・乳がんが治らない。よく食べ物の効果を誇大広告する人たちがいるけど、騙されないでください。

以前、山芋で乳がんが治るという都市伝説もあったので、以下の記事で批判しました。

清朝の名医・徐霊胎が語る葡萄の薬効

徐霊胎の原文と要点

最後は著名な中医学先生の文献を翻訳して終わりにします。
全部翻訳すると長いので、黄色いマークしたところだけさせて下さい。

味甘平。主筋骨湿痹,益气倍力,强筋燥湿。强志,肝藏魂。令人肥健耐饥,忍风寒。久服轻身,不老延年。皆培补肝脾之效。可作酒。

此以形为治,葡萄屈曲蔓延,冬卷春舒,与筋相似,故能补益筋骨。其实甘美,得土之正味,故又能滋养肌肉。肝主筋,脾主肉,乃肝脾交补之药也。

出典先:『神農本草経百草録』(清・徐霊胎1著)

上記の黄色い所を翻訳します。

味は甘、関節・筋肉の痛みに良い。気力を増やす。筋を強化し、湿気を取り除く…長年食べると体が軽くなり、延年・不老長寿になる。肝臓と脾臓を補う。

葡萄の木は、ぐにゃぐにゃ曲がって伸びている。冬は縮んで春は伸びるのが、筋とにている。だから筋と骨を強化することができる。

徐霊胎の主張だと、肝臓と脾臓に良くて、関節痛を緩和し不老長寿になる果物です。また、葡萄の木の形から肝臓に良いと記述したのも面白いです。

中医学が果物を評価する基準:味・色・形の総合判断

中医学は味、色だけではなく、植物の形も陰陽五行論で判断します。

中医学が西洋医学との違いは、中医学と西洋医学の違いをまとめた基礎記事をご覧下さい。

歴代の薬草本に載せている果物は、それほど多くないです。その中でも有名なのは葡萄。

果物を買うとき、二者択一の状況だったら、葡萄をオススメします。余裕があったら、りんご・みかんなど食べ比べるのも良いですね。

健康長寿の本質は果物より生活習慣にある

葡萄を絶賛しているように見えますが、葡萄さえ食べれば健康・長寿になる話ではありません。健康長寿の鉄則は、良質な睡眠・食事・運動・穏やかな心、この4つです。

ほかのはみんな付加価値で、もっとも大事なものではありません。

まとめ

葡萄は、脾胃を補い、血を養い、肝臓と心臓にも良いという多面的な効能を持つ果物です。 味・色・形のすべてが五行に合致し、歴代の名医も高く評価してきました。

ただし、果物だけで病気が治るわけではありません。

健康長寿の土台は「睡眠・食事・運動・穏やかな心」の4つであり、葡萄はその補助として役立つ存在です。

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  1. 徐霊胎は清朝の著名な中医学先生。1693年-1771年。私が尊敬するニハイシャ先生も推奨している数少ない名医の一人です。中医学以外にも様々な学問に精通し、天才とも呼べる人。 ↩︎
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