こんにちは 、李哲です。
印象深い鍼治療例を一つ話します。
1年前の話。
患者さんは70代の中国人女性、何度も当院に来てくれた娘さんが連れてきました。
当時、患者さんを一番困らせたのは膝の痛み。患者さんは中国のエリート研究員、年の割に目力と活力がすごかったです。研究所を退職してから、世界各国を旅行して食べるのが楽しみだそうです。ところで、膝が痛くて歩けなくて困っている。
患者さんは北京であらゆる病院と中医学治療を受けたらしいです。でも、膝の痛みは変わらない。日本に旅行に来たついでに、ちょうど娘さんから話を聞いてそれで針治療に来たのです。
治療する前に私は患者さんに話しました。
「鍼はすごい痛いけど我慢できますか?」
患者さん「治るんであれば何でも我慢できます!」
だから私は容赦なく鍼をバンバン刺して回しました。患者さんは我慢強い人だったのか、うんとも言わなかったです。
1回目の鍼が終わって、患者さんがペットから降りて歩くとき、膝が軽くなったと喜んでました。2回目、3回目の鍼治療後は、さらに膝の痛みが減りました。
このような治療を2ヶ月続いて、回数券が終わる頃、患者さんは中国で帰ることになりました。
その後、娘さんがまた治療に来たけど、娘さんが言うのはお母さんはとても元気。 旅行に行った時、1日2万歩歩いても大丈夫だった。
私も以前、旅行の時に1日に二万歩歩いたことあるけど、さすがに足と膝はきつかったです。ここで分かりますが、患者さんの膝はもう大丈夫。
笑っちゃったのは娘さんの話。お母さんは毎度 鍼治療が終わって帰った後、文句を言うそうです。「鍼をした後は、何人かの人に囲まれて殴られたみたいに全身が辛い。」
それはそうでしょう。私も容赦なく鍼を回したから(笑)
中国鍼は痛くて響くけど 、大きな利点も一つあります。それは鍼して治った後、来なくていいこと。死ぬまで薬が必要な西洋医学と違って、鍼は治ったあと来なくても再発しません。
膝が痛い患者さんはたくさん治療して来ました。持病のついでに治したのがほとんどなので、単純に膝痛のために治療に来た人は少なかったです。また、感想が笑っちゃうくらいだったので印象深くて記事にしました。
患者さんが治って私も嬉しかったけど、虚しさもありました。北京は中国の首都。西洋医学も中医学も、みんなトップクラスのはず。しかし、簡単な膝痛すら治せない。首都がこんなレベルだったら、ほかの都市・地方はどうでしょう?患者さんは絶望的になるかも知れません。
中医学を発展する道は、まだまだ長い。
我々はもっと頑張らないとダメです。
(おわり)
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