こんばんは、李哲です。
鍼灸の逸話を話します。
私が尊敬するニハイシャ先生1の講義からの抜粋文。
日本のネットではあまり検索できないので、自分の言葉で説明をします(外部サイト:針灸のツボ,漢方のマルミ屋は少し参考になる)。
★回陽九鍼★
これは400年前の『鍼灸大成』2に載せられています。
『唖門労宮三陰交、湧泉太谿中脘接、環跳三里合谷并、此是回阳九针穴』
『鍼灸大成』より引用
回陽九針を中国語を直訳すると、陽気を戻す(蘇る)9本の鍼。
回陽とは、死んだ人が陰の世界から人間(陽)の世界に戻る意味です。
科学的なものしか信じない人。
現代教育を受けた人は、きっとふぅ~んと鼻で笑うでしょう。
死んだ人が蘇るなんて嘘ばかり!
ちょっと待ってください。
先入観でいろいろ決めないで。
検証もしないで、否定するのは愚昧です。
近代には回陽九針を使った先生がいます。
中国政府が成立する前、共産党と国民党が闘っていたとき、国民党には医者が足りなくて民間の鍼灸師たちも徴兵されて軍医になりました。その軍医先生の話によると、よく戦場から運ばれてまもなく息が止まった戦士がいました。
息が止まった人に回陽九針を刺すと、徐々に意識が戻って話せる。そして、30分くらいは維持できるそうです。つまり、陰の世界から30分位引っ張ってくることができる。
なぜこのような術が生まれたか?
ニハイシャ先生が解釈したのは、
急死した人を家族に会わせたり、遺言など言える。
この30分は、神様の慈悲と憐憫(mercy) 。
もし回陽九針の施術後、1時間経っても2時間経っても生きてる場合は、完全に生き返らせたことであり大変嬉しいことです。たとえ30分しか維持できなくても、患者さんは遺言が話せて安心して死ぬことができる。
回陽九針はツボを刺す順番があり、心臓鼓動・呼吸が止まっても、体に気がまだ残っているのが前提条件です。だから、すべての死んだ人に有効だとは限らない。
中医学には死んだ人が蘇る治療方法があるのに、癌で死んだはずの人が生きているから逆に怒る病院の先生もいます。少数かも知れませんが、患者さんの命より自分の勉強した医学知識・プライドをもっと大事にしている先生がいるのは事実。
ちなみに、死んだはずの患者さんが生き残ったのは、以下の記事です。
近代になって回陽九針の症例がほぼ見つからないのは、勉強した鍼灸医が少ないのが一つの原因でしょう。もう一つは西洋医学が主流になって、心臓が止まり息がなくなったらすぐ霊安室に送り、鍼灸医に刺してもらうなんてありえない。
緊急救命室に鍼灸医がいれば、たくさんの事故死した患者さんは、まだ生き返るチャンスがあるかも知れませんが、今の世の中は残念です。
(おわり)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
『鍼灸大成』は明朝の楊継州の著作。本書は、明代末期に完成した鍼灸書の集大成で、後にも先にも、これを上回る本はないといわれている空前絶後の作品です。明代末(1601年)に刊行されて以来、清代に28回、民国時代に14回、現代中国や台湾になってから何回も刊行されており、六〜八年に一度は新版が出されるという大ベストセラー本です。
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